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2013年7月10日 水曜日

2011年2月21日(月) リンゴ病がアウトブレイク!

 ほっぺたがまるでリンゴのように赤くなることから名づけられたリンゴ病、正式には伝染性紅斑と言いますが、この感染症が4年ぶりに猛威を振るっています。

 国立感染症研究所の発表によりますと、1月24~30日の全国約3千ヶ所の小児科定点からの報告が2,008人で、これは昨年(2010年)の同時期と比べて約6倍になります。前回流行したのが2007年ですから4年ぶりということになります。(その前は2002年に流行しました)

 リンゴ病は子供のありふれた病気でたいしたことがないと思われがちですが、実は成人に感染すると重症化することもあります。特に関節痛と高熱が強くなり、数日間寝込まなければならないという場合もあります。特効薬はなく、解熱鎮痛剤を飲む以外に対処方法はありません。
 
 皮膚症状としては、ほっぺたが赤くなる以外に腕や太ももに特有の皮疹がみられます。(これは「レース状」と表現されますが、実際には様々なかたちをとります)

 また、妊婦さんに感染すると流産や早産のリスクが増大することが知られています。

 リンゴ病は通常の風邪と同じように飛沫感染しますから、日頃からうがい・手洗いが重要です。リンゴ病の流行は春から夏にやってきますから、今後しばらくの間充分な注意が必要です。尚、リンゴ病にワクチンはありません。

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 リンゴ病は子供に集団感染し、妊婦さんに感染させてはいけない感染症です。ですから、2番目の子供を妊娠中のお母さんが幼稚園に子供を迎えにいったときに感染、などといったケースには特に注意しなければなりません。

 もしもあなたの周りに妊娠している人がいれば、ただの風邪かな、と思っても充分な注意が必要です。

(谷口恭)

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2013年7月10日 水曜日

2011年2月28日(月) 低所得の高齢者はガンになりやすい?

 高齢者で所得の低い人は、所得が高い人に比べると、ガンで死亡する危険性が2倍高い・・・

 これは日本福祉大学などの研究グループがおこなった調査の結果です。(報道は2月17日の読売新聞)

 報道によりますと、この研究は、愛知県と高知県の65歳以上の高齢者で、要介護認定や、ガン、心疾患、脳血管疾患、呼吸器系疾患の治療を受けていない15,025人を対象としています。調査期間は2008年5月までで、最長4年間になります。調査開始時点にアンケートで得た、所得や教育年数などの情報と、死亡原因の関係性が調べられています。

 その結果、男性高齢者では、所得400万円以上の層に比べ、200万円未満の層では、ガンによる死亡のリスクが1.9倍高くなっています。また、教育年数が13年以上の層に対し、6~9年の層では、ガンによる死亡リスクは1.46倍高くなっています。(女性のデータについては読売新聞の記事には記載がありませんでした)

 この結果を受けて、研究者らは、「社会経済階層が低いほど、喫煙や過剰な飲酒などガンになりやすい生活習慣を持つ傾向にあり、健康意識が低い人が多い。病院にかかる金銭的な余裕がないことも重症化を招いていると推測される」と話しているそうです。

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 これは低所得がガンにつながるわけではなく、低所得の人は喫煙・過剰飲酒などガンのリスク要因を有していることが多く、また健康への関心が低いことが予想される、ということだと思います。

 低所得→ガン、と短絡的に解釈されてしまうことには問題がありますから、この手の議論をおこなうときには慎重になるべきだと思います。

(谷口恭)

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2013年7月10日 水曜日

2011年3月4日(金) 加工食品が子供のIQを低下

 脂肪分、糖分の多い加工食品を小児に与えると、知能指数(IQ)の低下をもたらす・・・

 これは、医学誌『Journal of Epidemiology and Community Health』の2011年2月7日号(オンライン版)に掲載された研究結果です。(下記注参照)

