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2013年7月21日 日曜日
2009年11月11日(水) 厚労省の調査、喫煙率21.8%、肥満度改善
厚生労働省は毎年「国民健康・栄養調査」というものをおこなっています。(2002年までは「国民栄養調査」として実施されていたものです)
11月9日、同省が発表した2008年の「国民健康・栄養調査」で、成人の喫煙率が21.8%と調査開始以来最低となっていることが分かりました。(報道は11月10日の日経新聞など)
喫煙率を性別でみてみると、男性は36.8%で前年より2.6ポイントの低下、女性は9.1%で前年比1.9ポイントの低下となっています。
男性を年代別にみてみると、40代は51.9%と最多で唯一過半数を超えています。
この調査では、肥満の割合も算出されています。身長と体重から「肥満」と判断される割合は、男性で28.6%と前年の30.4%を下回っています。男性の肥満は2004年以降増え続けていましたが、5年ぶりに減少に転じたことになります。女性は20.6%で、前年の20.2%とほとんど差はみられません。
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政府税制調査会は11月6日に2010年度税制改正の焦点となっているたばこ税引き上げの本格検討に入りました。現行の約300円から一気に600円にするという案が浮上しており、世論からは「上げすぎではないか」という声がでています。
その批判を避ける目的で、喫煙率が減っているという情報を厚労省が意図的に流しているように思えてならないのですが私の考えすぎでしょうか・・・。
(谷口恭)
参考:医療ニュース
2009年8月17日「喫煙率、14年連続で過去最低更新」
2008年10月27日「喫煙率が13年連続で過去最低更新」
2007年10月16日「女性はスリムに、男性は肥満に」
2007年8月4日「成人男性の3割が肥満!東京都の調査」
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|2013年7月21日 日曜日
2009年11月16日(月) 禁煙に失敗するのは低タール
タバコを低タールに切り替えても、有害物質を吸い込む量に変化はなく健康を害するリスクは何ら変わりない、という情報を以前お伝えしましたが(下記参照)、低タールのタバコに変えた方が禁煙に失敗しやすいという研究が発表され話題を呼んでいます。(報道は11月3日のHealth
Day News)
この研究は米国ピッツバーグ大学の研究者らによっておこなわれ、英国医学誌『Tabacco Control』オンライン版の11月4日に掲載されています。
この研究は、過去1年以内に喫煙者であった米国の30,800人を対象としておこなわれています。対象者の38%が「ライト」などと謳われた低タールのタバコに切り替えていて、禁煙成功率は切り替えていない人に比べて46%も低いという結果となっています。
なぜ低タールに切り替えると禁煙しにくいかについて、研究者らは、健康意識の高い人が「健康によい(とされる)たばこを吸っているからリスクを心配する必要はない」と考え、喫煙を継続する可能性があることを指摘しています。
この記事を報道したHealth Day Newsによりますと、英国ロンドン大学のある学者は、低タールのタバコに切り替える人は、既にたばこへの依存度が高く禁煙しにくい人である可能性を指摘しているそうです。参考までに、ヨーロッパでは、タバコに「低タール」など、安全性をほのめかす名称をつけることが禁じられています。
また、Health Day Newsは、この記事のなかで別の論文も紹介しています。医学誌『Journal of Epidemiology and Community Health』オンライン版の11月3日号に掲載された英国ヨーク大学による母子14,000組を追跡した研究によりますと、妊娠中に母親が喫煙すると、生まれた子どもの注意欠陥多動性障害(ADHD)などの行動障害リスクが高くなるそうです。
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以前にもお伝えしましたが、禁煙指導をしている私の経験からいっても、低タールなどの軽いタバコを吸っている人は禁煙に成功しにくい印象があります。一番ダメなのは、メンソール系の1mgのタバコです。(あえて名称は出しませんが)だいたい3種類くらいの銘柄が最も失敗しやすいと私は感じています。
決して勧めているわけではありませんが、禁煙を本気で考えるなら、メンソールでない少しきつい(高タールの)タバコに切り替えてから禁煙する方が成功しやすいのではないかとすら思うことがあります。
(谷口恭)
参考:
医療ニュース2009年8月17日「低タールのタバコにしても効果なし」
医療ニュース2008年12月15日「女性の喫煙は14.5年も短命に」
はやりの病気第66回「メンソールの幻想と私の禁煙」
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|2013年7月21日 日曜日
