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2024年5月5日 日曜日
2024年5月 小池百合子氏のカイロ大学”卒業”が真実と言える理由
8年前のコラム、マンスリーレポート2016年6月「己の身体で勝負するということ」には大勢のコメントをいただきました。当時、学歴詐称で表舞台から姿を消したタレントのショーンK氏を引き合いに出し、私自身の経験から、後に行き過ぎた私見であることは認めるようになったものの、現在も学歴・職歴にこだわる人たちを冷ややかにみている、という話をしました(尚、8年前には社会からバッシングされている氏をかばうために「SK氏」としていましたが、現在では氏を悪く言う人はもういないでしょうから「ショーンK氏」と”実名”にします)。
自分の学歴・職歴を前面に押し出そうとしている人を私が哀れに感じるのは、「あなたは自分に自信がないから、そういったことを持ち出すのですね」と思えるからです。その大学(院)やその企業はエライのかもしれませんが、「だからあんたは何なの?」と私には思えます。他人の学歴・職歴を気にする人に対しては「あなたは人を見る目がないから、そうやって他人の属性でしか人を判断できないんじゃないんですか」と言いたくなります。
しかし、学歴(や職歴)で人を判断する人、自分の学歴を自慢したがる人は世の中に少なくありません。最近、立て続けにそのような”事件”が3件も報道されたことからもそれはよく分かります。まず、その3件を振り返ってみましょう。
米国で活躍するプロ野球選手大谷翔平氏の元通訳で、違法賭博と銀行詐欺の罪を犯したとされる水原一平氏が学歴を詐称していたことが報道であきらかとなりました。水原氏は、2007年にカリフォルニア大学リバーサイド校を卒業とされていましたが、NBCによると、同校は「水原氏が通っていた記録はない」と回答しています。
「県庁はシンクタンク。 野菜を売ったり牛の世話をしたりモノを作ったりとかと違い、皆さまは頭脳・知性の高い人たち」など、信じられないような差別発言を繰り返し、辞意を表明した静岡県知事の川勝平太氏は「オックスフォード大学で博士の資格を取ったこと」が自慢だそうです。川勝知事の場合、学歴を詐称しているのではなく学歴を自慢していることがなんとも滑稽です。日本学術会議任命拒否問題のとき、川勝知事は菅首相(当時)に対し「菅義偉という人物の教養のレベルが露見した」と発言し非難されました。調べてみると、菅首相(当時)は法政大学出身でした。
川勝知事は、かつて自身が学長を務めていた大学の女子学生に「11倍の倍率を通ってくるんですから、もうみなきれいです」、「めちゃくちゃ顔のきれいな子は賢いこと言わないとなんとなくきれいに見えないでしょう。ところが全部きれいに見える」などと発言したことがNHKに報道されました。オックスフォードで博士号をとれる優秀な人になら分かるのでしょうが、私には「めちゃくちゃ顔のきれいな子は……全部きれいに見える」の日本語がいまだによく分かりません。
カイロ大学文学部社会学科を1976年10月に主席で”卒業”した東京都知事の小池百合子氏は、90年代初頭からその学歴が虚偽であると繰り返し指摘されています。その都度、小池氏は卒業の”証拠”を公表し反論しています。ここで経緯を簡単に振り返ってみましょう。
・1992年の参院選の際、カイロ大学卒業を疑う報道が相次いだため、小池氏は当時連載していた『週刊ポスト』のコラム「ミニスカートの国会報告」1993年4月9日号でカイロ大学の卒業証書を写真で紹介した
・2016年の東京都知事選挙の際、6月30日放映のテレビ番組「情報プレゼンター とくダネ!」が学歴詐称疑惑を扱ったため、小池氏は卒業証書と卒業証明書を担当者に送った(ことを「週刊文春」が報じた)。
・2018年6月8日、「文藝春秋」が、「小池氏はカイロ大学を卒業していない」ことを証言した、小池氏がカイロ滞在時に同居していた女性(後に実名を公開)に取材をし、記事を発表した
・2020年5月27日、「週刊文春」が「『カイロ大学卒業は嘘』 小池百合子東京都知事の学歴詐称疑惑 元同居人が詳細証言」との記事を配信し、卒業関係書類のロゴやスタンプが偽物であると報じた
・同日、「プレジデントオンライン」に「『カイロ大学卒業は本当』小池百合子東京都知事の学歴詐称疑惑 カイロ大学が詳細証言」が掲載された。カイロ大文学部日本語学科の教授が「確かに小池氏は1976年に卒業している。72年、1年生の時にアラビア語を落としているが、4年生の時に同科目をパスしている。これは大学に残されている記録であり、私たちは何度も日本のメディアに、同じ回答をしている」と証言している、と報じた
・同年5月29日、石井妙子氏の『女帝 小池百合子』が出版され、(上述の)元同居人の証言などに基づいた学歴詐称疑惑が明らかにされた
・Wikipediaによると、同年6月8日、カイロ大学のモハンマド・エルホシュト学長が「(小池氏は)1976年にカイロ大文学部社会学科を卒業したことを証明する」「卒業証書はカイロ大の正式な手続きにより発行された」「日本のジャーナリストが証書の信ぴょう性に疑義を示したことは、大学と卒業生への名誉毀損で看過できない」との声明を発表した
・同年6月9日、駐日エジプト大使館が、カイロ大学が発表した「小池氏が1976年10月に卒業したことを証明する旨の声明文」をフェイスブックで公開した
・2024年4月9日、「文藝春秋」が、元都民ファーストの会事務総長の小島敏郎の記事「『私は学歴詐称工作に加担してしまった』小池百合子都知事 元側近の爆弾告発」を公開。さらに、上述の同居人が実名を公表し「百合子さん、あなたが落第して大学を去ったことを私は知っている──」を公開した
ここまでくると、小池氏がカイロ大学を「卒業」していないことはもはや疑いようがないでしょう。そもそも小池氏は(wikipediaによると)自著『振り袖、ピラミッドを登る』(1982年)の58ページに、「1年目に落第し、次の学年に進級できなかった」と記述しています。卒業には最低で5年かかり、早くても1977年となるわけですら、1976年10月に卒業していないのは自明です。
ですが、私自身は小池氏が”卒業”したのもまた事実だと思っています。なぜ、そんなことが言えるのか。私はエジプトに渡航したことがありませんし、この国について詳しいわけではありませんが、「この地域の卒業証書なんて(少なくとも70年代には)金さえ払えばどうにでもなった」という話を複数の人から聞いているからです。
学歴を金科玉条のように持ち出す人がいますが、しょせん学歴なんてそんなものです。実は、学歴や職歴を詐称している人など日本国内にもいくらでもいますし、バレない方法もあります。せっかくですから、その「方法」をここで伝授しましょう。
提出先にもよりますが、例えばあなたが中小企業に就職するとして、その企業が卒業証書や職歴を証明する書類を求めたりすることはまずありません。だから、履歴書に嘘を書いてもバレることはまずないのです。
では、大企業などに就職を考えるときはどうすればいいのでしょうか。その場合、今はない大学、今はない企業名を書くという方法があります。例えば関西出身の私の知人(といっても海外で知り合ったバックパッカーで今は交流はありませんが)は、「神戸商船大学卒業、兵庫銀行で勤務」と履歴書に書くそうです。神戸商船大学は今はなき国立大学で、兵庫銀行はすでに倒産しています。銀行はともかく、商船大学の卒業証明書は国立大学だったのですからどこかで発行してもらえると思うのですが、その知人によると「そこまで求められたことは一度もない」そうです。
