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2025年2月13日 木曜日
2025年2月13日 睡眠薬により脳内に老廃物が貯まるメカニズム
「睡眠薬には初めから手を出さない方がいい」と当院では言い続けています。この表現は医療者からは嫌がられます。「睡眠障害で苦しんでいる人を余計に苦しめるではないか!」というのが彼(女)らの主張です。ちょうど、「覚醒剤は初めから手を出さない方がいいと」言うと「そんなことを言えば覚醒剤依存症の患者を傷つけるではないか!」という理屈と同じです。
当院でも大勢の覚醒剤依存症、睡眠薬依存症(≒ベンゾジアゼピン依存症)、その他依存性薬物の依存症の人たちを診てきましたから(今も診ていますから)、依存性物質摂取者をまるで犯罪者のようにみることには反対しますが、かといって最初に手を出す”敷居”を低くすることにはそれ以上に反対します。睡眠薬も覚醒剤も(どうしても必要という場合を除いて)初めから手を出さないのが最善なのは自明だからです。もちろん、「どうしても必要」という場合があるのは事実ですが、それでも危険性を知った上で摂取すべきです。
科学誌「Cell」2025年2月6日号に興味深い論文が掲載されました。「ノルエピネフリンを介した緩やかな血管運動が睡眠中のグリンパティック・クリアランスを促進する(Norepinephrine-mediated slow vasomotion drives glymphatic clearance during sleep)」です。
この論文を理解するにはタイトルに含まれる「グリンパティック・クリアランス」を押さえておかねばなりません。グリンパティック・クリアランス(Glymphatic clearance )とは、簡単に言えば「脳内の有害な老廃物が除去される際のプロセス」となります。つまり、このプロセスを経て脳内の老廃物が取り除かれるというわけです。もしも老廃物が脳内に残留したままであれば認知症やその他脳疾患のリスクが上昇するわけです。
この論文は2つの画期的な事象を証明しました。1つは「グリンパティック・クリアランスがうまく働くにはノルエピネフリンが血管に働きかけるプロセスが必要である」、もう1つは「睡眠薬がこのプロセスを妨げる」です。
脳の老廃物を取り除くには脳脊髄液(CSF)が循環しなければなりません。その循環には脳の血管がリズミカルに収縮することが必要です。そして、その収縮は脳内神経伝達物質のノルエピネフリンが担います。そして、そのノルエピネフリンは脳の青斑核(locus coeruleus)から放出されます。簡単に言えば次のようになります。
青斑核 → ノルアドレナリン → 脳内の血管のリズミカルな収縮 → 脳脊髄液の循環
これを覚醒時と睡眠時で比較すると次のイラストのようになります(この論文のページにあるイラストです)。
https://www.cell.com/cell/fulltext/S0092-8674(24)01343-6
論文によると、このプロセスはノンレム睡眠(NREM sleep)のときに生じます。そして睡眠薬ゾルピデム(=マイスリー)がこのプロセスを破壊することをこの論文は示したのです。
もっとも、睡眠薬を使用すれば”深い睡眠”が得られるのは事実です。特に、ゾルピデムのような超短時間型の睡眠薬は「さっと効いてさっと切れる」ために、朝の目覚めも爽快です。だからクセ(=依存症)になるわけですが、実際には重要なクリアランスができなくなってしまっているわけです。
反対する意見もありますが、ゾルピデムは認知症のリスクを33%上昇させることを示した台湾の研究があります。ゾルピデムのせいで我が子を殺害した40代の母親の話は過去に紹介しました。これらの原因が、ゾルピデムにより上記クリアランスが適切におこなわれなかったことにあると考えるのが自然ではないでしょうか。
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|2025年2月11日 火曜日
第258回(2025年2月) 認知症のリスクを下げる薬
周知のように認知症自体を治す薬というのはほとんど存在しません。効果よりも費用が話題になるレカネマブ(商品名「レケンビ」)とドナネマブ(「ケサンラ」)の薬価は年間約300万円です。これらは「進行を遅らせる(かもしれない)」薬で、発症リスクを下げてくれるわけではありません。それなりの副作用のリスクも覚悟しなければなりません。
「認知症のリスクを下げる薬」として現在最も注目されているのはGLP-1受容体作動薬でしょう。これは元々糖尿病の薬として上市されましたが、実際には「やせ薬」として有名になりました。実際、かなりの確率で体重減少が起こります。そのGLP-1受容体作動薬が認知症のリスクを下げるのではないかと期待されています。
