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2013年7月14日 日曜日
2010年9月26日(日) 体重増加で乳ガンのリスク
20歳の時より体重が増えた女性ほど、閉経後に乳ガンを発症するリスクが高い・・・
これは東北大学の研究者らが調査した結果で、9月24日に開催される日本癌学会で発表されたそうです。(報道は9月24日の共同通信など)
報道によりますと、この研究では、1990年に宮城県内に住む40~64歳の女性21,183人が対象とされ、2003年までの約13年間にわたる追跡調査がおこなわれています。この期間中256人が乳ガンを発症しています。
研究では、BMI(下記注参照)を(1990年の)調査時点と20歳の時について計算し、その間の体重変化と乳ガン発症との関係が解析されています。
その結果、調査時のBMIが高いほど閉経後の乳ガン発症リスクが高く、20歳の時のBMIが高いほどリスクは低いということが判りました。つまり、20歳の時から調査時点までに体重の増加量が多ければ多いほど、それだけ閉経後に乳ガンを発症するリスクが高かったということになります。
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これまでも「肥満は乳ガンのリスク」と言われることはありましたが、今回のように大規模調査で検証された研究は(少なくとも国内では)それほど多くないのではないかと思われます。
この「20歳時の体重と現在を比べて・・・」という所見は、他の疾患でも当てはまると思われます。実際、私自身は患者さんに現在の体重を聞くときに20歳時の体重を合わせて尋ねることがしばしばあります。
昔はやせていて今は太っている・・・。このパターンが乳ガンだけでなく、生活習慣病や脳血管障害のリスクになるに違いない、ということは多くの医師が感じていることです。
(谷口恭)
注:BMIはBody Mass Indexの略で、体重(キログラム)を身長(メートル)の2乗で割って算出します。例えば、体重88キログラム、身長2メートルの人であれば、88÷2の2乗=88÷4=22となります。
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|2013年7月14日 日曜日
2010年9月26日(日) マグネシウムで糖尿病のリスクが低下
マグネシムの高摂取で糖尿病の発症リスクが半減する・・・
これは米国ノースカロライナ大学栄養学のKa He氏らの研究結果で、医学誌『Diabetes Care』2010年8月31日号に掲載されています。(詳細は下記参照)
これまでもマグネシウムの積極的な摂取が糖尿病を予防するのではないか、と言われることがありましたが、大規模調査で検証されたのは初めてではないかと思われます。
今回の研究では、研究開始時に糖尿病を発症していない18~30歳の米国人4,497人が対象とされています。マグネシウムの摂取量によって対象者を5つのグループに分け、糖尿病を発症するかどうかが調べられました。
20年間の追跡調査の結果、全対象者のなかで糖尿病を発症したのは330人でした。マグネシウムの摂取量で比べると、最も多くマグネシウムを摂取するグループは、摂取量が最も少ないグループと比べると糖尿病発症率は47%という低率であることが分かりました。つまり、マグネシウムをたくさん摂れば、少ない人に比べるとリスクが半減するということになります。
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この研究は対象者が多く、信憑性のある結果だと思われます。ただし、マグネシウムの摂取量が多ければなぜ糖尿病を起こしにくいか、というメカニズムについてはっきりとしたことが分かっているわけではありません。
この研究の興味深いことのひとつは、マグネシウムの摂取について食品だけでなくサプリメントも加えているということです。ということは、マグネシウムはサプリメントからでもOKということになるのかもしれません。
参考までに、マグネシウムを多く含む食品は、ナッツ類や魚介類、豆類などです。厚労省が発表している上限値は1日あたり300mgです。注意点としては、高摂取で下痢を引き起こすことがあります。それから、腎機能が低下している人はマグネシウムの摂り過ぎは大変危険ですから、サプリメントを摂るのであれば事前に主治医に相談すべきでしょう。
(谷口恭)
注:この論文のタイトルは、「Magnesium Intake in Relation to Systemic Inflammation, Insulin
Resistance, and the Incidence of Diabetes」で、下記のURLで概要を読むことができます。
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|2013年7月14日 日曜日
2010年10月1日(金) 受動喫煙で毎年6,800人が死亡
受動喫煙が原因で肺ガンや心臓病で死亡する人は、国内で毎年6,800人に上る・・・
9月28日、厚生労働省はこのような発表をマスコミにおこないました。(報道は同日の共同通信など)
厚労省によりますと、この数字は2005年に実施された受動喫煙状況に関する調査を元に算出されています。その調査では、タバコを吸わない成人約7,600万人のうち、女性(約4,800万人)の約30%と、男性(約2,800万人)の約6%は家庭内で受動喫煙にさらされている、とされています。職場では、女性の約20%と男性の約30%が受動喫煙の被害にあっている、とされています。