また、たぶんこれは「言ってはいけないこと」でしょうが、実は医者の世界には「裏口入学」や「替え玉受験」の話などいくらでもあります。医師国家試験に合格しているからいいではないか、と言う人すらいます。筋萎縮性側索硬化症(ALS)を患う京都在住の女性を殺害して起訴された40代の(元)医師は韓国の医大を卒業したとされていましたが、これが虚偽であったことが事件後に発覚しました。
学歴なんてこんなものです。自分の学歴を自慢したり、学歴で人を判断することがいかに馬鹿げているかが分かるでしょう。学歴や職歴などの「付随するもの」ではなく、今あなたの目の前にいるその人が信用できる人物か否かを見極めるのはあなた自身の「眼力」にかかっています。その眼力を身に着けるためにあなたに必要なのが学歴や職歴でないことはもはや言うまでもないでしょう。
ちなみに私は大阪市立大学(現・大阪公立大学)と関西学院大学を卒業していて、前者は一部の医師や医学生から(特に阪大の医師から、と聞きます)「阿倍野ドクター教習所」と揶揄され、後者は元大阪府知事の橋下徹氏から「8流大学」とこき下ろされています……。
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|2024年5月1日 水曜日
2024年5月1日 座りっぱなしの死亡リスクはコーヒーで解消? 30分減らせば血圧低下
座りっぱなしの健康リスクが極めて大きいことはこのサイトで繰り返し伝えてきていますし、世間でも周知されてきています。世界的には「座りっぱなしは新たな喫煙(Sitting is the New Smoking)」とも言われています。
今回は座りっぱなしに関する最近発表された2つの研究を紹介します。まずは「長時間座りっぱなしの生活をしていてもコーヒーを飲めば死亡リスクが増えない」というちょっと信じられない研究で、医学誌「BMC Public Health」2024年4月17日号に「毎日の座っている時間とコーヒーの摂取量と、米国成人における全死因および心血管疾患による死亡リスクとの関連性(Association of daily sitting time and coffee consumption with the risk of all-cause and cardiovascular disease mortality among US adults)」というタイトルで掲載されています。
研究の対象者は2007~2018年の米国民健康・栄養調査(National Health and Nutrition Examination Survey of US)に参加した10,639人(平均年齢47.1歳、女性50.0%)です。観察期間中に合計945人が死亡、うち284人が心血管疾患で死亡しています。1日8時間以上座る人は、4時間未満の人に比べて、全死因死亡リスクは46%上昇、心疾患での死亡リスクは79%上昇していました。
コーヒー摂取量が最も多い人(1日540g以上)は、コーヒーを飲まない人に比べると、全死因死亡リスクが33%減少、心血管系疾患での死亡リスクは54%減少していました。
また、「1日6時間以上座るコーヒーを飲まない人」は、「1日6時間未満しか座らずコーヒーを飲む人」に比べて、全死因死亡率が58%上昇していたものの、長時間座っていてもコーヒーを飲んでいればそのリスク上昇がないことが分かりました。
もうひとつ、最近発表された研究を紹介しましょう。「1日当たりの座りっぱなしの時間を30分以上減らせば血圧が下がる」とするもので、医学誌「JAMA Netw Open」2024年3月27日号に掲載された「高齢者の座位時間の減少と血圧 ランダム化臨床試験(Sitting Time Reduction and Blood Pressure in Older AdultsA Randomized Clinical Trial)」です。
研究の対象者は60~89歳でBMIが30~50の男女283人(試験開始時の平均年齢68.8歳、女性65.7%)で、座りっぱなしの時間を30分減らすよう介入されたグループ140人と、介入なしの143人に分けられました。結果、介入されたグループでは6カ月後に収縮期血圧(上の血圧)が平均3.48mmHg低下していました。
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補足しておくと、コーヒーの研究では1日540g以上の意味がよく分かりません。通常コーヒーは1杯あたりに使用される豆の重さは10からせいぜい15g程度です。ということは540gだと1日50杯近くになりますが、これほど飲んでいる人がそんなに多いはずがありません。ということは、「豆ではなく飲むコーヒーの重量」と考えればいいのでしょうか。しかし、コーヒーの比重を仮に1.2とすれば540÷1.2=450mLとなり、通常のコーヒーカップ2杯ちょっとということになり、これでは少ないような気がします。結局よくわかりませんが、常識的な範囲でコーヒーをたくさん飲む人は座りっぱなしの心疾患系疾患のリスクが減ると考えておくのがいいでしょう。
血圧の方の研究は対象者のBMIが30以上と肥満の人だけで検討されています。日本人にはそのまま応用できない可能性があります。座りっぱなしの研究は欧米で先行していて、日本人を対象としたものはあまりありません。今後日本の研究に注目したいと思います。
参考:医療ニュース2023年9月30日「座りっぱなしの時間が長ければ運動しても認知症のリスク上昇」
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|2024年4月29日 月曜日
2024年4月29日 GLP-1受容体作動薬、パーキンソンにもアルツハイマーにも有効か
糖尿病だけでなく肥満にも劇的な効果を示すGLP-1受容体作動薬(以下、単に「GLP-1」)は、「糖尿病患者の心不全と身体活動制限を改善する」ことを示した論文が話題となっています。
谷口医院の患者さんをみていると、糖尿病の改善や体重減少よりもむしろ、「飲酒量が減った」「もう少しで禁煙できそう」「買い物依存が治ったかも」「チョコレートが欲しくなくなった」など、「依存症の治療薬」として期待できるのではないかということです。これは学術的に認められたわけではなく、おそらく私以外にこんなことを主張している医師は見当たらないのですが、重要なことだと考えて、毎日新聞の「医療プレミア」及び「日経メディカル」の私の連載で公表しました。
今回紹介したいのはGLP-1の「抗炎症作用」です。動物実験も含めて次のような研究が発表されています。
・GLP-1は脂肪肝のマウスの肝臓の炎症を軽減したという研究
・同様に、GLP-1が肥満マウスの脂肪組織の炎症を軽減したという研究
・日本人を対象としたGLP-1が脂肪肝を改善したという研究
・GLP-1がマウスの腎臓の炎症を改善したという研究
・GLP-1がマウスの心臓の炎症を改善したという研究
これらの研究も興味深いのですが、さらに注目したいのが「脳における抗炎症作用」です。万人が認めるわけではないものの、パーキンソン病、さらにはアルツハイマー病も病気の正体は実は「脳の炎症」ではないか、という考えがあります。もしもこれら難治疾患がGLP-1で改善する可能性があるのなら研究を進めるべきでしょう。