 この研究では、1991~1992年に出生した小児を対象としたイギリスの大規模研究(Avon Longitudinal Study of Parents and Children)のデータを収集し解析を加えています。3、4、7、8.5歳時の子供の食事に関する質問に親が回答し、8.5歳時に知能検査をおこないIQが測定されています。(知能検査には「ウェクスラー小児用知能検査(Wechsler Intelligence Scale for Children)」という方式が採用されています)

 食事の内容については、①脂肪、糖分、インスタント食品の多い「加工食品中心の食事」、②肉、野菜の多い「従来の食事」、③果物、野菜、サラダ、魚介類、米およびパスタの多い「健康を意識した食事」の3つに分類されています。

 その結果、3歳時に「加工食品中心の食事」を摂取していた小児は、「健康を意識した食事」を摂っていた小児に比べて8.5歳時のIQが低いことがわかりました。加工食品の摂取量が1ポイント増加する毎にIQが1.67ポイント低下したのに対し、健康的な食品の摂取量が1ポイント増加する毎にIQが1.2ポイント上昇したとされています。一方、4~7歳時の食事による影響は認められていません。

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 この研究の結論は、「子供にジャンクフードばかり食べさせると頭のいい子に育たない」ということなのでしょうが、私はこの論文を読んで、最近ミシェル・オバマ大統領夫人が取り組んでいる肥満対策「Let’s move」を思い出しました。

 オバマ大統領夫人は、子供の給食に野菜や果物を中心としたものを取り入れることに尽力しているようで、この論文がオバマ夫人の食育運動の味方になるかもしれません。

 この論文はイギリス発、オバマ夫人はアメリカですが、それでもなんとなく、医学と政治がつながっているのでは?と疑いたくなります。しかし、子供たちにジャンクフードではなく、栄養のあるものを食べてもらいたいというのは誰もが感じていることですから、私個人としてはこういった研究がおこなわれることにもオバマ夫人の行動にも賛成です。

 ところで、日本の子供の食事は大丈夫なのでしょうか・・・。

(谷口恭)

注:この論文のタイトルは、「Are dietary patterns in childhood associated with IQ at 8 years of age?
A population-based cohort study」で、下記URLで概要を読むことができます。

http://jech.bmj.com/content/early/2011/01/21/jech.2010.111955.abstract?sid=d449b678-a305-458c-a2fc-b38e7b3860d4

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2013年7月10日 水曜日

2011年3月8日(火) 日本の自殺者、13年連続で3万人超

 3月3日、警察庁は昨年(2010年)1年間の全国での自殺者が、31,690人であったことを公表しました。1998年以来、13年連続で自殺者が3万人を越えたことになります。(注)

 総数は昨年を1,155人下回り、3.5%の減少ということになります。年齢別では、50代が5,959人(前年比8.2%減)と最多で、70歳代(0.1%増)を除く各世代で前年を下回っています。

 自殺の動機をみてみると、まず動機を特定できたのが23,572人。最多が「うつ病などの健康問題」の15,802人となっています。また、「就職失敗」「職場の人間関係」「仕事の失敗」の死者数が、動機別の統計を取り始めた2007年以降で最悪となっています。

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 「うつ病などの健康問題」が生じる理由に、「就職失敗」「職場の人間関係」「仕事の失敗」があることは想像に難くありません。ということは、現在の日本のこれほど悲惨な自殺状況の原因の多くが「労働環境」にあることは間違いなさそうです。

(谷口恭)

参考:医療ニュース2010年1月27日 「日本の自殺者12年連続で3万人超え」

注:厚生労働省のデータでは3万人を割っている年もあります。これは警察庁と厚生労働省で自殺者数のカウントの仕方が異なることが原因です。厚生労働省は、「死亡届」を基に人口動態の統計を取るのに対し、警察庁は、死亡届が出された後に、自殺と判明したケースも「自殺者」に含めます。

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2013年7月10日 水曜日

2011年3月11日(金) 日本の女子中学生の1.9%が摂食障害

 女子中学生の100人に2人は治療が必要な深刻な摂食障害である・・・

 これは厚生労働省の研究班が2011年3月1日に公表した内容です。(報道は3月2日の共同通信など)