医学誌「eClinicalMedicine」2024年7月号に掲載された論文「スウェーデンの2型糖尿病の高齢者における認知症リスクに対するGLP-1受容体作動薬、DPP4阻害薬、SU薬の有効性の比較:模擬試験研究(Comparative effectiveness of glucagon-like peptide-1 agonists, dipeptidyl peptidase-4 inhibitors, and sulfonylureas on the risk of dementia in older individuals with type 2 diabetes in Sweden: an emulated trial study)」を紹介しましょう。
研究の対象者はスウェーデン在住で糖尿病の治療を受けている65歳以上の88,381人で、調査期間は2010年1月1日から2020年6月30日。対象者でGLP-1受容体作動薬を処方されていたのは12,351人、DPP4阻害薬は43,850人、SU薬は32,216人。平均追跡期間は4.3年で、この間に認知症を発症したのは4,607人でした。薬ごとにみると次のようになりました。
・GLP-1受容体作動薬:278人 (発症率は1,000人年あたり6.7)
・DPP4阻害薬:1,849人(発症率1,000人年あたり11.8)
・SU薬:2,480人(発症率1,000人年あたり13.7)
これらを計算すると、GLP-1受容体作動薬を使用すれば、DPP4阻害薬、SU薬のときに比べ、それぞれ、23%、30%認知症発症リスクが低下しています。
糖尿病の薬ではメトホルミンも認知症のリスクを下げることが指摘されています。台湾の14,558人を対象とした研究では、60歳以上の2型糖尿病患者がメトホルミンを使用すると、認知症を発症するリスクが低下することが示されました。しかも用量が多ければ多いほどリスクが低下します。下のグラフは驚くべき結果を示しています。
ただ、メトホルミンは認知症のリスクを上げるとする研究もあります。韓国の糖尿病患者70,499人を対象とした研究(2002~2017年)では、メトホルミンを使用すれば認知症発症リスクが50%増加した、とされています。糖尿病の罹患が長ければ長いほど、またうつ病を伴っていればリスクは上がりやすいようです。
他にも認知症のリスクを下げる薬を紹介しましょう。2008年から2020年に米国ニューヨーク市で診察を受けた約200万人の患者のデータを使用した研究です。認知症のリスクを下げるという結果がでたのは、ロスバスタチン(コレステロールを下げる薬)、シタロプラム及びエスシタロプラム(抗うつ薬)、オメプラゾール(胃薬)でした。意外なのがオメプラゾールです。この胃薬はPPI(プロトンポンプ阻害薬)に分類され、PPIは認知症のリスクになると言われているからです(参考:医療ニュース2019年12月28日「やはり胃薬PPIは認知症のリスクを増やすのか」)。
もうひとつ興味深い研究を紹介しましょう。1億3000万人以上の患者と100万件の認知症症例のデータを使用した14件の研究を対象とした分析によると、アルツハイマー病や認知症のリスクを増減させる薬を特定することはできなかったものの、抗菌薬、ワクチン接種、抗炎症薬はリスクを低減させることが分かりました。リスクを上げるのは、糖尿病薬、ビタミン・サプリメント、抗精神病薬です。
この研究結果に頷けるのは、抗菌薬、ワクチン接種、抗炎症薬はいずれも「炎症を軽減する薬剤」だからです。ですから、薬が認知症のリスクを下げるというよりも、感染症を予防して、感染すれば効果的な治療を速やかに開始するのが認知症予防に有効だと考えるべきでしょう。
ワクチンが認知症を予防するという報告は複数あります。
2022年に医学誌「Journal of Alzheimer’s Disease」で報告された研究では、インフルエンザのワクチン接種で認知症発症リスクが40%も低減するとされています。研究の対象者は米国の65歳以上で、インフルエンザワクチンを接種した935,887人と、未接種の同じ人数が比較されました。平均年齢73.7歳、追跡期間は46ヶ月です。この間にワクチン接種者では5.1%(47,889人)が、未接種者では8.5%(79,630人)が認知症を発症しました。
帯状疱疹ワクチンの認知症リスク低減効果も有名です。2024年7月に公表された研究では、生ワクチン、不活化ワクチン(組換えワクチン)ともに認知症発症リスクを低減させることが示されています。