GLP-1の一種であるエクセナチド(商品名は「バイエッタ」)というGLP-1が、パーキンソン病患者の運動能力の大幅な改善につながることを示した研究が医学誌「The LANCET」に掲載されています。
さらに、リキシセナチド(商品名は「リキスミア」)というGLP-1が、早期パーキンソン病の進行を抑制するという医学誌「NEJM」に掲載された研究もあります。
ところで、糖尿病があって肥満があれば血液検査でCRP(C反応性蛋白)が高値になることがあり、これは全身に炎症があることを示しています。ということは、GLP-1で抗炎症作用が生じるのは、GLP-1の直接の作用ではなくて、糖尿病と肥満が解消されることが原因と考えるべきなのでしょうか。
科学誌「Nature」はそうでないと言及しています。その理由は、GLP-1の抗炎症作用は、有意な体重減少が達成される前に始まることが確認されているからです。
もうひとつ気になるのは、パーキンソン病(さらにはアルツハイマー病も)がGLP-1で改善するのなら、GLP-1は脳に移行しているのか、という問題です。血中の物質が脳へと移行するのは「血液脳関門」を通らなければなりません。
上述のNatureによると、GLP-1受容体(GLP-1が作用する物質)は脳内に豊富に存在し、研究チームがマウスの脳内のGLP-1受容体をブロックしたところ、GLP-1は炎症を軽減できなくなりました。これは、GLP-1の少なくとも一部は脳に作用し、脳内のGLP-1受容体に結合することを示しています。
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|2024年4月21日 日曜日
2024年4月20日 ピロリ除菌の失敗は「虫歯」が原因かも
「日本人の大勢がヘリコバクターピロリが陽性なのに調べていない人が多すぎる」のは周知の事実ですが、一向に検査が広がりません。私自身は「ピロリの検査は自費でも実施すべきだ」と言い続けていますが、そうは言っても自費の検査というのはなかなか勧めにくいものです。
谷口医院の患者さんがピロリ陽性だと分かるのは、たいていは健診や人間ドックでたまたま調べたというケースか、胃の調子が悪くて胃カメラのクリニックを紹介してそこで発覚する事例です。「ここ(谷口医院)で自費でいいから調べてほしい」とリクエストされて陽性が発覚するのは全体の1割程度です。
ピロリは陽性であることが分かっても、必ずしも除菌が必要かは意見が分かります。消化器内科の医師は(おそらくほぼ全員)「除菌しましょう」と言うわけですが、除菌して後悔している人がそれなりに多いのも事実です。除菌前まではまったく症状がなかったのに除菌したことが原因で逆流性食道炎を発症してご飯が食べられなくなった、という人が少なくないのです。
今回は「除菌失敗」の話です。ピロリの除菌はまず一次除菌と呼ばれる標準的な治療(1週間3種類の薬を飲む)をおこないます。当院の経験でいえば、だいたい7割くらいが成功します。失敗した場合は二次除菌(やはり1週間3種類の薬を飲む)を実施します。これでも失敗する人が年に1~2名いて、この場合は三次除菌へと進みます(幸いなことに、谷口医院では三次除菌でも失敗した人はいまだにゼロです)。
どのような人が除菌に失敗しやすかについて、私自身は「これまでの抗菌薬使用量が多い人」という印象を持っています。しかしそれが正しいかどうかはエビデンスがありません。今回紹介したい研究は「ピロリ失敗は虫歯が原因かも」というものです。
研究は医学誌「Scientific Reports」2024年2月号に掲載された「日本人成人におけるヘリコバクター・ピロリの7日間3剤併用療法の除菌失敗と未治療のう蝕との関連性(Association between failed eradication of 7-day triple therapy for Helicobacter pylori and untreated dental caries in Japanese adults)」です。
研究の対象は、2019年4月から2021年3月に朝日大学病院でピロリの除菌と歯科検診を受けた226人(男性150人、平均年齢52.7歳)です。除菌に失敗した人は38人(17%)で、成功した人と比べて、1日2回以上歯磨きをする人が少なく、虫歯のある人が多いことが分かりました。虫歯があればピロリ除菌失敗のリスクが2.6倍となったのです。
興味深いことに、虫歯の本数が多いほど失敗しやすいことも分かりました。虫歯が1本の人の除菌失敗率は24%、2本では40%、3本では67%となり、大部分が失敗することを示しています。
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この問題以外にも、虫歯(齲歯)や歯周病が様々な疾患のリスクになるという研究は多数あります。あまり触れられませんし、医療機関でもあまり指導されませんが、歯科のケアは非常に大切です。谷口医院ではこれまで以上にデンタルケアの注意を促していこうと考えています。
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|2024年4月18日 木曜日
第248回(2024年4月) 危険なサプリメント
私が「サプリメント推奨派の医者」と思われているのか、当院では開院の2007年以来、サプリメントの質問はコンスタントに寄せられています。興味深いことに、その逆に「先生(私のこと)はサプリメントに反対する医者かと思っていました……」と言われることもしばしばあります。私自身はサプリメントには”中立”のつもりで、患者さんによっては推奨することもあれば、危険な(海外製の)サプリメントを摂取している人や、すでに副作用が出ている患者さんに対し中止するよう助言することもあります。
2007年の開院以来を振り返ると、サプリメントに関する質問も随分と変わってきました。当初多かったのは亜鉛、ビタミンC、プラセンタ、などで、2010年代中頃からはビタミンD、クロレラ、ウコンなどに関する相談が増えました。数年前からはNMNに関する問い合わせが急増しています。このようにサプリメントや健康食品には流行があります。
サプリメントに関する大きな「誤解」をはっきりさせておきましょう。これは患者さんが誤解しているというよりも、「医師が間違ったことを言っている」と私は以前から言い続けています。初診の患者さんから「前の病院では、サプリメントは効果がないからサプリメントなのであって、効果があるなら薬になるはず。だからサプリメントは必要ないと言われた」と教えてもらうことがあります。また「どんなサプリメントを飲んでいるかまで言わなくていい」と言われたという患者さんもいます。
これらは双方とも間違っています。まず、サプリメントに効果がないわけではありません。また使用しているサプリメントは申告してもらう必要があります。だから当院の問診票には、「健康食品・サプリメント等」という文字を入れて「使用している薬をすべて教えてください」と書いてあるのです。過去に何度か「〇〇で受診しただけでも必要なのですか」と聞かれることがあったので、問診票には「検査結果に影響を与えたり、飲み合わせの関係などで……」という文言を加えています。