一方、受動喫煙により、肺ガンや虚血性心疾患などの病気になる危険性が1.2~1.3倍になることが国際機関や同センターの疫学調査により明らかになっており、これらの数値から受動喫煙による死者数が推計されています。
その結果、肺ガンで死亡した女性(年間約18,000人)の約8%と男性(年間約49,000人)の約1%、虚血性心疾患の女性(年間34,000人)の約9%と男性(年間約42,000人)の約4%の合計約6,800人は、「受動喫煙が原因」と判断されました。女性が約4,600人、男性が約2,200人で、このうち職場での受動喫煙は男女とも約1,800人と推計されています。
この発表に際し、主任研究者は、「年間の労災認定死が約千例であることを考えると、甚大な被害だ。行政と事業者は、労働者の健康を守る責任があることを認識すべきだ」と話しているそうです。
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過去の調査のデータを引っ張ってきて、比較的単純に推計した数値の発表です。本日(2010年10月1日)からタバコが大幅に値上げされますが、この発表はそのタイミングを狙ったのではないかと感じられます。(もちろん悪いことではないのですが・・・)
(谷口恭)
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|2013年7月14日 日曜日
2010年10月7日(木) コレステロール基準についてNPOが見解発表
先月(2010年9月)に日本脂質栄養学会が「悪玉コレステロールが高い方が長生きする」という発表をおこない物議をかもしていることはこのサイトでもお伝えしてきました。(詳細は下記「医療ニュース」参照) これには我々医師の方にも多少なりとも混乱が生じ、患者さんに対する説明に苦慮することがしばしばあります。
そんななか、J-CLEAR(臨床研究適正評価教育機構)というNPO法人が見解を発表しました。(詳しくは下記URL参照)
J-CLEARの見解を簡単にまとめると次のようになります。
まず、「コレステロールは低い方がいい」とする研究は、主に元々心臓病などを持っている人を対象とした研究が根拠になっており、一般市民にもあてはまるとは言えない側面があることを指摘しています。
一方、日本脂質栄養学会の主張する「悪玉コレステロールが高い方が長生きする」という考えは、動脈硬化に対するリスクが高い人に対してもあてはまるとは言えず、高い悪玉コレステロールが長寿につながる、などといった考えは危険であることも指摘しています。
動脈硬化性疾患発症のリスクとして悪玉コレステロール値のみに注目するのではなく、高血圧、糖尿病、喫煙、家族歴など他の危険因子も考慮して、トータルな生活習慣病の管理が重要である、ということをJ-CLEARは主張しています。
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J-CLEARの指摘どおり、一律に「悪玉コレステロール値(LDL)が140mg/dL以上は動脈硬化のハイリスク」としてしまうのは短絡的すぎるでしょう。閉経後の女性であればこの数値より高い人はいくらでもいますし、逆に基準値以下であったとしても、肥満+高血圧+喫煙があれば、動脈硬化のハイリスクであることは明らかです。
トータルな生活習慣病の管理を医師と共に考えていく、結局はこう考えるのが一番よさそうです。
注:J-CLEAR(臨床研究適正評価教育機構)の見解は下記のURLで閲覧できます。
http://j-clear.jp/oshirase.html
(谷口恭)
参考:医療ニュース
2010年9月6日 「やはり悪玉コレステロールが高い方が長生き!?」
2010年7月14日 「悪玉コレステロールが高い方が長生き!?」
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|2013年7月14日 日曜日
2010年10月7日(木) 公費によるHTLV-1妊婦健診が決定!
2010年9月21日にこのサイトで、HTLV-1の妊婦健診が公費でおこなわれるようになるかもしれない、ということをお伝えしましたが(下記「医療ニュース」参照)、ついに決定しました。
10月5日、菅直人首相が設置した特命チームが、妊婦を対象とした全国一律の検査を公費負担で行うことを正式に決定しました。(報道は10月6日の共同通信など)
実際に公費負担で検査が実施されるようになるのは自治体によって異なりますが、早いところでは年内にも開始される見込みだそうです。
また、検査で陽性だった人に対するカウンセリングができるよう関係者に協力を要請することも決められたそうです。
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公費による検査がようやく実現することになり一安心ですが、それまでの間も妊婦さんの負担なしで検査できるよう各自治体に努力してもらいたいものです。
(谷口恭)
参考:
医療ニュース2010年9月21日 「待望のHTLV-1妊婦健診、年内実現の見込み
医療ニュース2009年6月29日 「HTLV-1が大都市で増加」
はやりの病気第47回 「誤解だらけのHTL V-1感染症(前編)」
はやりの病気第48回 「誤解だらけのHTLV-1感染症(後編)」
NPO法人GINAウェブサイト 「少しずつ注目され始めたHTLV-1」
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|2013年7月14日 日曜日
2010年10月15日(金) Hib、肺炎球菌、HPVワクチンの無料化決定!
