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2013年7月18日 木曜日

2010年1月27日(水) 高血圧の半数の人が受診せず

 高血圧の診断を受けているのに医療機関を受診していない人が約半数にも上る・・・

 これは、「糖転移ヘスペリジン・ビタミンP研究会」という民間の研究会がインターネットを通しておこなった調査結果です。(報道は1月26日のキャリアブレイン)

 調査は2009年11月20日から22日におこなわれています。インターネットのリサーチ会社に登録している人から無作為に選んだ「血圧が正常」の20~40代の男女300人と、「高血圧と診断されたことがある」20~40代の男女300人から回答を得ています。

 調査によりますと、「高血圧と診断されたことがある」人が受診したのはわずか52.0%という結果となっています。年代別にみると、40代で58.0%、30代50.0%、20代48.0%と、若い世代ほど医療機関を受診していないことが分かります。

 「なぜ受診しないのか」については、「生活習慣を変えることで改善しようと思ったから」(35.4%)、「自覚症状がなかったから」(27.1%)、「放っておいても問題が無いと思ったから」(12.5%)、「治療費が高額になると思ったから」(10.4%)となっています。

 「日頃血圧の値を気にしているか」については、「気にしている」が52.3%なのに対し、「気にしていない」が47.7%に上っています。

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 若い世代で受診していない人が多いというのが気になります。高血圧は生活習慣や遺伝からくる場合が多いのですが(これを「本態性高血圧」と呼びます)、特に若い世代では、何か別の病気があってそこから高血圧が生じることもあります(これを「二次性高血圧」と呼びます)。二次性高血圧の場合、高血圧が別の病気のサインになっていることもあるわけです。そして、その元の病気を治せば高血圧も治る場合も多いのです。ですから、健康診断などで血圧が高いと言われれば放置しておくのはよくありません。

 また本態性高血圧の場合でも、放置しておくことには大いに問題があります。脳梗塞や心筋梗塞といった心血管障害のリスクは、メタボリックシンドロームよりもむしろ高血圧で高いという報告もあります。

 高血圧の場合、「自覚症状」が出てからでは”すでに遅い”可能性もあります。血圧が高いことを指摘されれば早めに受診するようにしましょう。

(谷口恭)

参考:
医療ニュース2009年5月1日「高血圧はメタボより危険!」
医療ニュース2009年10月26日「喫煙+高血圧+高コレステロール=寿命10年短縮」

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2013年7月18日 木曜日

2010年1月27日(水) 日本の自殺者12年連続で3万人超え

 1月26日、警察庁は2009年の自殺者が全国で32,753人(暫定値)となり、前年(2008年)より504人(1.6%)増加したことを発表しました。

 2009年の自殺者数は、統計を取り始めた1978年以降で5番目に多かったことになるそうで、警察庁の統計では、12年連続で3万人を超えていることになります。(厚生労働省の統計では3万人を切っている年もあります)

 警察庁によりますと、月別の自殺者はリーマン・ショック直後の2008年秋以降に急増しています。2009年に入っても前年同月を上回り続け、3~5月には連続して3千人を超えていました。9月以降は前年同月を下回っているものの、2,460人だった12月以外はどの月も2,500人を超えています。

 都道府県別でみると、前年より大きく増えたのは埼玉(143人増)、千葉(122人増)、沖縄(69人増)などで、大阪(146人減)、北海道(127人減)、鹿児島(64人減)などは大きく減っています。

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 自殺者が大きく増加した地域と減少した地域があるのはなぜなのでしょうか。日々の新聞報道をみていると、関東圏よりも近畿地方の方が、不況が深刻であるような印象を受けますが、大阪の自殺者は大きく減っています。

 厚生労働省は、1月21日、関係部局などを集めた「自殺・うつ病等対策プロジェクトチーム」を設置し初会合を開いています。自殺にいたる要因の分析をおこない、我々国民のひとりひとりができることは何なのかを検討してもらいたいと思います。

 厚生労働省は、2009年10月より「こころの耳 働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト」というサイトを立ち上げており、最近はかなり充実した内容になってきています。働く人が心の悩みを感じたときには、このサイトを訪れることを推薦したいと思います。