「サプリメントに効果がない」が誤っていることを示すには「紅麹」だけでじゅうぶんでしょう。小林製薬の紅麹のサプリメントの事件で有名になったように、紅麹に含まれるモナコリンKはコレステロールを下げる薬「ロバスタチン」(名前が似ている「ロスバスタチン」とは別の薬)と同じ成分です。ロバスタチンは日本では承認されていませんが、米国ではコレステロール降下薬として処方されています。当然、他の「スタチン製剤」と同様、ときに腎機能障害をはじめ副作用のリスクがあり重症化することもあります。妊娠中は絶対に内服してはいけないものです。
「サプリメントの申告は不要」が間違っていることも紅麹だけでじゅうぶんでしょう。スタチンと同時に服用できない薬はいくつかあります。もしも、患者さんが紅麹を内服していることを知らずに医師がこういった薬を処方してしまえば取り返しのつかない事態になりかねません。
もちろん注意を要するサプリメントは紅麹だけではありません。「知らないでは済まされない」注意点があるものがいくつもあります。ちなみに紅麹に関していえば、谷口医院ではこれまで数回相談されたことがあり、全例で「やめておいた方がいい。どうしても必要なら保険診療でスタチンを処方します」と伝えています。保険診療のスタチンであれば、製品の品質が保証され、定期的な採血などで効果と安全性が確認できます。わざわざ高いお金を払ってサプリメントを飲む意味はまったくないのです。
では、日頃健康でかかりつけ医をもっていなくて、なんらかのサプリメントを始めたい場合はどうすればいいでしょうか。本来は薬局の店員や通販の担当者から助言を聞くべきだと思いますが、残念ながらそういったことはほとんどおこなわれていないようです。薬局やネットショップの販売店は利益が目的ですから、わざわざ販売額を減らすようなことに力を注がないのでしょう。「販売するなら安全配慮義務がある」と私は考えていますが、そんな正論を叫んでも虚しいだけです。よって自分の身は自分で守るしかなく、現実的な対処法を考えなければなりません。
サプリメントの総合サイトで私が推薦しているのは国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所のサイトのなかにある「素材情報データベース」です。残念ながら薬学の知識がないとちょっとわかりにくいのですが、信頼性は極めて高いページです。例えば、紅麹についてはコレステロール低下に有用な研究が掲載されていると同時に「カビ毒が検出された報告がある」と危険性についても言及されています。
リスクについては内閣府の「食品安全委員会」のサイトも推薦できます。検索キーワードに「紅麹」と入れれば、各国で紅麹が禁止されたり、注意勧告が発表されたりした情報がよく分かります。
新たにサプリメントを開始するのであれば、最低でもこれくらいの調査はすべきなのです。といってもこんな面倒くさいことはやる気にならない人の方が多いでしょうし、上述したようにある程度薬学や生化学の知識がなければ難易度が高いかもしれません。しかし、ドラッグストアや通販のショップに相談してもまともな対応をしてもらえるとは思えません。
ならばかかりつけ医に相談するしかありません。と、考えて谷口医院の患者さんたちは新しいサプリメントを始める前に私に相談されるのでしょう。
もうひとつ例を挙げてみましょう。上述したように、過去数年で最も相談件数が多いのがNMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド=nicotinamide mononucleotide)です。たしかにNMNは動物実験やヒトを対象とした小規模実験では、運動能力向上などの好ましい結果が出ています。では「素材情報データベース」をみてみましょう。NMNを調べてみると、残念ながら有効性は「見当たらない」とされています。おそらく「エビデンスがあるとされる研究はない」という意味でしょう。
小規模研究なら「健康状態が改善した」とするものもあるにはあるのですが(例えばこの論文)、とてもこれだけで推奨するわけにはいきません。また、他のサプリメントと同様、製品によって品質にばらつきがあるという問題もあり、実際それはメディアで報道されています。
では医療機関で実施している点滴なら有効で安全なのかというと、まったくそうではありません。そもそも規制があるために入手が簡単ではないはずのNMNをどうやって入手しているのかがよく分かりません。医師免許を持っている医師にとってみれば、医療行為に関する裁量権はかなり大きく(ありていの言葉で言えば「やりたい放題」)、医師だからといって信頼できるわけではありません。NMNの点滴は安全性も有効性もまったくなんの保証もありません。日本抗加齢医学会は2024年3月1日、「自由診療特に再生医療に関する安全性の注意喚起について」というタイトルの声明文を発表し、医師に向けて「特にNMN点滴療法、幹細胞培養上清液及びエクソソームの静脈投与につきましては、医療水準として未確立の療法であり、その有効性・安全性について、エビデンスに基づく十分な検討をお願いいたします」と注意を促しました。
では、なぜ一部の医師は有効性・安全性が確立していない医療行為に手を染めるのでしょうか。私は「結局はビジネスだから」という結論に達しました。私が医師になり、谷口医院を開業してからも「他の医師を悪く言わない」を心がけてきました。それが我々のルールであり、医師(のほとんど)は人格者だと信じていた(信じようとしていた)からです。しかし、医師の矜持を疑う出来事(つまり、「この医者、金儲けでこんなことやっているのか」と疑う事例)を繰り返し見聞きするようになり、コロナビジネスを手掛ける医師が少なくないことを知り、堕落した医師の存在を確信するようになりました。
NMNに話を戻すと、有効性が認められた人を対象とした大規模調査はありません。点滴のNMNは安全性が担保されていません。それから私がNMNに対してそれほど積極的になれない理由は「NMNと同じような働きをするナイアシンは日本人は充分に摂取できているから」です。2019年の国民健康・栄養調査によると、日本人のナイアシンの平均摂取量は、男性33.3mg/日、女性28.0mg/日で、厚労省が推奨している量(男性:13~15mgNE/日、女性:10~12mgNE/日)を上回っています。ということは、日本人の平均的な食事で(NMNと同様の成分が)じゅうぶんに補えていることになります。
では、平均的な日本人は必要な栄養素をすべて摂取できているのかというと、まったくそういうわけではなく、国民健康・栄養調査によると、摂取できているビタミンは、ナイアシンの他は、ビタミンE、ビタミンK、ビタミンB12、葉酸、パントテン酸だけで、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンCは不足しています。ミネラルをみてみると、カルシウム、マグネシウム、亜鉛が不足しています。食事で摂れないのならサプリメントでの摂取が選択肢となります。これらについてはこのサイト(やメルマガ)で追って紹介したいと思います。
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|2024年4月10日 水曜日
2024年4月 サプリメントや健康食品はなぜ跋扈するのか~続編~