2009年11月16日(月) 炭水化物抜くと憂鬱に
最も効果的なダイエット方法は何でしょうか。これは日頃患者さんからよく質問されることです。すべての学者が賛同しているわけではありませんが、現在最も効果的とされているダイエット方法のひとつが、「アトキンス・ダイエット」と呼ばれるものではないかと思われます。
ここでは詳しくは述べませんが、アトキンス・ダイエットとは、要するに炭水化物の摂取量を少なくするダイエット方法のことです。「低GIダイエット」とか「低インスリンダイエット」とか呼ばれるものも、だいたい同じような方法です。
しかし、炭水化物の摂取量を少なくすることによって、気分が憂鬱になったり怒りっぽくなったりすることを示す研究が報告され話題を呼んでいます。この研究は、米国医学誌『archives of internal medicine』にオーストラリアの研究チームが発表しています。(報道は11月13日の共同通信)
研究では、24~64歳の肥満の人106人を対象とし、肉や乳製品などタンパク質や脂質を中心としパンなどの炭水化物を抑える「低炭水化物」のグループと、炭水化物を多く取る「高炭水化物」のグループに分けて、体重や精神状態を1年間にわたり調査しています。尚、総摂取カロリー量は2つのグループとも同じにしています。
その結果、両方のグループで、1年後の体重減少は平均13.7キログラムで変わりはありませんでしたが、「高炭水化物」のグループはダイエット前に比べ精神状態が改善したのに対し、「低炭水化物」のグループは気分の落ち込みや不安を示すようになったそうです。
この理由に対して、研究者らは「炭水化物を多く含む食品が、感情をコントロールする脳内物質に良い作用を及ぼすのが一因ではないか」とみているとのことです。
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私自身はご飯も麺類も大好きなので、低炭水化物にするなど考えたこともありませんが、もし「米もうどんもラーメンも禁止」などと言われると、その日からイライラするに違いありません。
この研究で私が興味深いと感じるのは、高炭水化物のグループも低炭水化物のグループと同じように体重減少に成功していることです。
ならば、なにも低炭水化物にする必要はなく、一番大切なのは「総摂取カロリーの抑制」ということになります。ということは、わざわざ偉い先生に言われるまでもなく、食事の総量を減らして適度な運動をする、という当たり前の行動が最も効果的なダイエットとなるのではないでしょうか。
(谷口恭)
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2009年11月30日(月) HIVの検査を受ける人が激減
11月24日に厚生労働省が発表した報告によりますと、全国の保健所などで、無料で受けることのできるHIV抗体検査の検査件数が、2009年の7~9月は33,312件にとどまり、これは過去最多となった2008年10~12月の49,776人に比べて、およそ3分の2に落ち込んでいることが分かりました。
これまでHIV抗体検査の検査件数は年々増加傾向にありました。3ヶ月ごとの集計をみると、2007年10月~12月から6期連続で4万件以上が続いていました。しかし、2009年の4~6月に37,515件に急落し、7~9月はさらに4千件以上の減少となり、その結果過去3年間で最少となりました。
また、検査件数の減少だけでなく、新規で発見されたHIV感染者とエイズ発症者の合計も7~9月は345人にとどまっており、これは4~6月と比べても37人の減少ということになります。
検査を受ける人が減っている理由としては、新型インフルエンザに世間の関心がうつっていることや、ACジャパン(旧公共広告機構)によるPRが2009年6月末で終了した影響などが考えられます。
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検査が減った理由が、「リスクのある人のほとんどが検査をすでに受けたから」であればいいのですが、単に関心が薄くなった結果であれば憂うべきことです。なぜなら、HIV感染は早期発見が何よりも大切で、現在では早期発見がなされ適切なタイミングで適切な薬を開始すれば死に至る病ではないからです。
数年後に「いきなりエイズが増加」という事態にならないように、関心が低くなることを警告したいと思います。
(谷口恭)
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|2013年7月21日 日曜日
2009年12月2日(水) タイで狂犬病が急増
今年になりタイで狂犬病が急激に増えているようです。
2009年11月26日のBangkok Postによりますと、今年は現時点ですでに23人が死亡しています。2008年は1年間の死亡者は9人ですから大きく増加していることになります。バンコクだけでみてみると、昨年の死亡者が1人なのに対して今年はすでに7人が死亡しています。
タイでは、20年ほど前までは、年間に数百人が狂犬病で死亡していましたが、その後ワクチンなどの対策が強化され、近年の死亡者は大きく減少していました。