 研究班は、2009年~2010年、関東地方と中国地方の36の中学の男女生徒約8千人を対象として調査をおこなっています。体形や食事への意識など合計28項目を尋ね、5,161人から有効回答を得ています。(女子2,604人、男子2,557人)

 その結果、女子の1.9%、男子の0.2%が、治療が必要な深刻な「摂食障害」と判断されたそうです。

 やせることを目的とした行為を具体的にみていくと、「下剤の使用」が女子1.1%、男子0.7%、「口に手をつっこんで吐いた」が女子1.4%、男子0.9%、「食事を抜いた」が女子3.6%、男子2.6%、「過度の運動をした」が女子6.8%、男子3.8%となっています。(いずれも過去4週以内に2回以上という条件での回答です)

 また、「むちゃな大食いを直近の4週間に8回以上した」女子は3.5%、男子は1.3%だったそうです。

 研究者によりますと、「摂食障害」と判断された女子の特徴として、①夜遅くまで起きている、②家族との食事は楽しくない、③家族から「もう少し痩せたら」と言われる、④気持ちを本当に分かってくれる人は誰もいない、などに当てはまる傾向があるそうです。

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 日本の摂食障害者の割合はときどき発表されていますが、1.9%というのは過去最高ではないでしょうか。この研究では中学生が対象とされていますが、私の印象で言えば、増えているのは中学生だけでなく、小学生や30代以降にも目立ちます。つまり、全体の総数が増えると同時に、低年齢化と高年齢化が同時に進行しているのです。

 それにしても摂食障害は本当にむつかしい病だと思います。まず「治さなければならない」と認識してもらうのに時間がかかり、やっと治そうという意識ができて精神科クリニックを紹介しても、「やっぱりダメでした・・・」と言って戻ってくる患者さんがいかに多いか・・・。

 摂食障害が怖いのは「死に至る病」だからです。最善の方法ではないかもしれませんが、小学校低学年のときに、「拒食症や過食症というのはとっても怖い病気なんですよ」ということを教育の現場で教えることが必要ではないかと私は考えています。

(谷口恭)

参考:はやりの病気第38回(2006年10月) 「本当に恐ろしい拒食症」

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2011年3月15日(火) 肥満男性の3割は減量を試みていない

 厚生労働省が健康増進法に基づいて毎年おこなっている調査に「国民健康・栄養調査」というものがあります。2011年3月8日、同省は平成20年版の報告(完全版)を公表しました。概要版については、すでに2009年11月に公表されており、肥満と喫煙に関するデータをこの「医療ニュース」でも紹介しました。(下記参照)

 詳しい報告書は下記URLで誰でも閲覧することができますので、興味のある方は参照いただきたいのですが、注目すべき点を少しあげていきたいと思います。

・肥満者(BMIが25以上)の割合は、男性28.6%、女性20.6%。

・男性の20-60歳代は、過去5年間で肥満者割合の増加傾向にあるが、それ以前の5年間に比べると増加率は鈍化している。

・女性の40-60歳代では、肥満者の割合が減少している。

・やせの者(BMIが18.5未満)の割合は、男性4.3%、女性10.8%であり、女性では20代(22.5%)および30歳(16.8%)で高い。

・体重を減らそうと考えている者の割合は、男性で40.5%、女性で51.6%。

・肥満者の男性の29.8%は体重を減らそうと考えていいない。

・やせている女性の12.6%がさらに体重を減らそうとしている。

・運動習慣のある者は、男性33.3%、女性27.5%であり、平成15年に比べ男女とも増加している。

・現在習慣的に喫煙している者は、男性36.8%、女性9.1%で、平成15年以降男女とも減少している。

・たばこをやめたいと思う者は、男性28.5%、女性37.4%であり、平成15年に比べ男性では増加している。

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 全体的な傾向として、男性は肥満が増えているのにもかかわらず減量に無関心、女性は特に若い世代でやせているのにもかかわらずさらにやせようとしている、といった感じでしょうか。