小林製薬の「紅麹」のサプリメントで少なくとも5人が死亡し100名以上が入院した事件が連日報道されています。報道によると、プべルル酸による腎障害が指摘されているようですが、紅麹の危険性は随分前から分かっていたことで、谷口医院では以前から患者さんから相談されたときは(ほぼ)全例で「飲まない方がいい」と伝えてきました。
今回は2018年11月のコラム「サプリメントや健康食品はなぜ跋扈するのか」の続編としたいと思いますが、まずはなぜ紅麹が以前から危険だったのかを振り返っておきましょう。
そもそも紅麹は効果及び安全性が医薬品と同等と考えなければならないものです。紅麹の主成分はモナコリンKと呼ばれる物質で、これはコレステロールを下げる薬「ロバスタチン」(名前が似ている「ロスバスタチン」とは別の薬です)と同じ成分です。ロバスタチンは日本では承認されていませんが、海外ではコレステロール降下薬として処方されています。しかし、他の「スタチン製剤」と同様、ときに腎機能障害をはじめ重篤な副作用が起こり得ます。妊娠中は絶対に内服してはいけません。
2010年代初頭より、世界中で紅麹の安全性が問題視されてきました。例えば、スイスでは販売が違法とされました。ドイツでは摂取しないよう注意喚起が出され、フランス、EUは安全性の懸念を表明し、台湾では「慢性疾患がある場合は服用前に医療機関に相談するよう」勧告されています。
有名な論文もいくつかあります。医学誌「JAMA Internal Medicine」は2010年10月に「市販の紅酵製品のモナコリンにはバラつきが顕著。購入者は注意して!(Marked Variability of Monacolin Levels in Commercial Red Yeast Rice Products / Buyer Beware!)」という論文を掲載しました。論文のタイトルに「購入者は注意して!」と入っているのは極めて異例です。
医学誌「British Journal of Clinical Pharmacology」は2017年1月に論文「紅麹サプリメントの副作用:イタリアの監視システムによる症例の評価(Adverse reactions to dietary supplements containing red yeast rice: assessment of cases from the Italian surveillance system)」を掲載しました。紅麹の副作用として、筋肉痛および/またはCK値上昇(その後腎機能障害が起こります)、横紋筋融解症(こちらも腎機能障害を伴います)、肝機能障害を挙げています。これは当然と言えば当然で、スタチンの副作用とまったく同じです。
症例報告も上がっています。医学誌BMJは2019年に「紅麹サプリメントによる急性肝障害(Acute liver injury induced by red yeast rice supplement)」の報告を掲載しています。
そもそもスタチンの内服が必要なら、安全性が確立されていて値段も安い通常の医薬品のスタチンを使うべきであり、品質保証がなく、副作用が出ても自己責任となるこのようなサプリメントをあえて使う必要はありません。
ここでよくあるサプリメントの「誤解」を改めて述べておきましょう。「サプリメントは飲んでもたいして意味がない。意味があるなら医薬品になるはずだから」と言う人がいますが、これは完全に誤りです。誤解している人が多いので改めて強調しておくと、医薬品になるのは「効果があるから」ではありません。医薬品になるかどうかは「会社が医薬品にした方が儲かると判断したから」で決まるのが現実です。
医薬品として承認を受けようと思えば、時間と費用がものすごくかかる臨床試験(治験)をしなければなりません。しかしいったん医薬品として認められ、そして医師に気に入ってもらえれば利益は自ずとついてきます。だから製薬会社は医者を取り込もうとするわけです。臨床試験に協力してもらい、論文を書いてもらい(ときには製薬会社の社員が書いて医者は名前を貸すだけのようなものもあります)、処方してもらおうとするのです。
他方、このような戦略をとらず医薬品ではなくトクホ(特定保健用食品)を取得するという方法もあります。医薬品なら発売までにおそらく100億円を超える費用がかかりますが、トクホならその10分の1程度で済むと思われます。しかし、それでもとてつもない大金です。小さなメーカーにはとても捻出できません。そこで「サプリメント(機能性表示食品)として承認を得る」という選択肢がでてくるわけで、紅麹もそのひとつです。
患者さんから質問を受けて危険性を伝えてやめるように私が助言したことがあるサプリメントは紅麹以外にも多数あります。比較的頻度が多いのは、ラクツロース(ラクチュロース)(便秘薬として使いますが医療者の管理のもとで内服すべき)、活性炭(下痢、薬疹などがそれなりに多い)、プロテイン(腎機能障害を起こしうる)、クレアチン(腎機能障害)、ムクナ(様々な神経症状)などがあります。輸入品になってくるとさらに注意が必要です。最近ある患者さんが腎機能障害を起こし、その原因はアーユルヴェーダで使われる「スペマン」というサプリメントでした。
個人輸入という方法をとればサプリメントだけでなく通常の医薬品が簡単に入手できます。谷口医院の患者さんで最もトラブルが多いのはHIVの予防に使うツルバダ(またはデシコビ)の後発品です。他にも利尿薬、内服ミノキシジル、各種やせ薬などのトラブルが目立ちます。
では日本製の市販薬なら安全かというと、これがまったくそういうわけではありません。最近風邪薬や咳止めの大量摂取がメディアで取り上げられることが増えていて、実際の検挙数も多いようですが、私の実感でいえばこういう「ドラッグ摂取」は昔から珍しくありません。検挙者が増えているのはおそらく警察がSNSなどを解析して売買情報を入手しているからでしょう。
これら”ドラッグ”は初めから間違った使い方をするケースだけではありません。あまり指摘されませんが市販薬のなかには危険なものが多数あり、気付かぬ間に副作用や依存症を起こすことがあります。例えば、鎮痛薬の「イブ」を取り上げると、純粋な「イブ」には純粋なイブプロフェンしか含まれておらずこれはまだ安心できますが、「イブA」、「イブクイック」などの製品にはイブプロフェン以外にアリルイソプロピルアセチル尿素が含まれていて、これは眠気をもたらせる以外にも依存性がある薬物で、海外(のたいていの国)では市販が禁止されている物質です。他にもこのような例は無数にあります。また、そもそもイブプロフェン自体も使用は最小限にせねばならず腎機能障害のリスクになります。頭痛など慢性の痛みがある場合は医師の診察の下に服用すべきです。
「サプリメントは効果は乏しいけれど副作用が少ない」が完全な誤解であるのと同様、「市販薬は安心」もとんでもない勘違いです。
ではすべてのサプリメント、健康食品、市販薬には手を出さない方がいいのかというとそういうわけではありません。たとえば、妊娠中の鉄、葉酸は摂取すべきですし、たいていの日本人はビタミンDが不足していますからサプリメントでの摂取を検討すべきです。しかしこれらも摂りすぎるのは危険です。
医師や薬剤師が常に正しいとは限りませんが、それでも身体に作用するものを摂取するときには専門家の助言を参考にすべきです。かかりつけ医をもつべき理由のひとつです。
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|2024年3月31日 日曜日
2024年3月31日 帯状疱疹ワクチン、安い方でOK?