(谷口恭)

参考:
「こころの耳 働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト」
医療ニュース2009年5月19日「自殺は若年層で増加」
医療ニュース2009年4月4日「2008年の自殺者またもや3万人超え」
医療ニュース2008年6月24日「警察庁の発表では自殺者が10年連続3万人超」 

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2013年7月18日 木曜日

2010年2月1日(月) 日本脳炎ワクチン、不足で追加接種は見送り

 日本脳炎の新しいワクチンが、2010年からⅠ期については「積極的勧奨」となりそうだ、というニュースをお伝えしましたが(下記注参照)、Ⅱ期については、ワクチン不足のため2010年からの積極的勧奨は見送ることになりそうです。

 Ⅰ期というのは、生後6ヶ月から90ヶ月の間(標準的接種は3歳から4歳)に、まず1回目、1回目接種から4週以内に2回目、そして2回目からだいたい1年後に3回目を接種します。Ⅱ期は、9歳から13歳の間(標準は9歳から10歳)に1回のみ接種します。

 今回厚生労働省の小委員会が決定したのは、Ⅱ期の接種を2010年から「積極的勧奨」とするのは見送る、というものです。この理由はワクチン不足によるとのことです。今後Ⅰ期の接種状況やワクチンの供給量をみながら、Ⅱ期の接種の積極的勧奨開始時期を検討するそうです。

 小委員会の試算を報告しておくと、積極的勧奨の差し控えにより、接種機会を逃していた小児(2010年度に4~12歳になる小児)で1,560万回、4~7歳に絞っても817万回となるそうです。これに対し、接種が望ましい夏までの時期に追加接種用として供給できるワクチンは約180万回分しかないと説明しています。

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 以前にも紹介しましたが、ワクチン接種をしていなかったため、2009年8月には、熊本市の7歳の男児が日本脳炎ウイルスを発症しています。今後、ワクチンの供給体制に注意を払い、できるだけ早期に接種することを各自が検討すべきでしょう。

(谷口恭)

参考:医療ニュース2010年1月21日「日本脳炎ワクチン接種奨励再開の見込み」

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2010年2月1日(月) ビタミンDの不足は大腸ガンのリスク

 大腸ガンは、元来は欧米人に多く日本人にはそれほど多くないとされていましたが、近年日本でも罹患者が急増しています。過去30年間で5倍にもなっており、2015年には他のガンを抜いて1位になるとの試算もあります。

 その大腸ガンの予防にビタミンDが有用であろうということは以前から指摘されていたのですが、フランス国際ガン研究機関(IARC)が、これを裏付ける疫学的研究を発表しました。医学誌『BMJ』オンライン版2010年1月21日号に掲載されています(下記注参照)。

 研究では、欧州10ヵ国を対象とし、大腸ガンと診断された1,248人と同じ数の健常者の血中ビタミンD濃度を測定しています。年齢、性別、BMI、生活習慣なども考慮しています。

 その結果、血中ビタミンD濃度が最も少ないグループでは、最も多いグループに比べて大腸ガンのリスクが40%も上昇することが分かったそうです。そして、興味深いことにビタミンDを経口摂取することでこのリスクが軽減するそうです。

 尚、大腸ガンを結腸ガンと直腸ガンに分けて考えたとき、ビタミンD不足によるガンのリスクは結腸ガンで強く、直腸ガンではリスク上昇が認められなかったそうです。

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 ビタミンDの経口摂取で大腸ガンが予防できるなら、今後サプリメントなどで積極的な摂取が勧められることになるかもしれません。ビタミンDが不足すると、骨粗しょう症や骨軟化症といった骨が弱くなる病気が起こりやすくなったり、免疫力が損なわれたりする可能性も指摘されています。

 ただし、ビタミンDは脂溶性のビタミンであり、過剰摂取は高カルシウム血症、肝機能障害などのリスクになります。

 今後の研究を待ち、ビタミンD摂取に関する何らかのガイドラインが作成されることを望みたいと思います。

(谷口恭)

