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2013年7月25日 木曜日

2009年5月11日(月) 後発品への変更はわずか4%

 後発品(ジェネリック薬品)の普及が叫ばれて久しいように感じますが、実際の普及はそれほど多くはないようです。

 厚生労働省の調査によりますと、医師の処方せんで、先発薬から後発薬への変更を認めないものが34%あり、変更を認めた処方せんでも実際に後発薬が使用されたのは6%にすぎないようです。処方せん全体では後発品の使用は4%にとどまります。(報道は5月8日の共同通信)

 この調査は、2008年11月から2009年2月にかけて、全国の薬局、診療所各2,000カ所、病院1,000カ所を対象に実施されています。(回収率は薬局が47%、診療所37%、病院33%)

 医師が「後発薬使用可能」とした処方せんを持参した患者の9割以上に「後発薬への変更が可能」であることを説明している薬局はわずか10%しかないことも今回の調査で明らかとなりました。58%の薬局は、患者の3割未満にしかこの旨を説明していないそうです。

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 話を整理しましょう。

 まず、医師の発行する処方せんには、医師が「後発品ではダメで必ず先発品を使うべき」と考えた場合に、処方せんにその旨を記載します。このように発行された処方せんが34%あるというわけです。(ただしこの34%には後発品が存在しないケースも含まれています)

 患者さんは、処方せんをもって薬局に行く(もしくは医療機関内で処方される)わけですが、このときに処方せんに「後発品はダメ」の記載がなければ、後発品の処方が認められます。しかし、この旨の説明があまりされていないために、値段の安い後発品を処方してもらえるのに高い先発品を購入しなければならないケースが実際には多いというわけです。

 医師や薬剤師が後発品を積極的にすすめない最多の理由は「後発品に不安がある」というものです。またそれほど多いわけではありませんが、患者さんのなかにも後発品に不安を感じている人もいます。

 厚生労働省には、この”不安”を取り除く対策をとってもらえればと思います。太融寺町谷口医院では、原則として後発品を処方していますが、後発品に不安があるという人には「院外処方」で先発品の処方をすることもあります。

(谷口恭)

参考:医療ニュース 2009年1月23日「後発品処方希望カードに6億円以上も!」

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2013年7月25日 木曜日

2009年5月15日(金) お酒弱いのに飲酒・喫煙で食道ガンのリスク190倍

 食道ガンというのは、50から60歳代の男性に多いガンです。男性全体でみると、肺ガン、胃ガン、肝ガン、結腸ガン、膵臓ガンに次いで6番目に多いガンです。

 どういう人が食道ガンになりやすいかというと、飲酒や喫煙、さらに香辛料の強い食事も関係していると言われています。また、日本では奈良の山間部でよく発生することから茶粥のような熱いものを日頃から食べることが危険因子ではないかと言われることもあります。

 その食道ガンのなりやすさについて、「顔がすぐに赤くなるお酒に弱い体質の人が飲酒と共に喫煙をすると、飲酒も喫煙もしない人に比べて最大190倍もリスクが高くなる」との研究発表がおこなわれました。(報道は5月15日の読売新聞)

 お酒の弱い体質の人であっても、飲酒・喫煙をしなければ、食道ガンになるリスクは7倍程度にまで下がるようです。

 この研究は、食道ガンの患者1,070人と健常者2,832人を対象とし、約55万箇所の遺伝情報の違いを比較しています。その結果、発ガン性が指摘されているアセトアルデヒドからアルコールを作る酵素と、アセトアルデヒドを分解する酵素の2つが食道ガンのリスクに関連していることが判りました。

 これら2つの酵素の働きが弱い人が、1日缶ビール1本以上の飲酒と喫煙をおこなうと、相乗効果が働き、お酒に強く飲酒・喫煙をしない人に比べると、食道ガンになるリスクが190倍も高くなっていたようです。

 アセトアルデヒドはお酒で気分が悪くなる原因の物質で、タバコの煙にも含まれることが分かっています。顔が赤くなるのは、アセトアルデヒドの分解能力が弱いためで、日本人の4割がこのタイプと言われています。

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 飲酒や喫煙が食道ガンのリスクになることは以前から明らかでしたが、体質によってはそのリスクが190倍にもなるということに驚きます。