2年ほど前から帯状疱疹のワクチンに関する問い合わせが増えています。患者さんが「うちたい」というのはたいてい高い方のワクチンなので、これはおそらく製薬会社(やこのワクチンで儲かる他の人たち)のマーケティング戦略の結果でしょう。
ですが、谷口医院では結果としてほとんどの患者さんが安い方のワクチンを接種しています。もちろんその理由は「費用」です。高い方のワクチン(グラクソ・スミスクラインの「シングリックス」)は2回接種しなければならず合わせて4~5万円もします。一方、安い方のワクチン(阪大微生物病研究会「ビケン」)は7~8千円程度ですから価格はおよそ6分の1です。
シングリックスを推薦する人は「シングリックスの方が効果が高い」と言うわけですが、どの程度の差があるのでしょう。最近、安い方のワクチンでもそれなりに高い効果があることを示した研究が発表されたのでここに報告します。
医学誌「BMJ」2023年11月号に掲載されたその論文のタイトルは「帯状疱疹生ワクチンの接種後10年間の有効性: 電子健康記録を使用したコホート研究(Effectiveness of the live zoster vaccine during the 10 years following vaccination: real world cohort study using electronic health records )」です。
研究では米国の「Kaiser Permanente Northern California」と呼ばれるデータベースが使われています。対象は50歳以上の1,505,647人で507,444人(34%)が帯状疱疹の生ワクチン(安い方のワクチン)を接種していました。
調査によると、ワクチンの有効性は接種後1年目が67%と最も高く、その後は経時的に減っていき、10年後には15%まで低下していました。
帯状疱疹に罹患して最も困るのが「帯状疱疹後神経痛」と呼ばれる長引く痛みです。これを抑える効果について、1年目は83%で、10年後には41%へ低下していました。
************
高い方のワクチンとの比較がありませんが、1年目の有効性67%、1年目の帯状疱疹後神経痛抑制効果83%を「その程度しかないのか」と感じる人もいるのではないでしょうか。それならば高い方にしようと考える人もいるでしょう。もちろんそれでもいいのですが、帯状疱疹の最重要事項は「治療薬がある」です。
もしも治療薬がなくてワクチンしかない感染症であれば、ワクチンのプレゼンスが非常に高くなります。代表は麻疹(はしか)で、(1歳未満と30歳以上は)感染すると死に至ることもある重大な疾患で、治療薬はありません。ですがワクチンはあります。ワクチン2回接種で100%近い効果があります。
一方、帯状疱疹には薬があります。では、薬があるのにもかからず不幸なことに帯状疱疹後神経痛を発症する人がいるのはなぜでしょうか。それは「薬を飲まなかった」か「薬を飲み始めるのが遅かった」かのどちらかです。
つまり帯状疱疹で最も大切なのは「疑えば直ちに受診」です。日頃から「どのような症状が出れば帯状疱疹を疑うべきか」をかかりつけ医から学んでおき、少しでも可能性があればすぐに受診することが大切です。
帯状疱疹に関して言えば治療の主役は薬であってワクチンではないのです。このことを踏まえて高い方か安い方を検討すればいいでしょう。
参考:医療プレミア「帯状疱疹 50歳未満でもワクチン接種がお勧めの人たち」
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|2024年3月21日 木曜日
第247回(2024年3月) 認知症のリスク、抗うつ薬で増加、飲酒で低下?
認知症には信頼できる治療薬があるとは言えず、また決定的な予防法があるわけでもないことは本サイトで繰り返し述べています。治療薬について、日本のメディアではエーザイの「レカネマブ」を絶賛するような記事が目立ちますが、海外メディアは冷ややかなものが多いと言えます。ちなみに、海外メディアではレカネマブがいかに辛辣に酷評されているかについて私は「医療プレミア」で書いたことがあります。
2023年9月4日 「ここが問題! 認知症新薬「レカネマブ」」
2023年10月30日 「アルツハイマー病のリスク遺伝子検査は「気軽に受けてはいけない」」
認知症は内服薬もさほど効果は期待できません。期待できないどころか、余計に悪化する場合も少なくないことを知っておくべきです。実際、例えばドネペジル(アリセプト)を使いだしてから性格が荒っぽくなって家族が手に負えなくなったという事例は枚挙に暇がありません。効果に乏しく副作用のリスクが大きいわけですからそのような薬を保険診療で処方してもいいのか、という問題も生じています。仏国では2018年に、ドネペジル、ガランタミン(レミニール)、リバスチグミン(イクセロンパッチ/リバスタッチパッチ)、メマンチン(メマリー)の4種類が保険適用外とされました。これら4種はうまく使えば症状緩和に期待できるのは事実ですが、決して認知症を治すことができるわけではありません。
治療薬がないなら予防薬はどうでしょうか。昔から認知症の予防薬の開発は世界中で進められていますが、いまだに実現化にはほど遠い状態です。
では薬でない予防方法はどうでしょうか。これまた、世界中でいろんな研究が続けられていて、「地中海食がいい」「運動が予防になる」などととする研究結果もあるにはありますが、決定的なものではありません。少なくとも「〇〇をしていれば安心」というものはありません。
その逆に「〇〇はリスクになる」という研究は多数あり、肥満、喫煙、不健康な食事、運動不足、難聴、他人とのコミュニケーション不足、座りっぱなしなどがリスクとして確立されています。なかでも座りっぱなしは、「座りっぱなしの時間が長ければ運動しても認知症のリスクは上昇する」という研究があり、今すぐにでも対策をとらねばならない課題だといえます。
忘れてはならない認知症のリスクとなる要因は「薬」です。「はやりの病気」第151回「認知症のリスクになると言われる3種の薬」では、ベンゾジアゼピン、抗コリン薬、胃薬のPPI(プロトンポンプ阻害薬)を紹介しました。これらには「認知症のリスクを上げない」とする研究もありますが、最近発表されている数々の研究から判断して「リスクはある」と考えるべきだと私は思います。
他の「認知症のリスクを上げる薬」として、抗てんかん薬、抗パーキンソン薬、抗ヒスタミン薬、ステロイド、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)、循環器系治療薬(不整脈の薬や降圧薬)なども指摘されています。
さて、随分前置きが長くなりましたが、今回は最近「認知症のリスクになる薬」として報告された薬、そして「アルコールが認知症の予防になるかもしれない」という俄かには信じがたい研究を紹介したいと思います。
まずは最近報告された「認知症のリスクになる薬」の話をしましょう。その薬とは「SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)」です。SSRIとは2000年代以降、世界で最も使用されている抗うつ薬で「(重篤な)副作用はほとんどない」とされています。ベンゾジアゼピンのような依存性もなく、三環系抗うつ薬のような「眠気、ふらつき、倦怠感」もありません。当院でも2007年の開院以来、SSRIは最も多く処方している抗うつ薬です。2008年の「はやりの病気」で取り上げたこともあります(「SSRIは本当に効果がないのか」)。
世界で最も有名なSSRIはおそらく「プロザック」です。上述のコラムにも書いたように90年代には「ハッピードラッグ」と呼ばれ、全米での使用者は1千万人を超えました。日本ではなぜか今も発売されていませんが、他のSSRIは(当院も含めて)多くの医療機関で処方されています。フルボキサミン(デプロメール、ルボックス)、パロキセチン(パキシル)、セルトラリン(ジェイゾロフト)、エスシタロプラム(レクサプロ)の4種が日本では使用されています。