注:この論文は下記URLで要約を読むことができます。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20093284

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2010年2月1日(月) 子供の誤飲、トップは30年連続でタバコ

 家庭で起きる子供の誤飲事故のトップはいつもタバコです。

 厚生労働省が1月31日、「家庭用品などにかかる健康被害病院モニター報告」を発表し、子供の誤飲で2008年度に最も多かったのがタバコで33.3%に上ることが分かりました。これで子供の誤飲は1979年度の調査開始以来、30年連続でタバコがトップということになります。

 最近は「禁煙志向」が高まり、タバコが誤飲事故全体に占める割合は減少傾向にあるようですが、それでもダントツの1位です。(2位は「医薬品・医薬部外品」、3位は「玩具」)

 この調査は、全国7ヶ所の病院で報告のあった477件の誤飲事故を集計することによりおこなわれています。477件のうちタバコによるものは159件です。年齢別では生後6ヶ月から1歳半に集中しており139件に上っています。

 タバコの誤飲が多いことに対して、財団法人日本中毒情報センターは「たばこの誤飲事故が多いのは畳の上での生活が多い日本特有の傾向。大人の不注意で床や低いテーブルなど乳幼児の手が届きやすい場所にたばこが置かれる」と分析しています。

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 タバコは、ニコチンの浸出液を誤飲した場合が深刻です。特に、缶飲料の空き缶に水を入れ灰皿代わりに使用しての誤飲事故が最も起こりやすく、また最も危険といえます。小児の場合、タバコ1本でも死に至ることがありますから、このような”簡易灰皿”の使用は控えるべきでしょう。

 子供の誤飲にはさらにもうひとつ特徴があります。それは何度も繰り返すことがあるということです。乳幼児には「学習効果」はないと考えるべきです。

(谷口恭)

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2010年2月3日(水) 杉並区、大田原市でもHPVワクチン全額助成

 新潟県魚沼市に続き、兵庫県明石市でも10代前半の女子に対する子宮頚ガンのワクチン(HPVワクチン)の全額公費負担がおこなわれることになったことをお伝えしたばかりですが(下記注参照)、東京都杉並区、栃木県大田原市でも同様の政策が発表されました。

 東京都杉並区では、2010年度から区内在住の新中学1年生女子を対象に、全額公費負担でHPVワクチンの接種がおこなわれるようです。対象者には杉並区外の私立中学に通学する生徒も含まれ、接種対象者は合計で約1,600人となるそうです。(報道は2月2日の毎日新聞)

 栃木県大田原市では、2010年度から市内の小学6年生女子児童を対象に接種を開始するそうです。対象の児童は市内23校で合計347人となるそうです。(報道は2月2日の毎日新聞)

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 栃木県大田原市というところは医療費の公的補助に積極的で、栃木県が2010年度から小学6年生までの医療費を無料にするという政策を決定していますが、同市は独自に中学3年生までを無料にすることを発表しています。

 これで合計4つの自治体でHPVワクチンの全額助成が決定されたことになります。これから他の自治体でも、少なくとも検討はおこなわれるようになるでしょう。今後の報道に注目していきたいと思います。

(谷口恭)

参考:
はやりの病気第77回「子宮頚ガンのワクチンはどこまで普及するか」
医療ニュース2010年1月23日「魚沼市に続いて明石市でもHPVのワクチン無料」

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2010年2月8日(月) MMRワクチンと自閉症との関連性は誤り

 MMRワクチンとは、麻疹(はしか)、おたふく風邪、風疹を一度に予防することのできる混合ワクチンで、以前は日本でも接種されていました。日本では死亡例を含む副作用が出現したために1993年4月に接種が中止されています。

 このMMRワクチンと「自閉症」との関連性についての論文が、1998年に英国医学誌『Lancet』に掲載されていたのですが、2月2日、同誌はこの論文を「誤りであった」として取り下げることを発表しました。(報道は2月2日のBBC newsなど。下記注参照)