2023年に医学誌「Journal of Alzheimer’s Disease」に掲載された論文では、三種混合ワクチン(正確にはTdap/Tdワクチン)、帯状疱疹ワクチン、肺炎球菌ワクチンが、それぞれ認知症のリスクをどの程度軽減するかが調べられています。結果、三種混合ワクチンでは30%、帯状疱疹ワクチンでは25%、肺炎球菌ワクチンでは27%、認知症のリスクを低下させるという結果が出ました。
最後に、「サプリメントで認知症のリスクが下がるかもしれない」夢のような研究を紹介しましょう。2023年に医学誌「Alzheimer’s & Dementia: Diagnosis, Assessment and Disease Monitoring」に掲載された「ビタミンD補給と認知症発症:性別、ApoE、ベースライン認知状態の影響(Vitamin D supplementation and incident dementia: Effects of sex, APOE, and baseline cognitive status)」です。研究の対象者は米国の12,388人です。
結果、ビタミンDを摂取する人は、しない人と比べて認知症の発症率が40%も低下することが示されました。各グループに差があり、男性よりも女性、軽度認知障害がある人よりもない人、ApoEε4保有者よりも非保有者で認知症予防効果が高いことがわかりました。しかし、それでもハイリスクグループでも予防する可能性があることが示されています。
これらをまとめると、日頃からビタミンDのサプリメントを摂取し、ワクチンを積極的に接種し、糖尿病になれば早い段階からメトホルミンとGLP-1受容体作動薬を使う、ということになるのかもしれません。
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|2025年2月6日 木曜日
2025年2月 医師になるつもりもなかったのに医学部に入学した理由(前編)
「どうして医者になろうと思ったのですか?」という質問はいろんな人たちからもう500回くらいは聞かれたと思います。私の場合、医学部入学時には医師になることなど微塵も考えたていなかったので、この質問に答えるときには「医学部在学中にいろいろありまして……」という答えになります。その内容はこのサイトのどこかにも書いたかもしれませんし、いろんなところで話をしているのですが、「どうして医師になるつもりもないのに医学部を目指したのか」についてはこれまでごく簡単にしか話していませんでした。最近立て続けに医療者からこの質問をされたこともあって、ここでその理由を披露しておきたいと思います。
私は物心がついた頃から「何のために生きているのか」をずっと考えてきました。「生きる意味」が分からなかったのです。普通の子供はこんなことを考えないわけですが、(このサイトで述べるべきようなことではありませんが)私の幼少時代の悲惨な環境が原因です。もうこの年齢になったから言ってもいいと思うのですが、要するに「まともな家庭ではなかった」のです。他人からは普通の家に見えたかもしれませんが、一言で描写するなら「常に怯えながら過ごさねばならない家庭」でした。だから、物心がついてテレビを見るようになって、一家団欒のシーンなんかを目にすると「こんな世界、本当にあるのかな」と疑っていたほどです。幼稚園の頃、遊びに行った友達の家でその家族が楽しそうに会話しているのをみて絶望的な苦しさに襲われたのを覚えています。
学校は辛くはありませんでしたし、仲の良い友達もいました。小学生の頃、近所の友達の家に遊びに行ったとき、その日は日曜日でその友達のお父さんが家にいて、今からドライブに行こうと海まで連れて行ってくれました。そんなにも楽しかった経験は生まれて初めてで、「この家族のメンバーにしてもらえないだろうか」と真剣に考えました。同時に「今の家庭で生きていかねばならないのなら、それは何のため?」という疑問が頭から離れなくなりました。中学の時、悪い友達の影響もあって少し道を踏み外しかけたことがあるのですが、結局学校に戻り、高校にも進学し、高3の12月になってからとはいえ猛勉強を開始したのは、とにかくあの町から、そしてあの家から出たかったからです。家を出れば「生きる望みが生まれるかもしれない」と希望を持ったのです。
高校卒業と同時に志望大学に入学することができた私のそれからの4年間はまさに「酒と薔薇の日々」という感じでした。それまでの不幸な日々を帳消しにするほどの楽しさがありました。この頃に、私自身の人格が形成され(少しは)まともな人間になれたと思っています。今もあの頃共に過ごしていた友達や先輩たちに頭が上がらないのは私をまともにしてくれたからです。「己の身体で勝負せよ」「義理を忘れるな」「損をしてでも筋を通せ」「裏切られても裏切るな」などはすべてこの頃に学んだことです。人生で大切な99%を最初の大学4年間で教わったのです。