2008年のコラムでも書いたように、SSRIは万能ではありませんがよく効くことも多く、また副作用が少なく長期間使用しても依存性がないために使いやすい薬だと言えます。しかし最近、そのSSRIが認知症のリスクになるというショッキングな研究がスペインから発表されました。医学誌「Journal of Affective Disorders」2024年3月15日号に掲載されたその論文のタイトルは「抗うつ薬を使用した高齢者の認知症リスク:スペインにおける人口ベースのコホート分析(Risk of dementia among antidepressant elderly users: A population-based cohort analysis in Spain)」です。
研究にはスペインの医療データベースが用いられました。1種類の抗うつ薬を90日以上内服している60歳以上の62,928人を分析した結果、三環系抗うつ薬を内服している人に対し、SSRIを内服している人は認知症のリスクが1.792倍上昇していることが分かったのです(喫煙の有無、生活習慣上のリスク、既存疾患などの他のリスク因子は取り除かれて分析されています)。尚、この研究では他の抗うつ薬も「その他の抗うつ薬」として分析されており、三環系抗うつ薬のグループに比べ認知症のリスクが1.958倍高くなっていました。
では、うつ病には古典的な三環系抗うつ薬を使えばいいのかというと、上述したようにこの薬は「眠気、ふらつき、倦怠感」の副作用がそれなりの頻度で起こります。谷口医院では2000年代には(上述のコラムでも述べたように)SSRIをそれなりにたくさん処方していましたが、その後年々処方量を減らしています。患者さんからの要望も変化してきており、今では「他院で処方された抗うつ薬を減らしたい」という訴えが「抗うつ薬を処方してほしい」というリクエストをしのぐほどになっています。
最後に「飲酒が認知症のリスクを下げる」という衝撃的な研究を紹介しましょう。韓国の研究で、論文は医学誌「JAMA」2023年2月6日に発表された「韓国の全国コホートにおけるアルコール消費量と認知症リスクの変化(Changes in Alcohol Consumption and Risk of Dementia in a Nationwide Cohort in South Korea)」です。
研究の対象者は韓国在住の3,933,382人(平均年齢55.0歳、男性51.8%)で、飲酒量により4つのグループに分類されています。「まったく飲まない群」「少量(1日15グラム未満)飲酒する群」「中等量(1日15~29.9グラム)飲酒する群」「多量(1日30グラム以上)飲酒する群」の4つです。平均6.3年の追跡期間中に100,282人が認知症を発症しました。結果、「まったく飲まない群」に比べ、「少量飲酒する群」では21%、「中等量飲酒する群」では17%、認知症の発症リスクが低下していました。他方、「多量飲酒する群」ではリスクが8%上昇していました。
飲酒者には嬉しい研究と捉えられますが、さらに喜ばしい分析結果も出ています。多量飲酒する人が中等量に減らした場合、減らさなかった人に比べて認知症発症リスクが8%低下するという結果が出たのです。
ただし、少量、中等量、多量のアルコール量にはじゅうぶん注意が必要です。アルコールのグラム数は「摂取量(mL) × アルコール濃度(%)× 0.8」で算出します。例えば5%のビール500mLなら、500 x 5%(=0.05) x 0.8 = 20グラムとなります。この研究の「少量」がいかに少ない量かが分かるでしょう。
もうひとつ、注意が必要です。韓国人と日本人の「飲みっぷりの差」です。韓国の繁華街に行ったことのある人なら、韓国人がいかに大量に飲酒するかに驚いた経験があるのではないでしょうか。なにしろ、20歳前後の若い女性のグループがチャミスルの空瓶を大量に並べているシーンが日常的にあります。つまり、韓国人のアルコール分解能力は日本人を大きく凌ぐと考えるべきです。その韓国人が多くない飲酒量(1日30グラム未満)なら認知症のリスクが下がるというのがこの研究の結論です。同じことが日本人にあてはまるとは考えない方がいいかもしれません。
すべての日本人が直ちに完全禁酒する必要はないと思いますが、ほとんどの飲酒者は飲酒量を考え直すべきだとは言えるでしょう。前回のコラム「我々は飲酒を完全にやめるべきなのか」で述べたように、当院では最近ますますセリンクロの愛用者が増えています。
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|2024年3月11日 月曜日
2024年3月11日 「座りっぱなし」で仕事をする人にとっての効果的な運動は
本サイトで「座りっぱなし」のリスクについて初めて紹介したのは、おそらく2010年の医療ニュース「座っている時間が長い人は短命?」です。その後、繰り返し、「座りっぱなし」は寿命を縮めるだけでなく、生活習慣病、心血管系疾患、ED、さらには認知症のリスクを上昇させることを示した研究などを紹介してきました。
今や「座りっぱなし」は「第二の喫煙」とも呼ばれ、2020年にはWHOが正式に危険性を表明しました。WHOの主張を簡単にまとめれば、「小児から高齢者、妊娠中の女性、さらには障害を抱えた人も含めて、「座りっぱなし」は健康上のリスクになるので適切な対策をとらねばならない」となります。
今回は「座りっぱなし」がいかに有害化を示した台湾の大規模研究を紹介したいと思います。医学誌「JAMA」2024年1月19日号に掲載された論文「仕事で座る時間、余暇の身体活動、全死因および心血管疾患による死亡率(Occupational Sitting Time, Leisure Physical Activity, and All-Cause and Cardiovascular Disease Mortality)」にまとめられています。
研究の対象は1996~2017年の台湾の健康プログラムにの参加した合計481,688人の男女(平均年齢は39.3歳、女性53.2%)。平均追跡期間は12.85年、追跡期間中に26,257人が死亡しました。
「仕事中にほとんど座っている人(ones who mostly sat at work)」は「仕事中にほとんど座らない人(ones who were mostly nonsitting at work)」に比べ、全死因の死亡率が16%高く、心血管疾患による死亡率が34%高かったことが分かりました。「仕事中に座る・座らないを交互に繰り返す人(ones alternating sitting and nonsitting at work)」は、ほとんど座っていない人に比べ、死亡率の増加はみられませんでした。
この研究では「運動」で「座りっぱなし」による死亡リスクが解消できることを示しています。「ほとんど座っている人」が、1日15~30分の「余暇での運動(leisure-time physical activity, LTPA)」か、あるいはPAIスコア100以上の運動をおこなえば、LTPAをほとんどしない「ほとんど座らない人」に比べて死亡リスクが上昇しないことが分かりました。
************
この論文が簡単そうでややこしいのは、LTPA、PAIといった聞きなれない言葉がでてくることです。論文を読んでもLTPAとは具体的にどのようなものを差すのかがよく分かりません。もしかすると、台湾の公園などでよく見る大音量の音楽をかけてみんなで踊っているダンスのようなものでしょうか。
PAIは「Personal Activity Intelligence」のことでノルウェーの研究者Ulrik Wisløff氏が考案した指標です。PAIは運動中の心拍数の変化を週ごとのスコアに変換する指標で、有用度を検討した論文によると、10年前と現在の双方でPAIスコアが100以上であれば(PAI100以上の運動を続けていれば)、100未満の人に比べて、心血管疾患による死亡リスクが32%、全死因の死亡リスクが20%低くなります。
PAIが興味深いところは、スコアを各自の心拍数から算出している点で、この方式なら元々運動能力の高い人も低い人も指標として用いることができます。またスコアを算出する期間を1日ではなく1週間にしている点も注目に値します。この方法であれば「週末のみハードな運動をする人」も高得点になるからです。ただ、現時点ではすべてのウェアラブルデバイス(スマートウォッチ)に対応できているわけではなく、PAIスコアが計測できるデバイスはXiaomi(シャオミ)、Amazfit(アマズフィット)、MIO(ミオ)だけのようです。以前は、AppleWatchやFitbitなどでも連動させてPAIスコアが表示されるアプリがあったそうなのですが現在はサービスを終了しているそうです。