(谷口恭)

注:この報告書の詳細は下記URLで読むことができます。

http://www.m3.com/tools/Document/WIC/pdf/201103_2/1494_7_1.pdf

参考:医療ニュース2009年11月11日 「厚労省の調査、喫煙率21.8%、肥満度改善」

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2011年3月28日(月) カリウム摂取で心血管疾患を予防

 カリウムの豊富な食事を摂ることにより、脳卒中リスクや心疾患リスクが低減する・・・

 これは、イタリアのフェデリコ(Federico)Ⅱ世大学、Pasquale Strazzullo博士の研究結果で、医学誌『American College of Cardiology』3月8日号(オンライン版)に論文が掲載されています(注1)。

 研究では、これまでに発表されている11件の研究(合計247,510人が対象)を、メタ解析という方法で総合的に分析しています。その結果、カリウムを1日に1.64g以上摂取する人は脳卒中リスクが21%低く、その他の心血管疾患リスクも低い傾向にあることが判明したそうです。

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 カリウムを1.64gと言われても、何をどれくらい食べればいいのか分かりにくいと思いますが、まず、カリウムが豊富な食品の代表は野菜と果物であることを確認しましょう。具体的には、例えば、カリウムが豊富な果物の代表であるバナナであれば1本で0.36グラム、カリウムが豊富な野菜の代表のトマトでは中くらいの大きさのもの1個で0.21グラムです。カリウムは肉やいも、炭水化物にも含まれていますが、1日1.64グラムというのは、野菜・果物を積極的に摂らないとちょっとむつかしいのではないかと思われます。

 この研究の研究者は、「果物または野菜を5サービング以上食べれば、予防効果を得るために必要なカリウムを摂取できる」とコメントしています。では、「サービング」とは何なのか、ですが、生野菜なら1カップ(240mL)で1サービング、果物なら、例えばバナナ1本で1サービングが目安になります。(あまり分かりやすくないですね)

 また、研究者らは、果物・野菜・ナッツ類が豊富で、低脂肪の乳製品が適度に含まれるDASHダイエット(注2)をおこなえば、カリウムが積極的に摂取できる可能性を指摘しています。

 尚、ひとつ補足しておくと、多くの人にとってカリウム摂取量が増えても危険はありませんが、腎機能低下を患っている人や、カリウムを低下させる薬剤を服用している人は医師に相談すべきです。

(谷口恭)

注1:この論文のタイトルは、「Potassium Intake, Stroke, and Cardiovascular Disease」で、下記のURLで概要を読むことができます。

http://content.onlinejacc.org/cgi/content/abstract/57/10/1210?maxtoshow=&hits=10&RESULTFORMAT=&fulltext=Pasquale+Strazzullo&searchid=1&FIRSTINDEX=0&resourcetype=HWCIT

注2:DASHとは「Dietary Approaches to Stop Hypertension」の略で、ダイエットにより高血圧を予防することを目的としています。1日2000kcalが基本で、脂肪やコレステロールの摂取量を減らし、特に果物と野菜を積極的に摂るのが特徴です。

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2013年7月10日 水曜日

2011年4月18日(月) ビール中ジョッキ1杯で発ガンリスクが上昇・・・

 飲酒は絶対的に悪いものではなく、少量のアルコールはむしろ身体にいい・・・。このように言われることがしばしばありますが、では「少量」とはどれくらいなのでしょう。

 女性の場合、1日1杯の生ビールで発ガンのリスクが上昇する・・・

 このような結果がヨーロッパの大規模研究で明らかになり、医学誌『British Medical Journal』2011年4月7日(オンライン版)で発表されました。(下記注参照)