大学とは勉強するところではありますが、ほとんど興味が持てませんでした。しかし少しずつ、それは本を読む程度ですが、学問というものが面白くなってきていました。とはいえ、大学4回生の頃は「中小企業に入って企業内起業家になりたい」などと言っていましたから大学院に進学することは考えていませんでした。
ところが、就職してから学問をきちんとしたいという気持が次第に強くなってきました。仕事自体はおもしろかったのですが、入社3年目の途中で「10年後も同じようなことをしているのかな……」という思いがふと脳裏をよぎり、すると突然言いようのない虚しさに襲われたのです。そして、子供の頃からずっと考えていた「何のために生きているのか」という疑問に再び胸が苦しめられるようになりました。その後、自分がすべきことは社会学部に戻って「人間とは何か」を研究することではないか、と思うようになりました。
それまでの経験で私には人間についていろんな疑問が生まれていました。「なぜ祝祭の時空間では何もかもが破壊されるのに罪に問われないのか」「なぜ何もかも捨てて不倫に走る男や女がいるのか」「なぜ芸術家には同性愛者が多いのか」「なぜ音楽はこんなにも心を平穏にしてくれるのか」「人間にとって本当に大切なものは何なのか」などなど、こういった疑問に対し、当時の私は社会学そして人類学を極めれば人間の本質がみえてくるのではないかと考えました。そして、最終的には自分が生まれてきた意味が分かるのではないかと思えてきたのです。
そこで大学のゼミの先生のところに向かいました。社会人3年目が終わる頃です。私が取り組みたいことを話すと、「君に適した教授がいる」とのことでその教授に手紙を書いてくれました。今度はその教授のところに向かい、自分の思いを伝えました。一年後の大学院の試験を受ければいいと助言してもらい、そこから社会学の本格的な勉強を開始しました。難解な論文や英語のテキストを渡されましたが、やる気がみなぎっていましたからいくらでも勉強できました。当時の私はショートスリーパーを自認していたくらいで短い睡眠時間でも平気でした。それまでの会社員時代の3年間とその前の大学生活4年間は朝までクラブなどで踊り明かすのが当たり前のような生活でしたから朝まで勉強するなど何でもなかったのです。
あるとき、梅田の旭屋書店で米国の人類学者Helen Fisherの『Anatomy of Love』という本を手にしました。世界のどの文化でも「恋愛は4年で破綻する」ことを人類学的に示した書籍です。この本は当時それなりに話題になって邦訳も出ていたのですが、「文献はできるだけ原書で読むべきだ」と考えていた私は原書を選びました。この本がどのような評価を受けていたのかのかはインターネットが登場していない時代でしたからよく分かりませんでしたが、私にとっては頭を強打し意識を失うほどの衝撃がありました。古今東西、恋愛が4年で終わるのが人間の真実だとすれば「永遠の愛」は存在しないか、存在したとしても自然に背くことになります。そして恋愛という極めて人間的で個人的な情事にさえも古今東西に共通したルールがあるのなら、人間の本質を規定しているルールや法則は他にも存在するに違いなく、それらを解き明かせば人間の「真実」が見えてくるのではないかと考えたのです。
この書籍のなかで筆者はとても興味深い指摘をしています。それは、人間が初期の恋愛状態に陥っているときにはフェニルエチルアミン(phenylethylamine)という神経伝達物質が脳内で分泌されているという指摘です。この物質は恋愛の初期にしか分泌されず、その後は別の神経伝達物質に置き換わるとされています。しかし、やがてそれも”枯渇”し、その結果人はこれまで愛していたパートナーに関心がなくなると言います。当時20代前半の私にとって、この見解がどれだけ衝撃的だったか。「♪この世で大切なのは愛し合うことだけと……♪」という流行歌が示すように、恋愛というのは極めて人間的な感情・行動であり、それがまさか化学記号で決められた物質の影響に支配されているなんて、それまでは思いもしなかったわけです。
恋愛初期のエキサイティングなワクワク感は他に代え難いと言えるでしょう。寝なくても何も食べなくても平気ですし、その相手と同じ時空間にいるだけで世界一幸せだと実感できます。世の中にこれほど素晴らしいものは存在しないと確信し「あなたに出会うためにこれまで生きてきたんだ……」などとどこかの歌詞にあるようなことを本気で思うわけです。この感覚は魂と魂が引き寄せられているからだと感じられ、まさか化学物質に支配されているなんて思いもよらないわけですが、真実は神経伝達物質にあるのでしょうか。