この台湾の研究で分かることは、座りっぱなしは死亡リスクとなるが、それなりに負荷のかかる運動をすればそのリスクが解消できそうだ、ということです。しかし、過去の医療ニュース「座りっぱなしの時間が長ければ運動しても認知症のリスク上昇」で紹介したように認知症のリスクは運動で解消されないという研究もありますから、「座りっぱなし」の仕事自体はやはり見直した方がいいかもしれません。
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|2024年3月10日 日曜日
2024年3月 「谷口医院がすてらめいとビルを”不法占拠”していた」裁判の判決
2022年6月7日、旧谷口医院が入居していたすてらめいとビルを運営する会社「株式会社すてらめいとジャパン」が谷口医院に対し、「貸していないスペースを谷口医院が不法占拠していた」という理由で3120万円の損害賠償請求の裁判を起こしてきました。
我々がビルを不法占拠していたとは穏やかではありません。当然のことながら谷口医院はすてらめいとジャパン(以下「すてらめいと」)と賃貸契約を結び、その契約どおりにビルを利用していました。もちろん契約書もあります。では、なぜ「すてらめいと」はこんな無茶苦茶なことを言ってきたのか。
すでに本サイトでお伝えしているように、階上に突然入居して振動をまき散らすキックボクシングジムに対して当院は防振工事をしてほしいとお願いしました。すてらめいとにとってはどうやらそれが気に入らなかったようです。以下、簡単に経緯を振り返っておきます。
2020年12月 階上にキックボクシングジムが事前相談もなく入居。振動をまき散らし始める
2021年5月 ジムが「防振工事を6月20日を目途に開始する」と文書で連絡してきた
2021年7月 「やっぱり工事はやらない」という連絡が届いた。そのため「約束どおり防振工事を求める」訴訟を起こすことをジム・すてらめいとの双方に伝えた
2021年12月 すてらめいとの弁護士が「家賃を2倍にする」と文書を送って来た。裁判所で当院の弁護士と「調停」がおこなわれ、「調停不成立」となった
2022年1月 当院の弁護士が「当初の約束通り防振工事をすること」を求め大阪地方裁判所に訴状を提出
2022年6月 「谷口医院がビルを不法占拠しているから3120万円を支払え」という裁判(以下「不法占拠裁判」)をすてらめいとが起こしてきた
2023年1月 振動裁判の終結時期の見通しが立たず、振動が悪化したことで針刺し事故のリスクが急増し、また移転先が見つからなかったため「閉院」を決定
2023年6月5日 不動産業を営む当院の患者さんから紹介されたビルを使えることになり「閉院」でなく「移転」できることになった
2023年8月 移転先で新しい「谷口医院」の再開
2024年1月12日 「不法占拠裁判」で谷口恭が尋問を受けた
「鉄筋」ではなく単なる「鉄骨」のビルで診療している医療機関の階上にキックボクシングジムを入れること自体がおかしいわけですが、今回は振動裁判の件はおいておくとして(現在も裁判中)、当院が防振工事をお願いしたことに対し、すてらめいとは腹を立てたのか、「そんなこと言うなら家賃を倍にする!」と訴えてきたことにまず驚かされます。
こんなこと法律に詳しくなくても認められないことは明らかでしょう。ですが、法律に詳しい人に相談すると「社会の常識と司法の判断は異なることもあるし、こちらも弁護士を立てるしかない」と言われました。そんなものか、と考えて当院の弁護士に相談したところ「調停」がおこなわれました。
結果は、もちろん「不成立」です。裁判所もいくら社会常識と異なる判断をするのだとしても、まさかこのケースで「家賃倍増に応じなさい」と当院に忠告することはないでしょう。
分からないのはすてらめいとの弁護士です。ときに一般人が感情的になって滅茶苦茶な要求を突きつけることはあります。ですが、弁護士はプロの専門家なわけです。専門家ならそんな感情的な訴えは認められないと考えないのでしょうか。私が裁判官なら「この弁護士、ちょっとおかしいな」と判断すると思います。
私には司法は分かりませんが、ビル会社の立場に立つなら「階上に入ったキックボクシングジムのせいで患者さんや医療スタッフに恐怖を与え危険な目に遭わせて申し訳ない。直ちに防振工事をおこなうから待ってほしい」と言うか、たとえ針刺し事故などのリスクが分からなかったとしても「家賃を下げることで我慢してもらうわけにはいきませんか」という申し入れをするのが普通の感覚ではないでしょうか。
それを「家賃を倍にする!」と主張するとは今から考えても理解できません。
2024年1月12日、大阪地方裁判所で「尋問」があり私が呼ばれました。通常、生まれて初めての裁判で、しかも「被告人」となり、相手方の弁護士や裁判官の尋問を受けるのは相当の緊張が強いられると思いますが、私にはそういったものがありませんでした。むしろ馬鹿馬鹿しくてやる気が起こりませんでした。そもそも「当院は契約書どおりに借りていただけです」と答える以外に何を言えばいいのでしょう。
他のことを聞かれれば正直に答えるだけです。しかしすてらめいとの弁護士があまりにも無茶苦茶なことを言ってくるので、つい「嘘を言わないでください!」と一喝してしまいました……。なんと、「入居後数年してから貸していないスペースに勝手にレントゲンを置いた」と言い始めたのです。
レントゲンは2007年の開院当初から設置してあることは調べればすぐに分かることです。レントゲンは一般のオフィス機器とは異なり保健所への登録が必要で、保健所の職員がきちんと法律に従って設置しているかを見に来ます。当然その記録も残っています。器械の販売会社にも記録があるはずです。それに、2007年にはすてらめいとの社員の健康診断も請け負ったのです。当然レントゲン撮影もしています。つまり、すてらめいともすてらめいとの弁護士も自分たちの主張が嘘であることが分かっていて、しかも調べればすぐにバレる嘘であることも知っていながら堂々と嘘をついてきたのです。裁判では嘘を言ってはいけないのではなかったでしょうか。さすがに私が一喝した後は黙っていましたが。
呆れる嘘はまだありました。弁護士はなんと「不法占拠するために谷口医院がドアを改造して医院のスペースを広げた」と言ってきたのです。しかし、すてらめいとビルはセキュリティの関係でそのような改造や工事をすることができません。実際、他のフロアと同じ構造になっていることはビルに立ち入ればすぐに分かることです。そもそも、すてらめいとの本社はビルの2階にあって、その2階の入り口と谷口医院が入居していた4階のドアの構造や外観はまったく同じなのです。なぜこのようなすぐにバレる嘘をつくのか。そもそもこの弁護士は賃貸契約書を何と思っているのでしょうか。
2024年3月4日、大阪地方裁が判決を下しました。「原告の請求を棄却する」というものです。つまり、当院の全面勝訴です。しかし、我々としては達成感や充実感はまったくありません。馬鹿らしい裁判に付き合わされた上、費やさざるを得なかった総額200万円ほどは裁判に勝利しても返ってこないからです。数字だけみれば「3120万円もの訴えを起こされ無傷ですんだんだから200万円程度の費用は安いものだ」となるのかもしれませんが、やりきれないものがあります。
おそらくすてらめいとの目的は我々を疲弊させることにあるのでしょう。勝ち目のない裁判でも我々の時間と費用を奪うことはできます。彼らも時間と費用がかかるわけですが、いわば「Lose-Loseの関係」を目指したのでしょう。あるいは、この裁判の敗訴が”貸し”になり、振動裁判では有利になると考えたのでしょうか。「不法占拠では負けてあげたんだから振動裁判では谷口医院が譲歩しなければならない」と思っているのでしょうか。
司法の世界では当事者が相手側の弁護士と会うことは禁じられているそうですが、いつかすてらめいとの弁護士から真相を聞きたいと考えています。その前に、メインの振動裁判の方を終わらせなければなりませんが。
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