 お酒が弱くアセトアルデヒドを上手く分解できない日本人は約4割、喫煙している日本人は男性で約4割、女性で1割強です。缶ビール1本くらいなら飲酒している人も多いでしょうから、今回の調査結果を深刻に受け止めるべき人は少なくないのかもしれません。

(谷口恭)

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2013年7月25日 木曜日

2009年5月19日(火) 自殺は若年層で増加

 警察庁が「2008年の自殺者総数は32,249人と発表した」というニュースを先月お伝えしましたが(2009年4月4日「2008年の自殺者またもや3万人超え」)、同庁は5月14日に、年齢や動機などの詳細を公表しました。

 全体的な特徴として、20~30歳代を中心とした「若年層」の自殺が目立っています。特に30歳代は統計を取り始めた1978年から最高の4,850人となっています。30歳代の自殺は、1998年は3,614人ですから、10年間で3割以上も増えていることになります。

 詳しくみてみると、50歳代が6,363人(前年比9.7%減)と全体の19.7%を占め、60歳代5,735人(0.4%増)、40歳代4,970人(2.5%減)、30歳代4,850人(1.7%増)、70歳代3,697人(5.4%減)と続きます。30歳代以下は全体の27.6%に上っています。

 動機をみてみると、「生活苦」「失業」「就職失敗」が前年より13~40%も増加していて、昨年秋以降の急激な景気悪化を反映しているようです。

 動機について詳しくみてみましょう。まず、遺書などから動機を特定できたのが23,490人で、動機を52項目に分類した結果、健康問題が15,153人と前年に引き続いて最も多く、このうち「うつ病」は6,490人(7.1%増)で52項目中トップでした。

 経済・生活問題を動機とした自殺者は7,404人で、多重債務など「負債」を動機とする自殺は前年より10.9%減少したものの、「就職失敗」が253人と40.6%も増加し、「失業」も20.4%増の648人、「生活苦」は13.4%増の1,289人に上っています。

 20歳未満では、小中高生の自殺者は308人で、前年より34人増えています。「いじめ」が動機と断定されたのは11人です。

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 「自殺」を予防するのは大変むつかしいことではありますが、早急に対策を立てなければなりません。自殺を考えてしまうことがあれば、まずは誰かに相談することが大切です。もしも身近に相談できる相手がいなかったとしても、相談に乗ってくれる機関はいくつもあります。下記に具体的な相談窓口を記しておきます。

ライフリンクデータベース  
「いのちの電話」 
・東京自殺防止センター 
全国クレジット・サラ金被害者連絡協議会 

(谷口恭)

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2013年7月25日 木曜日

2009年5月19日(火) 子宮頚ガンと乳ガンの検診無料クーポン券配布

 子宮頚ガンと乳ガンは、若い女性に珍しくないガンです。共通点は「若い人に多い」という以外にもうひとつあります。それは、早期発見できれば完治する可能性が高いということです。

 これら2つのガンの早期発見を促すために、厚生労働省は本年度、検診の無料クーポン券を全国の対象年齢の女性約850万人に配布する方針を固めました。必要な予算として216億円を2009年度補正予算案に計上しています。(報道は5月17日の毎日新聞)

 対象は、子宮頚ガンが、20、25、30、35、40歳で、乳ガンは、40、45、50、55、60歳です。(いずれも2009年度の満年齢)

 現在の自治体での検診受診率は、子宮頚ガンが21.3%、乳ガンが20.3%です。厚労省はこれを11年度には50%程度にまで引き上げることを目標とするようです。

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 太融寺町谷口医院では、乳ガン検診はしていませんが(希望者には近くのクリニックを紹介しています)、子宮頚ガンの検査はおこなうことがあります。ガンの手前の状態の軽度の異常まで含めれば20歳未満の女性にも見つかることがあります。

 子宮頚ガンは早期で発見できればほぼ100%防ぐことのできるガンです。数分で終わる検査ですから、面倒くさがらずに年に一度程度は受けるべきでしょう。

(谷口恭)

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2013年7月24日 水曜日

2009年5月24日(日) WHOの統計でも日本人女性は世界一の長寿

 WHO(世界保健機関)は、5月21日、2009年版の「世界保健統計」を発表しました。

 2007年に平均寿命が世界で一番長いのは日本の83歳で、首位の座を維持しています。

 男女別では、女性は日本が86歳で世界一位です。男性は、サンマリノ(イタリア中部にある内陸国)の81歳が世界1位で、2位がアイスランドの80歳、3位が日本とスウェーデンの79歳となっています。