しかし、実はそれまでに、「ドーパミン」と呼ばれる神経伝達物質が人間の快楽を支配しているという話や、ランナーズハイと呼ばれる現象がエンドルフィンという神経伝達物質によるものであるという話をどこかで聞いていました。ということは、これら神経伝達物質をすべて解読できれば、人間の感情・思考・行動のメカニズムが解明され、それにより「人間はどうあるべきか」、「どのように生きるべきなのか」といったことが分かるようになるのではないかと当時の私には思えてきたのです。
次回に続きます。
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|2025年2月6日 木曜日
2025年2月6日 肉食ダイエットはほどほどに……
8か月間「肉食ダイエット」を続けた40代男性が手のひらが黄色くなったことで病院を受診した事例が症例報告として論文に掲載されました。
その論文は「JAMA Cardiology」2025年1月22日号に掲載された「肉食を摂る男性の黄色い結節(Yellowish Nodules on a Man Consuming a Carnivore Diet)」です。
症例は米国フロリダ州在住の40代の男性で、8カ月前からいわゆる「肉食ダイエット」を開始し、手のひら、肘、足の裏に黄色い結節が生じ、そこから滲出液が出てきたためにタンパ市の病院を受診しました。
男性の日々の食生活は、バター1本(約200グラム)、チーズ6~9ポンド(約3~4キログラム)、及びハンバーガーのパテで、血中総コレステロール値はなんと1,000mg/dLを超えていたそうです。
ただ、男性は「体重が減り、エネルギーが増し、頭がすっきりした」と報告し、この肉食ダイエットを実施したことに後悔はしていないようです。
この男性の手のひらの写真が「New York Post」に掲載されていますので貼り付けます(下記タイトルにリンクを貼っています)。
Man who only ate cheese, beef and sticks of butter for 8 months suffers shocking side effect
「New York Post」によると、肉食ダイエットの熱心な信者は蛋白質摂取を信条とし、野菜も含め他の栄養素を摂らず、この食生活が体重を減らし健康状態を改善するのに役立つと主張しているとのことです。
************
この症例報告を読んで私が思い出したのは、2016年に他界したジャーナリストの桐山秀樹さんです。糖質制限を自ら実践し、その極端な食事療法を絶賛する著書も出版されていましたが、若くして心筋梗塞で亡くなりました。正式に公表されたわけではありませんが、心筋梗塞の原因は極端な糖質制限のせいでLDLコレステロールが高値だったことではないかと推測されています。
参考:はやりの病気第182回(2018年10月) 糖質制限食の行方 その3
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|2025年1月30日 木曜日
2025年1月30日 コーヒーは頭頚部がんのリスクを減らし紅茶は喉頭がんのリスクを上げる
首から頭部にかけての複数の臓器のがんをまとめて「頭頚部がん」と呼ぶことがあります。具体的には、口腔がん、咽頭がん(上咽頭がん、中咽頭がん、下咽頭がん)、喉頭がん、鼻腔がん、副鼻腔がん、唾液腺がんなどです。GLOBOCANというデータベースによると、このなかで最も多いのが口腔がん、次いで喉頭がん、上咽頭がん、中咽頭がん、下咽頭がん、唾液腺がんと続きます。世界全体では毎年約89万人に頭頚部がんが見つかり、毎年約45万人が死亡しています。頭頚部がんによる死亡者はがん全体の死亡者の約4.5%を占めています。
頭頚部がんについてまとめられた2023年の論文によると、頭頚部がんは「世界で7番目に多いがん」とされています。発症因子はかなりはっきりとしていて、タバコ、アルコール、ビンロウ(台湾の路上で見かける血を吐いたような唾液が出る実です)、HPV感染です。先進国ではすでにHPV関連の頭頚部がんがタバコやアルコールによるがんを上回っています。
今回紹介したいのは「リスク」でなく「リスクを下げる因子」で、それがコーヒーと1日1杯未満の紅茶です。医学誌「Cancer」2024年12月23日号に掲載された論文「コーヒーと紅茶の摂取と頭頸部がんのリスク:国際頭頸部がん疫学コンソーシアムにおける最新の統合分析(Coffee and tea consumption and the risk of head and neck cancer: An updated pooled analysis in the International Head and Neck Cancer Epidemiology Consortium)」から引用します。この研究は、これまでに公表されている14件の研究から9,548 件の頭頸部がんの症例と15,783件の対照例を元に分析したものです。結果は次のようになります。