日本では、本来全員に接種すべきワクチンが普及していない・・・
これは、このサイトで何度も指摘してきたことですが、ようやく改善の兆しが見えてきました。10月8日、Hib(インフルエンザ桿菌)ワクチン、小児用肺炎球菌ワクチン、HPVワクチンの3種のワクチンが、原則無料で接種できるようになることを政府が決定したそうです。(報道は10月13日の読売新聞)
報道によりますと、年内にも無料接種が実現しそうで、経費は2010年度補正予算案に盛り込まれるようです。総額は約2,000億円と算出されており、国と地方で折半する方向で調整されるそうです。
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現在、日本医師会が中心となって、これら3種のワクチン以外にも、B型肝炎ワクチン、水痘ワクチン、流行性耳下腺炎(おたふく風邪)ワクチンが無料で接種できるようになるための署名活動をおこなっています。当院でも署名を承っておりますので、協力いただける方は受付までお申し出ください。
(谷口恭)
参考:
メディカル・エッセイ第90回 「理想のワクチン政策とは・・・」
メディカル・エッセイ第89回 「日本は「ワクチン後進国」の汚名を返上できるか」
はやりの病気第77回(2010年1月) 「子宮頚ガンのワクチンはどこまで普及するか」
はやりの病気第76回(2009年12月) 「インフルエンザ菌とそのワクチン」
ginaコラム 「子宮頚ガンとHPVワクチン」
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|2013年7月14日 日曜日
2010年10月20日(水) 小麦入り化粧品、特に”お茶石鹸”に注意
10月15日、厚生労働省は、小麦の成分が入った化粧品や石鹸を使って顔面のかゆみなどアレルギー症状が現れたという報告が相次いでいることを発表しました。
同省によりますと、最近1ヶ月間で、こういったアレルギー症状は合計21例の報告が国にあったそうです。重篤な例の報告はこれまでないそうですが、「運動誘発性アレルギー」といって、小麦入り製品を使用した後、運動をおこなうことによって全身にじんましんや血圧低下が起こった例もあるそうです。(通常、このような症状は「アナフィラキシー」と呼ばれ、”重症”とみなされるはずなのですが・・・)
小麦入りの製品には、石鹸、シャンプー、化粧水、毛染めなどがあるそうです。小麦を入れる目的は、しっとりとした感覚や泡立ちを得るため、だそうです。
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ここ1年間くらい、アレルギー関連や皮膚科関連の学会や研究会に参加すると、必ずこの話題が出ています。最近、特に多いのが、”お茶石鹸”で、急速に売上を伸ばしているのと平行してアレルギーの被害も増加傾向にあるようです。
なんで”お茶”で小麦なの?、と思われる方も多いでしょうが、私の知る限り、この被害はお茶石鹸を使った人に最も多いのです。実際、お茶石鹸を販売している会社のウェブサイトで石鹸の成分を調べてみると、たしかに小麦が使われていました。
このタイプのアレルギーで最も多い誤解が、「長年使っているから大丈夫」というものです。この理解は必ずしも正しくなく、実際、小麦が含まれている石鹸や化粧品を使って数ヶ月から数年してから発症、というケースは珍しくありません。
石鹸や化粧品を使ったあとに、湿疹や蕁麻疹、あるいは、これらの使用後の運動で何か症状が出た人は早めに医療機関を受診してください。
(谷口恭)
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|2013年7月14日 日曜日
2010年10月27日(水) 悪玉コレステロールを巡る混乱
日本脂質栄養学会が発表した「悪玉コレステロールが高い方が長生きする」というガイドラインに対し、J-CLEAR(臨床研究適正評価教育機構)というNPO法人が見解を発表したということを先日述べました。(詳細は下記医療ニュース参照)
今度は、日本医師会と日本医学会の両会長が、10月20日、日本医師会館で行われた会見で、「(悪玉コレステロールが高い方が長生きするなどといった考えには)科学的根拠なく、必要な患者の治療を否定するような同ガイドラインを断じて容認することはできない」、と日本脂質栄養学会の見解に反対の表明をおこないました。
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今回の日本医師会と日本医学会の両会長が発表した日本脂質栄養学会のガイドラインに対する反対の表明は、日本動脈硬化学会の見解を支持するものです。
これまでの経緯をまとめると、日本脂質栄養学会が「悪玉コレステロールが高い方が長生き」と発表、日本動脈硬化学会がそれに真っ向から反対、日本医師会と日本医学会が日本動脈硬化学会を支持、J-CLEARが日本脂質栄養学会と日本動脈硬化学会のそれぞれの意見をまとめて見解を発表、ということになります。
ますます臨床の現場では混乱が大きくなりそうです。尚、「悪玉コレステロール」というのはLDLコレステロールのことです。
(谷口恭)
参考:医療ニュース
2010年10月7日「コレステロール基準についてNPOが見解発表」
2010年9月6日 「やはり悪玉コレステロールが高い方が長生き!?」