この事態に対し、チュラロンコン大学医学部のティラワット・ヘマユタ(Teerawat Hemajuta)医師は、「死亡例の半数は飼い犬から感染している。犬の予防接種が何よりも大切。特に子犬には注意が必要である」とコメントしています。
ティラワット医師は、「専門家の中には生後3ヶ月まではワクチンを接種すべきでないと考えている者もいることが問題でこれは訂正されなければならない」、と警告しています。
さらに、ティラワット医師は、犬のバースコントロール(避妊)をしっかりとおこなわなければならないことを指摘しています。現在タイの犬は飼い犬と野良犬を合わせると2百万匹いると言われていますが、適切なバースコントロールの対策が取られなければ20年後には17百万匹にもなると言われています。(タイの人口は約6千万人ですから犬の数が人の約3倍ということになってしまいます)
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現在WHO(世界保健機関)は、狂犬病を鳥インフルエンザに次ぐ動物からヒトに感染する感染症で2番目に恐ろしい疾患と位置づけています。
タイに行くと昼間から道端に寝そべっている犬をたくさん見ますから、タイの犬は平和的で可愛らしい動物に思えますが、夜になると豹変することがあります。今年はすでに23人が狂犬病で死亡しているわけですから、夜間の外出に注意すべきかと思われます。
(谷口恭)
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|2013年7月21日 日曜日
2009年12月2日(水) 湯たんぽによる低温やけどが多発
湯たんぽがここ数年ブームのようです。湯たんぽは電気や灯油が不要ですから経済的であることが一因だと思われます。
その湯たんぽによる低温やけどが増加しているようです。経済産業省所管の事故調査機関「製品評価技術基盤機構(NITE)」は11月26日、「寝る前には必ず布団から出すようにしてほしい」と注意を呼びかけました。(報道は11月30日の読売新聞)
同機構によりますと、カイロや電気毛布などの暖房器具が原因の低温やけどは1996年以降、メーカーや経産省などから合計77件の報告が寄せられており、そのうち30件は昨年1年間に報告されています。その中で、湯たんぽによる低温やけどは2006年以降、16件の報告があります。さらにそのうち11件は皮膚の移植や6か月以上も通院する重傷事故だったそうです。
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太融寺町谷口医院にも、湯たんぽが原因でやけどを負った患者さんがときどき来院されます。症例にもよりますが、やけどの場合、受傷時にはそれほど痛みが強くなく皮膚症状も軽症にみえても、時間がたつにつれて痛みが増し、傷が深くなっていくことがあり、こうなれば治療に難渋します。
低温やけどがやっかいなのは、「熱い」と感じない45度程度の温度でも、3時間ほど皮膚に接触させるだけでも起こりうるということです。
報道では湯たんぽによるやけどは16件となっていますが、やけどを負っても報告しない人の方がずっと多いでしょうから(医療機関で診断がついても医療機関から報告することは普通ありません)、実際はこの何十倍の被害があるでしょう。
同機構の警告にあるように、「寝る前には必ず布団から出す!」というルールを忘れないようにしましょう。
(谷口恭)
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|2013年7月21日 日曜日
2009年12月2日(水) 規則正しい食事が糖尿病を予防
食事をおいしく規則正しく食べると血糖値の上昇が抑えられる・・・
これは、自然科学研究機構生理学研究所が動物実験で得た研究結果です。(報道は12月2日の日経新聞)
同研究所によりますと、規則正しい食事をすることによりオレキシンと呼ばれる脳内ホルモンの分泌が活発となり、筋肉での糖の取り込みが促進されることが分かりました。実験は、マウスの脳に直接このホルモンを注入することによりおこなわれています。
さらに研究では、毎日同じ時間にマウスの好物の甘味料を与え、オレキシンを放出する脳内神経の働きを観察しています。その結果、4日目かたりからこの神経が活発に働き、食後の血糖値が抑えられることが確認されました。しかし、甘味料を”与える”のではなく胃のなかに直接注入した場合は、神経の変化が小さいことが分かりました。これらから、「規則正しい食事が血糖値の上昇を抑える」という結論が得られたというわけです。
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糖尿病の予防には、とにかく「甘いものをやめましょう」「カロリー制限をしましょう」と、嬉しくないことばかりを言われるのでイヤになってくる人も多いのではないでしょうか。
今回の研究では、決まった時間に規則正しく食べさえすれば”好物”を食べても血糖値は上昇しないことが示唆されています。人間ではどれだけ効果があるのかは未知ではありますが、早速本日から実践してみる価値はありそうです。ただし、食べすぎにはご注意を!