・カフェイン入りコーヒーを1日4杯以上飲む人は、まったく飲まない人と比較して、頭頚部がんのリスクが17%低い。口腔がんのリスクは30%、中咽頭がんのリスクは22%低い
・カフェイン入りコーヒーを1日3~4杯飲む人は、下咽頭がんのリスクが41%低い
・カフェイン抜きのコーヒーを飲むか1日1杯未満のカフェイン入りコーヒーを飲む人は、口腔がんのリスクが25%低い
・紅茶を飲む人は、下咽頭がんのリスクが29%低い
・紅茶を1日0~1杯飲む人は、頭頚部がんのリスクが9%、下咽頭がんのリスクは27%低い
・紅茶を1日1杯以上飲む人は喉頭がんのリスクが38%高い
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カフェイン抜きのコーヒーでもリスク低下がみられたのはおそらくコーヒーに含まれるポリフェノールの影響でしょう。
コーヒー好きの人はいいとして紅茶派の人たちはこの結果に戸惑うのではないでしょうか。「1杯以下ならOKで、1杯以上は喉頭がんのリスクを上げる」というのですから。なぜ、咽頭がんのリスクは下がるのに喉頭がんは上がるのでしょう。咽頭は熱に強くて喉頭は弱いということなのでしょうか。だとすると、紅茶はコーヒーに比べて熱い温度で飲んでしまうのでしょうか。
いずれにしても頭頚部がん予防のためにコーヒーや紅茶を飲むのは筋違いだと思います。リスクを下げたいなら、禁煙、禁酒/節酒、台湾(だけではないですが、私は台湾でしか見たことがありません)渡航時にはビンローを買わない、そしてHPVワクチン接種を検討する、ということになるでしょう。
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|2025年1月19日 日曜日
第257回(2025年1月) 「超加工食品」はこんなにも危険
「超加工食品」という言葉が日本語として正しいのかどうか分かりませんが、海外メディアではここ数年「ultra-processed foods」という言葉が繰り返し登場しています。ここではとりあえず「超加工食品」という言葉を採用して、これがどれだけ魅力的か、そしてどれだけ危険かを振り返ってみたいと思います。
まずは言葉からみていきましょう。超加工食品という言葉は、2009年、ブラジルのCarlos Monteiro医師によって提唱されました。Monteiro医師はすべての食品を加工の程度によって分類することを試みました。この分類を「NOVA分類(≒新分類)」と呼びます。
NOVA分類は当初は3つのカテゴリーでした。
<グループ1>加工されていない、または最小限に加工された食品(unprocessed or minimally processed foods):野菜、米、牛乳、卵、魚など
<グループ2>加工された原材料(processed ingredients):砂糖、小麦粉など
<グループ3>超加工食品(ultra-processed food products):パン、ソーセージ、チーズ、缶詰など
2017年に4つのカテゴリーに再分類されました。
<グループ1>加工されていない、または最小限に加工された食品(unprocessed or minimally processed foods):果物、野菜、ナッツ、種子など
<グループ2>加工された料理用原材料(Processed culinary ingredients):砂糖、植物油、バター、塩など
<グループ3>加工食品(Processed foods):缶詰野菜、チーズ、できたてのパン(freshly made breads)など
<グループ4>超加工食品(Ultra-processed foods):スナック菓子、ソーダ、即席ラーメン、冷凍ピザ、大量生産のパン(mass-produced packaged breads)など
2017年分類の「グループ4=超加工食品」を毎日のように食べている人も少なくないのではないでしょうか。日本人がグループ4をどれくらい摂取しているのかを示したデータは見当たりませんが、米国では食品の約60%を占めていて、子供や10代の若者に限ればその割合はさらに高く、食べているものの約3分の2が超加工食品だとされています。
では、超加工食品を摂取すれば何が悪いのでしょうか。第二次トランプ政権で保健関連の要職につくとされているロバート・F・ケネディ(RFK)・ジュニアは「反ワクチン派」であることから科学者や医療関係者からは否定的にみられていますが、以前から超加工食品を「毒」とみなしていて、この点は世界中で評価されています。
「毒」という表現が適しているかどうかは別にして、超加工食品を否定的にみているのはRFKジュニアだけではありません。