2010年7月14日 「悪玉コレステロールが高い方が長生き!?」
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|2013年7月14日 日曜日
2010年10月27日(水) 3つのワクチンの無料化は完全でない可能性
先日、HPVワクチン、Hib(インフルエンザ桿菌b型)ワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンの3つのワクチンが原則無料で接種できるようになることを政府が決定したとお伝えしました。(下記医療ニュース参照)
この情報の元は10月13日の読売新聞(オンライン版)で、元の文章は下記のとおりです。
政府は8日、若い女性が発症する子宮頸(けい)がんや乳幼児の細菌性髄膜炎などを予防できる3種類のワクチンについて、希望者が原則無料で接種できるよう公費補助を行う方針を固めた。年内にも無料接種を開始する考えで、2010年度補正予算案に関連経費を盛り込む。費用は約2000億円と見込まれ、国と地方で折半する方向で調整する。無料とするのは、子宮頸がん、インフルエンザ菌b型(Hib=ヒブ)、小児用肺炎球菌の各ワクチン。
しかし、どうも誰もが無料でワクチン接種できるようではないようです。
10月26日の共同通信は下記のように報じています。
厚生労働省は26日、子宮頸(けい)がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)、乳幼児の細菌性髄膜炎の原因となるインフルエンザ菌b型(Hib)と小児用肺炎球菌の3種類のワクチンについて、市区町村が接種を受ける人に費用を助成する場合、助成額の半分を国から出す事業として、2010年度補正予算案に1085億円を盛り込んだと明らかにした。接種を受ける人の負担額をいくらにするかは、各自治体が決定する。
*************
10月13日の読売新聞では「年内にも無料接種を開始する考え」となっていますが、26日の共同通信では、「接種を受ける人の負担額をいくらにするかは・・・」とされています。
26日の報道が正しいとすると、自治体によっては無料で受けられない場合もあるということになります。しかし、それぞれの自治体が「接種者負担は無料」という方針を決定してくれれば解決することですから、無料接種の地域が増えれば加速度的に無料の自治体が増えるのではないかと思われます。(楽観的すぎるでしょうか・・・)
(谷口恭)
参考:
医療ニュース2010年10月15日 「Hib、肺炎球菌、HPVワクチンの無料化決定!」
メディカル・エッセイ第90回 「理想のワクチン政策とは・・・」
メディカル・エッセイ第89回 「日本は「ワクチン後進国」の汚名を返上できるか」
はやりの病気第77回(2010年1月) 「子宮頚ガンのワクチンはどこまで普及するか」
はやりの病気第76回(2009年12月) 「インフルエンザ菌とそのワクチン」
ginaコラム 「子宮頚ガンとHPVワクチン」
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|2013年7月14日 日曜日
2010年11月1日(月) ミラクルミネラルソリューションに注意
ミラクルミネラルソリューションというサプリメントをご存知でしょうか。このサプリメントの健康被害が相次いで報告されたことを受け、10月26日、厚生労働省はホームページで注意喚起をおこないました。
ミラクルミネラルソリューションは、ミラクルミネラルサプリメントあるいはMMSなどと呼ばれることもあるそうです。この商品の正体は、米国のジム・ハンブル氏により開発された亜塩素酸ナトリウム28%を蒸留水に溶かした水浄化溶液のようです。クエン酸など酸性のものと一緒に摂取し二酸化炭素を生成させることで、免疫力が高まるとされています。
HIVや肝炎、インフルエンザウイルス、風邪、結核、にきび、ガンなどへの効果が謳われており、さらに体内デトックスの効果もあるとされています。日本国内でも購入者が少なくないそうです。
ところが実際には、謳われている効果が期待できないどころか、副作用が相次いで大変な問題となっているようです。嘔気嘔吐や下痢、腹痛、脱水症状、血圧低下のほか、腎機能障害や血小板細胞傷害など重篤なものの報告もあるそうです。
今年(2010年)になってから、FDA(米国食品医薬品局)、カナダ保健省、FSA(英国食品規準局)、ニュージーランド保健省は、ミラクルミネラルソリューション摂取中止と速やかな医療機関の受診を呼び掛けています。
************
厚生労働省の注意喚起は、下記のURLで参照できます。
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/kojinyunyu/050609-1.html
ミラクルミネラルソリューション、このネーミングからしてなにやら怪しげな雰囲気が漂ってきますが、HIVやガンなどを患っている人は、わらにもすがる思いで購入されたのかもしれません。
当院には、まだこのサプリメントによる被害者は受診されていませんが、世界中で販売されているということは日本国内にも使用者は少なくないのかもしれません。少しでも気になる症状のある人は早めに医療機関を受診されるべきでしょう。
(谷口恭)
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