 この研究は、欧州10カ国の約52万人が対象となった過去の大規模研究から、イギリス、フランス(女性のみ)、ドイツ、イタリア、オランダ(女性のみ)、スペイン、ギリシャ、デンマークの37~70歳の363,988人(男性109,118人,女性254,870人)のデータを用いて解析しています。対象者の過去1年間のアルコールの消費量と発ガンの有無との関係を調べています。

 その結果、飲酒グループと非飲酒グループを比較すると、飲酒グループのガンリスクは男性で10%、女性で3%上昇しています。特に、上気道および消化器ガン(肺ガン、胃ガン、喉頭ガンなど)は男性44%、女性25%と高い上昇率を示しています。その他のガンでは、大腸ガンは男性17%、女性4%の上昇、肝臓ガンは、男性33%、女性18%の上昇、女性の乳ガンは5%の上昇となっています。

 世界がん研究基金(WCRF)および米国がん研究所(AICR)は、1日当たりのアルコール摂取量を男性で24g以下,女性で12g以下にするよう推奨しています。アルコール12gとは、ワインで言えばグラス1杯(120mL)、ビールなら中ジョッキの約半分、日本酒では約0.5合に相当します。今回の研究でこれらの基準を超えた割合は、男性で39.0%、女性で33.2%、1日当たりアルコール摂取量の平均はそれぞれ 33.2g、15.9gとなっています。

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 最近、WHO(世界保健機関)は、100ヶ国以上の加盟国におけるアルコール摂取と健康被害に関する報告書「Global status report on alcohol and health」を発表しました。

 その報告書によりますと、アルコールの有害摂取により世界で年間250万人が死亡し、これは世界の全死亡件数の4%に相当するそうです。少し詳しくみると、全世界の男性の死亡の6.2%,女性の死亡の1.1%がアルコールに関連しています。また、毎年32万人の若年者(15~29歳)がアルコール関連の原因で死亡しており、これは同年齢層の全死亡件数の9%に相当するそうです。アルコールによる死亡の大半は、アルコールの有害摂取に起因した外傷やガン、心血管疾患、肝硬変による死亡である、とされています。

 現在、世界的なレベルでアルコール摂取に対する注意勧告がされており、上記研究結果はその流れを加速させるかもしれません。

 タバコはダメで、あぶらものはNG、塩分制限もしつこく言われるようになってきて、ついにアルコールもごく少量しか許されない・・・。住みにくい世の中になったなぁ、とぼやきたくなります。

(谷口恭)

注:この論文のタイトルは、「Alcohol attributable burden of incidence of cancer
in eight European countries based on results from prospective cohort study.」で、下記URLで全文を読むことができます。

http://www.bmj.com/content/342/bmj.d1584.full.pdf?sid=d1190dc0-4284-43a6-b23f-b903b44947bb

参考:医療ニュース
2010年8月23日「飲酒が関節リウマチに有効?」
2010年5月21日「飲酒によりリンパ系腫瘍のリスクが低減」
2010年4月8日「適度な飲酒は女性の体重増加を抑制」
2009年5月15日「お酒弱いのに飲酒・喫煙で食道ガンのリスク190倍」
2008年6月1日「タバコと酒のコンビネーションが肺がんのリスク」

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2011年4月19日(火) 「買い物」は高齢者の寿命をのばす

 毎日買い物に行く高齢者は、買い物に行かない人に比べ寿命が長い・・・

 これは台湾の学者による研究結果で医学誌『Journal of Epidemiology and Community Health』2011年4月6日号(オンライン版)に掲載されています。(下記注参照)

 研究では、1999年および2000年に実施された「高齢者の栄養と健康に関する調査」のデータを解析しています。対象者は、自宅で自立した生活を送る65歳以上の台湾人1,850人で、買い物の頻度と個人の健康、経済状態、死因などが分析されています。

 対象者の約半数は、買い物には全く行かないかほとんど行かないと回答しており、22%が週2~4回買い物に行く、17%は毎日買い物に行くと回答しています。頻繁に買い物に行く人は、比較的若く、男性に多い傾向にあるようです。全体的な健康状態は良好で、運動や友人との食事で外出することが多いという結果がでています。また、意外なことに喫煙やアルコール摂取量が多い傾向も認められたそうです。
 