コロンビアは2023年11月、超加工食品に課税することを発表しました。ブラジル、カナダ、ペルーなどは超加工食品の摂取を制限するよう勧告しています。
では超加工食品のいったい何が悪いのでしょうか。
まず、超加工食品の摂取割合が増えれば確実に太ります。それを示した研究もあります。
肥満でない20名の被験者(平均年齢31.2歳、BMI27)を2つのグループに分け、一方のグループには超加工食品を、もう一方のグループには未加工食を2週間食べてもらいました。食事は、カロリー、主要栄養素、糖分、ナトリウム、繊維質が一致するように設計されました。どれだけ食べるかは被験者の自由とされました。
結果、超加工食品摂取のグループは毎日500Kcal多く摂取していました。炭水化物と脂肪を多く摂っていて、蛋白質は未加工食のグループと差がありませんでした。超加工食品のグループは体重が0.9kg増え、対照的に未加工食のグループでは0.9kg減っていました。
では、なぜ我々は超加工食品をたくさん食べてしまうのでしょう。当然すぎる答えですが「美味しいから」です。超加工食品には「脂肪と糖分」「脂肪と塩分」「炭水化物と塩分」のいずれかの組み合わせが多く、これを英紙「エコノミスト」は「”超嗜好性”ミックス(”hyper-palatable” mixes)」と呼んでいます。
興味深いことに、これらの組み合わせは自然界には存在しません。そして食べやすい形と柔らかさが特徴です。超加工食品はたいてい袋をあければすぐに食べられますし、やわらかいですから食べるスピードが早くなります。早く食べてしまうと、満腹中枢が働き始めるころにはすでに後の祭り、となってしまっているわけです。
超加工食品は太るだけではありません。寿命も縮めます。米国の健康な男性の医療者39,501人と女性看護師74,563人を対象とした興味深い研究を紹介しましょう。
30年以上に渡る調査期間で死亡したのは男性18,005人と女性30,188人。超加工食品の消費量でグループを4つにわけると、最も多い1/4のグループは最も少ない1/4のグループに比べ、全死亡率が4%高くなっていました。がんと心血管疾患を除くと9%高くなっていました(つまり、意外ではありますが、超加工食品を摂取してもがんと心血管疾患の死亡は増えなかったのです)。
肉/鶏肉/魚介類(Meat/poultry/seafood)をベースにした調理済み製品(加工肉など)は、死亡率との強い関連性を一貫して示し、6~43%の死亡リスク上昇が認められました。砂糖や人工甘味料を加えた飲料では9%、乳製品ベースのデザートでは7%上昇していました。
肥満と死亡リスクの上昇以外にも様々なリスクがあります。食事中の超加工食品摂取量が多い上位10%の人は、不眠を抱えるリスクが男性で9%、女性で5%上昇するという研究があります。
不眠が生じるなら「うつ病」も起こしそうです。そしてそれを示した研究もあります。米国の42~62歳(平均52歳)の女性看護師31,712人を対象とした研究を紹介しましょう。まず、超加工食品摂取量が多ければ、BMIが高く、喫煙率が高く、糖尿病、高血圧、脂質異常症などの併存疾患の有病率が高く、定期的に運動する可能性が低いことがわかりました。そして、うつ病については、狭義のうつ病発症者は2,122人、広義では4,840人が該当しました。
超加工食品摂取量で対象者を5つのグループに分けたとき、最も摂取量の多い1/5のグループは、最も少ない1/5のグループと比較して、狭義のうつ病発症リスクが49%、広義のうつ状態の発症リスクは34%上昇していました。興味深いことに、この研究ではどのような超加工食品がうつ病のリスクとなるかも検討されています。特に顕著だったのが人工甘味料入り飲料で37%、人工甘味料も26%のリスク上昇が認められました。
超加工食品の摂取を1日3回以上減らした人は、摂取量を変えなかった人に比べてうつ病発症のリスクが16%低下していました。
超加工食品は不眠やうつ病だけでなく認知症のリスクにもなります。医学誌「Neurology」に発表された研究は米国の全国規模の2つのデータベースを解析しています。加工赤身肉の摂取量を1日あたり0.25サービング以上摂取している人は、1日あたり0.10サービング未満の人と比較して、認知症のリスクが13%高く、SCD(Subjective Cognitive Decline=主観的認知機能低下)は14%高くなっていました。SCDとは最近提唱された概念で「試験では認知症ではないが、本人が認知症かもしれないと考えている段階」のことです。サービングについては「1サービング=一皿」と考えてOKです。加工赤身肉の摂取量が多いと、全般的な認知能力の老化が加速することも分かりました。1日1サービングの増加につき1.61歳老化が加速します。言語記憶の能力(単語や文章を理解して記憶する能力)は1.69歳老化します。