 この論文は1998年2月28日発行の同誌に掲載されています。英国人の医師が、腸炎を発症している自閉症の児童12人の組織を調べ、自閉症の症状が出現する直前に受けたMMRワクチンとの関連を指摘しています。

 この論文の真偽をめぐり、10年以上の議論がおこなわれ、英国政府の諮問委員会は1月下旬に「研究は不誠実に(BBCの原文は”dishonestly”)おこなわれた」と判断し、これを受けた同誌が論文を取り下げることを決定したという次第です。

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 英国では、この論文によりMMRワクチンの副作用の不安が社会に広がり、その結果予防接種を控える親が増加し、麻疹(はしか)の流行が起こったこともあったそうです。

 MMRワクチンが日本で使われなくなったのは、おたふく風邪(ムンプス)のワクチンの副作用で無菌性髄膜炎が発症したという報告が相次いだからで、現在はこの成分を抜いたMRワクチン(はしかと風疹の混合ワクチン)が使用されています。

 今のところ『Lancet』のこの論文撤回の発表を受けて、日本でMMRワクチンが再開されることはないと思われます。

(谷口恭)

注:BBC NEWS 2010年2月2日 Lancet accepts MMR study ‘false’

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2010年2月8日(月) 個人輸入の薬、死亡例も

 インターネットなどを通して個人輸入で薬を入手すると、ニセモノをつかまされるだけでなく、有害物質により苦しめられることもある、ということは以前お伝えしましたが、医学誌『International Journal of Clinical Practice』に、こういった被害を検証した論文が掲載されましたので紹介します。(論文の詳細は下記注参照)

 論文によりますと、インターネットを通して販売されているニセ薬(counterfeit drug)が急増しており、ヨーロッパでは2005年から2007年までの間にニセ薬の押収量が4倍になっており、FDA(米国食品医薬品局)の捜査件数は2000年から2006年までの間に8倍にもなっています。

 ニセ薬の売上は5年間でおよそ2倍にもなっており、2010年には750億USドル(約6,750億円)にもなると試算されています。ヨーロッパでは、250万人(!)もの男性がバイアグラのニセ薬を購入したことがあるとのデータもあります。

 最悪の場合、死亡することもあるようです。

 2008年には、シンガポールでED治療薬のニセ薬を飲んだ男性4人が死亡しています。このニセ薬には血糖降下剤が混入していたそうです。

 また、貧血の治療のためにニセモノの鉄剤の注射を受けた妊婦2人が死亡した例や、バングラデシュでジエチレングリコールが混入されたアセトアミノフェン(海外の薬局では「パラセタモール」として処方せんなしで買える解熱鎮痛剤です)のシロップを服用した小児51人が死亡した例もあります。

 論文によりますと、研究者の1人は、「問題を避ける唯一の方法は、インターネットで購入しないこと」と述べています。

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 ニセ薬が最も流通していると言われているバイアグラは、海外では100mgが主流です。一方、日本の医療機関で処方されるバイアグラは25mgか50mgです。もしも日本人が100mgのバイアグラを飲めば副作用のリスクが一気に上昇します。つまり、ニセ薬でなく、本物であったとしても、インターネットなどで購入した100mgのバイアグラは大変危険なのです。それに、内容物がニセモノであることも多いのですから、容量が記載されているとおりという保証はどこにもないわけです。

 インターネットでの購入は、ニセモノをつまされることが多く、最悪の場合は死亡する可能性もあり、たとえ本物だったとしても容量が信用できないかもしれない・・・、今のところ個人輸入は合法ですが、リスクはかなり大きいと言えるでしょう。

(谷口恭)

注:この論文のタイトルは、「Counterfeit phosphodiesterase type 5 inhibitors pose significant safety risks」で原文は下記のURLで読めます。

http://www3.interscience.wiley.com/cgi-bin/fulltext/123243854/HTMLSTART

参考:医療ニュース2009年12月4日「個人輸入のED改善薬、6割がニセモノ」

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2010年2月8日(月) やはり塩分とり過ぎは3大死因のリスク

