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2013年12月2日 MERSの最新情報

 日本のマスコミはまだあまり報道していませんが、現在世界中の医療者が最も注目している感染症のひとつがMERS(中東呼吸器症候群)です。このサイトでは過去に何度か紹介していますが、WHOが発表した最新情報をお伝えしておきたいと思います。

 WHO(世界保健機関)の発表(注1)によりますと、2013年11月29日の時点で、MERSの確定診断がついた症例が世界中で160人、そのうち68人が死亡しています。

 10月末にはクェートで、11月にはオマーンでも新たに感染者が発覚し、中東諸国で徐々に広がりをみせています。感染者が最も多いのはサウジアラビアでこれまでに合計130人が報告されており、うち56人が死亡しています。2位がカタールの9人、3位がアラブ首長国連邦(UAE)の7人です。

 感染した月をみてみると、5月が33人で最多、6月27人、9月22人と続きます。10月は19人、11月は29日の時点で11人と減少傾向にあります。

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 実は医療者の間では10月に患者数が激増するのではないかとの懸念がありました。これは、10月にハッジと呼ばれるイスラム教の巡礼がサウジアラビアでおこなわれたからです。

 MERSはヒトからヒトへの感染の可能性は低いとされていますが、それでも家族内での感染例がありますし、2名の看護師への院内感染も報告されています。ハッジでは、大勢の人が隙間もないほどに集まるそうなので、集団感染が起こるのではないかと危惧されていたのです。

 ハッジが終了しても大規模感染の報告がありませんから少しは安心できそうですが、以前中東方面に渡航される方は注意が必要でしょう。

(谷口恭)

注1:WHOのウェブサイトに掲載されています。タイトルは「Middle East respiratory syndrome coronavirus (MERS-CoV) – update」です。興味のある方は下記URLを参照ください。
http://www.who.int/csr/don/2013_11_29/en/index.html

参考:医療ニュース
2013年6月28日(金)「新型コロナ(MERS)の最新情報」
2013年5月27日(月)「新型コロナ、人から人への感染がほぼ確実・・・」

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