 世界全体の平均寿命は71歳で、最も平均寿命が短いのがシェラレオネの41歳です。日本に次ぐ長寿国としては、スイス、イタリア、オーストラリアなどが82歳となっています。

 WHOの同統計によりますと、2005年の妊産婦の死亡率は人口10万人あたり約400人で、年間536,000人が妊娠や出産に関連して死亡しています。国連のミレニアム開発目標では、妊産婦の死亡率を2015年までに1990年の水準の4分の1まで削減する、としていますが、実際には1990年からあまり改善がみられていないようです。

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 以前お伝えした寿命のランキングとは少し異なっていますが、その原因は香港を国とみるかどうか、サンマリノのような小国を統計をとるときに国とみなすかどうかで変わってくるからです。(サンマリノの人口はわずか3万人程度、香港は約700万人です)

 男性はともかく、女性はダントツで世界1位ですからこれは世界に誇れるでしょう。同時に、世界一の長寿国として、内乱や飢餓、エイズなどが原因で短命となっている地域に我々ひとりひとりが目を向けることが大切なはずです。

参考:医療ニュース 2008年8月4日「長寿記録更新!女性は23年連続世界一」

(谷口恭)

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2013年7月24日 水曜日

2009年5月26日(火) 「孤独な酒」は脳卒中の危険性2倍

 親友がおらず飲酒をする人が脳卒中になる危険性は、飲まない人に比べておよそ2倍高い。また「頼れる人」がいる人が適度に飲酒すれば、脳卒中の危険性を減らすことができる。

 これは、5月21日、厚生労働省の研究班が発表した調査結果です。この結果は米国の医学誌「アルコーリズム」6月号に掲載される予定です。(報道は5月21日の日経新聞、毎日新聞など)

 この調査は、1993年に40~69歳だった全国5県の男性約19,000人を10年間に渡り追跡し、飲酒と(脳卒中などの)循環器疾患との関係を調べています。また、「頼れる人(秘密を打ち明けられる人)の有無」などの人間関係についても調査されています。

 その結果、1日平均でビール大ビン1本(日本酒で言えば1号)未満を飲み、頼れる人がいない人の脳卒中の発症率は、飲まない人に比べて1.2倍高いということが分かりました。2本未満で1.8倍、3本未満で1.9倍と、飲酒量が多いほどリスクは増大しています。

 一方、頼れる人がいる人では、2本未満で0.7~0.8倍と、飲まない人より脳卒中になりにくい、という結果がでています。しかし、2本以上の大量飲酒となると危険性は1.2倍前後に高まっています。

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 アルコールは適量であれば血液が固まるのを予防し血圧も下げてくれます。しかしながら、一定量を超えると、逆に血圧が上昇し脳卒中のリスクとなります。一般的にはビール大ビン2本(日本酒2号)以上でリスクが高くなるとされています。

 今回の研究は、飲酒量に人間関係の因子を加えた研究であり、あるべきお酒の飲み方を問う興味深い結果となっています。

 お酒は友達と一緒に腹を割って話しながら適量を楽しむ・・・。これが理想ということでしょうか。

(谷口恭)

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2013年7月24日 水曜日

2009年5月29日(金) 今年の自殺、すでに11,000人超え

 1998年以降11年連続で日本の自殺者が3万人を超えた、というニュースを先日お知らせしましたが、今年は過去最悪の恐れがでてきました。1月から4月の自殺者は11,236人にも上ります。(発表は5月27日警察庁、報道は5月28日の日経新聞など)

 4ヶ月間でみると前年同期より493人も増えています。さらに、1月から4月は毎月昨年の数字を上回っていることになります。

 都道府県別では東京の1,019人が最多です。大阪712人、埼玉646人、神奈川609人、愛知544人と続きます。

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 このままでは過去最悪だった2003年の3万4千人を超えるかもしれません。以前にも述べましたが、身近に相談できる人がいなければ相談窓口を使うのもひとつの方法です。

相談窓口の例
ライフリンクデータベース  
「いのちの電話」 
・東京自殺防止センター 
全国クレジット・サラ金被害者連絡協議会 

参考:医療ニュース 
2009年5月19日「自殺は若年層で増加」
2009年4月4日「2008年の自殺者またもや3万人超え」

(谷口恭)