(谷口恭)
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|2013年7月21日 日曜日
2009年12月4日(金) 個人輸入のED改善薬、6割がニセモノ
バイアグラ、レビトラ、シアリスといったED改善薬は、本来は医療機関で処方されるべきものですが、個人輸入で直接購入することは違法ではありません。しかしながら、インターネットなどを通して個人輸入で入手できる薬剤の55.4%がニセモノであることが調査で判りました。
この調査は、ED改善薬を販売する製薬会社4社が共同で2008年8月から2009年4月までおこなったものです。日本語で販売している60のウェブサイトから、「バイアグラ」「レビトラ」「シアリス」の3種類の治療薬を購入し、日本とタイを郵送先として指定し調査がおこなわれました。
合計184回購入し成分を調べたところ、全体の55.4%がニセモノだったそうです。ただし、一言で「ニセモノ」といってもいろんなタイプがあり、まったく有効成分が入っていないものから、入っているけど含有量が少ないもの、不純物が含まれているものもあったようです。
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個人輸入のED改善薬は、海外ではニセモノを服用したことによる死亡例も出ています。また、タイではニセモノの販売にかかわった日本人が摘発されたことがあります。
新聞記事にはありませんが、タイでは、いかがわしい薬局で処方せんがなくてもED改善薬が購入できます。以前、患者さんにそれを見せてもらったことがあるのですが、なんと「バイアグラ100mg」でした。バイアグラは、日本では25mgと50mgしか認可されておらず、西洋人より体重の小さい日本人が100mgを使えば副作用のリスクが跳ね上がります。その患者さんもそうでしたが、多くの人にとって「バイアグラ」は「バイアグラ」であって何mgかというところまで注意がいかないようです。
最後に1つ付け加えておきます。このような調査はときどきおこなわれますが、ニセモノが出回っているのは何もED改善薬だけではありません。ダイエット薬、プロペシアなどのAGA改善薬などにもニセモノはたくさん流通していることは覚えておいた方がいいでしょう。
(谷口恭)
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|2013年7月21日 日曜日
2009年12月8日(火) うつ病を患う人が100万人突破
うつ病が増えているようです。
厚生労働省が3年ごとに実施している患者調査によりますと、躁うつ病を含むうつ病(正式な病名は「気分障害」)患者の総数が2008年に1,041,000人となり、初めて100万人を超えたことがわかりました。(同省の発表は12月3日、報道は12月4日の読売新聞など)
患者調査をみてみると、「気分障害」の患者数は、1996年433,000人、1999年441,000人とあまり変化がありません。ところが2002年には711,000人と急増し、ついに2008年には100万人を突破し、10年前に比べておよそ2.4倍にもなっています。
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自殺者数が3万人を超えるようになったのは1998年からです。自殺者の増加は1998年から、うつの増加が2002年からとすると、うつ→自殺という関係は成り立たないことになります。
私の個人的な感想を言えば、2002年からうつが実質的に増えたのではなく、医療機関を受診しうつ病(気分障害)という病名をつけられる人が増えたということではないかと思われます。
「軽症うつ」とか「プチうつ」という言葉もありますが、以前に比べると「うつ」で医療機関を受診することにそれほど抵抗がなくなってきているのかもしれません。太融寺町谷口医院にも「最近うつっぽくて・・・」と言って受診される患者さんがおられます。話を聞いてみると、薬が必要でないと思われるケースも少なくなく、数回の通院のみで薬の処方なしで元気になられる方もいます。
ということは、うつが10年間で2.4倍という数字は深刻に受け止めなければならない一方で、医療機関を気軽に受診する患者さんが増えたことは悪くないことと考えるべきかもしれません。
(谷口恭)
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|2013年7月21日 日曜日
2009年12月16日(水) 不規則な生活で血圧上昇
昼夜交代性の職場で働く人は高血圧になりやすい・・・
これはこれまでも経験的に分かっていたことですが、なぜ血圧が上がりやすいかについての鍵となる研究結果が京都大学の研究チームによって発表されました。(報道は12月14日の日経新聞。尚、この研究は科学誌『ネイチャー・メディシン』電子版に掲載されるそうです)
研究チームは、遺伝子組み換え技術で体内時計を働かなくしたマウスを作り、塩分の多い食事を与えました。すると、体内に食塩と水をため込むホルモンを作る「Hsd3b6」という酵素の活動が活発となり、その結果血圧を上昇させるホルモンが過剰に働くことが分かりました。
この研究により、昼夜逆転など体内時計が狂うような生活をしていると人間でも同様に血圧を上昇させるホルモンが過剰に働くことが予想されます。
研究チームは、この血圧上昇ホルモンの働きを抑える降圧剤を使うとマウスの血圧が下がることも確認しています。ただ、人間では同じ薬剤が副作用を引き起こす可能性があるようで、そのまま人間に応用するわけにはいかないようです。
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現段階ではマウスを用いた実験のみで、今後は昼夜逆転などで体内時計が狂っていると思われる人に対しても、この酵素や血圧上昇ホルモンを調べる研究がおこなわれるのかもしれません。
降圧剤はマウスでは有効であることが分かっているとのことですから、人間での安全性の調査が今後おこなわれることになるでしょうが、今回の研究から導き出された最も重要なことは、「昼夜逆転の仕事は分担するなどして、できる限り体内時計が狂わないような生活をこころがける」ということではないかと思います。
(谷口恭)
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