 塩分の取りすぎが脳卒中やガンの原因になっている、というのは以前から言われていたことですが、これを検証する調査結果が報告されました。

 厚生労働省の研究班は、2月4日、「1日の間に摂取する塩分が多い人は脳卒中や心筋梗塞といった循環器疾患及びガンになりやすい」という研究結果を発表しました。(報道は同日の日経新聞夕刊など)

 この調査は、8つの県に住む45~74歳の男女約8万人を対象に実施されています。対象者を、塩分摂取量、塩辛や漬物・イクラなど塩漬け食品の摂取量によって5つのグループに分け、6~9年間の調査期間中のガン、循環器疾患の発症状況を調べています。

 その結果、塩分の摂取量が多いグループ(1日当たり平均17.8グラム)は、少ない群(同7.5グラム)に比べて循環器疾患の危険性が最大19%高くなっていました。また、塩漬け食品の摂取量が多いグループは、何らかのガンを発症する危険性が最大15%高いという結果がでています。

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 塩漬け食品とは、漬物、塩蔵魚や干物などであり、これらは、伝統的な日本食で「身体にいい」と言われることもありますから、食生活のなかにどのように取り入れていくかというのはむつかしい問題です。

 なぜ塩漬け食品がガンのリスクになるかというと、1つは胃の中で塩分が増えすぎると胃粘膜が傷つく可能性があります。また、塩漬けの過程で生じるいくつかの化合物が胃ガンや大腸ガンのリスクとなっているのかもしれません。

 参考までに、厚生労働省が推薦している食塩摂取量は、男性で1日10グラム未満、女性で8グラム未満です。

 メタボリックシンドロームが診断基準を巡って(特に腹囲で)議論が分かれるのに対し、塩分過剰摂取→高血圧→3大疾病のリスク上昇というのはほとんどの学者が賛同していることです。ここ数年はメタボ対策が叫ばれていますが、血圧のリスクについても再考すべきでしょう。

(谷口恭)

参考:
医療ニュース2009年5月1日「高血圧はメタボより危険!」
医療ニュース2010年1月27日「高血圧の半数の人が受診せず」

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2010年2月8日(月) イソフラボンで肺ガンのリスクが低下

 タバコを吸わない男性では、豆腐や納豆などに含まれるイソフラボンの摂取量が多い人が肺ガンになるリスクは、摂取量の少ない人の半分以下・・・。

 このような研究結果が厚生労働省の研究班により発表されました。(報道は2月5日の共同通信など)

 研究班は、岩手、秋田など合計8県に住む45~74歳の男女約76,000人を平均11年間追跡調査しています。追跡期間中、男性481人、女性178人が肺ガンに罹患しました。食事内容の調査から、イソフラボンの摂取量を算出し、男女をそれぞれ4つのグループに分け、肺ガンの発症率を比較しています。

 その結果、男性の非喫煙者では、イソフラボンの摂取量が最も多いグループ(豆腐換算で1日約203グラム、豆腐1丁は300~400グラム)の肺ガン発症率は、最も少ないグループ(同約37グラム)の43%であることが分かりました。

 男性全体では、イソフラボン摂取量と肺ガン発症率の関連性は認められませんでしたが、これは喫煙の影響がかなり大きいからではないかと考えられます。また、女性では、やはりイソフラボンの摂取量が多いほど肺ガンになりにくいという傾向が確認されましたが、統計学的に有意という程の差ではなかったとのことです。

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 豆腐や納豆といった大豆食品で肺ガンのリスクが軽減するというのは嬉しい報告ですが、これはタバコを吸わないことが前提です。実際、研究者のひとりは「肺ガンの最大の原因はやはりタバコである」と述べています。

 イソフラボンは、女性ホルモン(エストロゲン)様の効果があるとされているフラボノイドで、乳癌や子宮体癌などのリスク低減(ただし、逆に増加するのではないかという説もあります)、更年期障害や糖尿病、骨粗鬆症などにも効果があると言われることがあります。

 今回の肺ガンのリスク低減に効果があるとする研究は注目に値するでしょう。しかしながら、これは食品に含まれるイソフラボンであって、サプリメントに同様の効果があるかどうかは不明です。

(谷口恭)

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