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2013年7月24日 水曜日

2009年6月1日(月) 日本の出生率は3年連続上昇

 2008年の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産むと推定される子供の数)が1.35~1.37程度となり、3年連続で上昇したことが分かりました。(報道は6月1日の日経新聞)

 出生率が上昇した原因として、①うるう年の効果、②出産期の女性の数が減ったこと、③2007年までの好景気の影響、が考えられます。

 ただ、少子化の流れは続いており、総人口自体も減少傾向にあります。

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 合計特殊出生率の正確な数字は、今月中には厚生労働省が正式に発表する予定です。

 一般的には合計特殊出生率が2.08を下回ると総人口が減少に向かうとされていますから、3年連続で上昇したといっても、喜んではいられません。

 参考までに、WHO(世界保健機関)の5月21日の発表(2009年版世界保健統計)によりますと、合計特殊出生率が最も高かったのがニジェール(西アフリカの内陸国)の7.2人、2位はアフガニスタンの7.1人です。

 一方、最も低いのは韓国の1.2人で、ベラルーシ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、チェコ、ポーランド、スロバキアなども同じく1.2人と発表されています。

参考:医療ニュース
2007年2月24日「出生率が大幅回復へ!」
2008年6月6日「出生率が2年連続上昇」

(谷口恭)

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2013年7月24日 水曜日

2009年6月5日(金) 結局よく分からないタミフルの異常行動

 タミフル服用で異常行動が起こるのか起こらないのか・・・

 このサイトで過去何度も取り上げてきましたが依然釈然としません。6月4日の日経新聞によりますと、厚生労働省の作業部会は、3日、「服薬しなくても異常行動は発生しており、明確な関係は認められない」との報告をまとめたとのことです。

 しかし、その一方で、「タミフルが異常行動の危険を高める可能性を完全には否定できない」としており、タミフルの10代患者への処方制限は継続すべきだとの結論もだしています。

 同省の研究班が、2006年から2007年に全国約7000の医療機関でインフルエンザと診断された18歳未満の患者約1万人を分析したところ、服用と異常行動に統計上意味のある関連はなかったとのことです。また、2008年から2009年の流行期に生死にかかわる重大な異常行動が179件報告されていますが、服用した患者と服用していない患者はいずれも約4割でこちらも差はありません。

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 新型インフルエンザの発生後、厚生労働省は「新型の危険性を考慮した上で10代でも使用できる」との見解を示しています。

 我々医師の立場からすると、もっと明確な処方の基準を提示してもらいたいと思います。太融寺町谷口医院では、当分の間、インフルエンザに対してはタミフルではなくリレンザを中心に処方する予定です。

(谷口恭)

参考:医療ニュース
2009年4月22日「タミフルの異常行動は「否定できず」
2008年8月4日「波紋を呼んでいるタミフル調査結果」
2008年7月14日「タミフルは異常行動に関係なし」

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2013年7月24日 水曜日

2009年6月5日(金) 人口自然減は過去最大に

 厚生労働省が6月3日、人口動態統計を公表しました。同統計によりますと、2008年の人口の自然増減数(出生数から死亡数を引いた数字)はマイナス51,317人で、前年(2007年)のマイナス18,516人を大きく下回り、過去最大となっています。

 出生数は、1,091,150人で、2007年から1,332人増えていますが、死亡数は1,142,467人(前年比34,133人増)となり、1947年以降で最多となっています。

 死因の最多はガンで342,849人と28年連続の1位です。2位は心筋梗塞などの心疾患で181,822人、3位は脳卒中などの脳血管疾患で126,944人となっています。

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 先日、概数をお伝えした合計特殊出生率は1.37人と発表されています。県別でみると、上位から、沖縄(1.78)、宮崎(1.60)、鹿児島(1.59)、熊本(1.58)と九州が占めています。低い方からみれば、東京(1.09)、北海道(1.20)、京都(1.22)、奈良(1.22)となっています。

 人口動態統計では、自殺者数も公表されています。自殺者数は30,197人で、昨年に続き3万人を超えています。(自殺者数は警察庁と厚生労働省では集計の基準が異なります)

(谷口恭) 

参考:医療ニュース
2009年6月1日「日本の出生率は3年連続上昇」
2009年5月29日「今年の自殺、すでに11,000人超え」

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