 毎日買い物をする人は、買い物に行かない人に比べ、死亡率が全体で27%低い(男性28%、女性23%)という結果がでています。

 対象者のほとんどは経済的に自立しており、買い物に行かないのは貧困が理由ではありません。

 研究グループは「正式な運動に比べると、買い物は簡単に楽しく体を動かすことができるために魅力的な健康法である」と結論しています。

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 買い物で長生きできる!、と聞いて嬉しく感じる人も多いのではないでしょうか。最近の研究は、例えば「○○以上のアルコールはNG」とか「運動は週○回以上、1回○○分以上でないとダメ」とか、聞いていてしんどくなってくるようなものが多いですから、「買い物で長生き」というのは、(もちろんその言葉に踊らされてはいけませんが)夢のある研究成果と言えるかもしれません。

 ちなみに私は買い物が苦手で、「時間がもったいないからインターネット上で購入・決済を済ませてしまおう」と考えてしまいます。しかし、この論文を読んで、老後は買い物を趣味のひとつにしようかと考えています。今回の研究が実施された台湾は庶民的な市場や屋台が有名ですが、あのような環境なら買い物が楽しくなるのかもしれません。日本にもワクワクするような市場が増えることを望みたいと思います。

注:この論文のタイトルは、「Frequent shopping by men and women increases survival
in the older Taiwanese population」で、下記のURLで概要を読むことができます。

http://jech.bmj.com/content/early/2011/03/17/jech.2010.126698.abstract?sid=
f48b3001-a4f7-4434-9b89-1190ca18255c

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2011年4月28日(木) 児童虐待を受けた経験5%

 18歳頃までに両親や同居者から虐待を受けた経験がある人は男性2.2%、女性は7.1%にもなる・・・

 これは、厚生労働省の研究班が2年に一度おこなっている「男女の生活と意識に関する調査」で明らかになったデータです。尚、この調査で虐待経験を尋ねたのは今回が初めてだそうです。

 この調査は2010年9月に16~49歳の男女約3千人を対象に実施されています。

 虐待の内容については、「心を傷つけるようなことを繰り返し言うなど<心理的虐待>」が66.2%で最多となっています。

 その他の虐待をみてみると、「殴る、蹴る、熱湯をかける、たばこの火を押しつけるなどの<身体的虐待>」が54.5%、「無視したり、食事を与えなかったりするなどの<養育放棄>」が15.6%、<性的虐待>は男性はゼロですが、女性は14.5%となっています。

 この調査では<虐待>と両親の離婚の関係が調べられています。<虐待>を経験した人のうち、両親の離婚の経験がある人の割合は36.4%で、虐待経験がない人は10.6%ですから3倍以上の開きがあることになります。また、<虐待>経験者は、中学生の頃に親との会話が少ないという傾向が認められたそうです。

 また、<虐待>を経験した人のなかで、自分で自分の体に傷を付ける<自傷行為>の経験者の割合は32.5%となっています。虐待経験がなく自傷行為を行ったことがある人が5.7%ですから5倍以上の差があることになります。

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 今回の調査ではおこなわれていませんが、このような<虐待>は世代伝播することが指摘されることもあります。また、「望まない妊娠」で産まれた子供が<虐待>を受ける傾向にあると言われることもあります。

 その他にも親がアルコール依存症や薬物中毒であったり、あるいは摂食障害、ギャンブル依存、セックス依存などがあったりすることとの関連も指摘されることがあります。

 ところで、虐待を加える親は虐待をしたくてしているのでしょうか。そんなはずはありません。虐待などしたくないのだけれど気づいたときには虐待してしまっている・・・、それが虐待の姿です。ですから、虐待を防ぐには「子供を親から守る」と同時に「親のケアをする」という視点が重要なのではないかと私は考えています。

(谷口恭)

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