興味深いことに、一日一食分の加工赤身肉をナッツ類や豆類に置き換えると、認知症のリスクが19%、SCDのリスクが21%低下することが分かりました。また、加工されていない赤身の肉であれば、認知症のリスクを上げないことも分かりました。
英国のデータベースを用いて実施された研究もあります。結果は米国のものと同じようなもので、加工肉の摂取量が1日あたり25g増えるごとに、全認知症発症リスクが44%、アルツハイマー病発症リスクが52%増加します。対照的に、未加工の赤身肉の摂取量が1日あたり50g増加すると、全認知症発症リスクが19%、アルツハイマー病発症リスクが30%低下します。加工(赤身)肉とは、ベーコン、ホットドッグ、ソーセージ、サラミ、ボローニャソーセージなどです。
どうやら心身ともに健康で長生きするには「いかに超加工食品の誘惑を断ち切るか」が鍵になりそうです。
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|2025年1月9日 木曜日
2025年1月9日 じんましんを放っておけば死亡リスクが2倍に
2021年5月から開始したメルマガ「谷口恭の『その質問にホンネで答えます』」は、はや3年半を超え、この間様々な質問をいただいています。もともと谷口医院は2007年の開院以来メールでの質問を常に受け付けているので、以前から全国から(ときには海外からも)多くの相談が寄せられていたのですが、最近はさらに質問の幅が広がっています。メルマガで読者の質問に回答すると、さらに相談が増えることがあります。最近、メルマガ公開後に質問が増えているのが「じんましん(以下、蕁麻疹)」についてです。そのメルマガで紹介した研究についてここで取り上げたいと思います。
この研究の対象者は米国の慢性蕁麻疹の患者264,680人(及び同数の対象者)です。蕁麻疹があれば、調査開始から3ヵ月後、1年後、5年後の全死因死亡率が、なんと2.09倍、1.77倍、1.69倍にもなるというのです。特に目立つのが若年者(18~40歳)で、死亡リスクは2.14倍にもなります。
死因としては自殺が多く、自殺念慮/自殺企図は蕁麻疹がない人に比べて3.14倍にもなります。がん(悪性腫瘍)に罹患するリスクも2.09倍とされています。脳血管疾患は2.27倍、糖尿病は2.05倍です。
興味深いことに、この研究は「治療でリスクが下がる」ことを示しています。まとめると下記のようになります。
(内服)ステロイドで治療 → リスクは低下せず
抗ヒスタミン薬で治療 → リスクは低下する
抗ヒスタミン薬+オマリズマブ(ゾレア)で治療 → リスクはさらに低下
対象者の薬の使用もとても興味深いものとなっています。
(内服)ステロイド使用:117,372人
抗ヒスタミン薬使用:113,334人
(抗ヒスタミン薬+)オマリズマブ使用:1,414人
シクロスポリン使用:356人
************
この研究、蕁麻疹が(特に若年者の)死亡リスクになるということにかなり驚かされるのですが、それと同じくらいに衝撃的なのは米国ではこんなにもステロイドが使われているのか、ということです。
内服(または点滴の)ステロイドは確かに蕁麻疹には”劇的に”効きます。ですから(例えば薬の副作用などで起こる)急性の蕁麻疹には使うことがあります。しかし、慢性蕁麻疹には原則としてステロイドは使うべきでありません。そんなことをすれば取り返しのつかない副作用が生じることは必至だからです。にもかかわらず抗ヒスタミン薬よりも多く使われていることに驚かされます。”雑な治療”と言われても仕方がないでしょう。
オマリズマブ(ゾレア)は副作用もほとんどなく極めて優れた薬だと言えます。費用が高くつくのが欠点ではありますが、蕁麻疹の死亡リスクがこれだけ高いのならば比較的早い段階から積極的に使用してもいいかもしれません。
尚、冒頭で触れたメルマガでの相談は「ザイザルを1日2回飲んでも治らない」というものでした。重症例であっても、たいていは、ステロイドでない安全な飲み薬を4~5種類組み合わせれば症状は消えます。その後少しずつ減らしていけば完全に治すことができます。4~5種の内服薬を使っても完全に消えないときにはゾレアを検討することになります。
参考:湿疹・かぶれ・じんましん
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|2025年1月2日 木曜日
2025年1月 私自身も「同じ穴のムジナ」なのかもしれない
すでにこのサイトでも何度か述べたように、私は自分の「ミッション・ステイトメント」を持っています。「持っている」というとなにやら厳かなもの、あるいは宗教的なニュアンスが出てきますが、単に「つくっています」と表現するよりは「持っています」の方が適しているように思えます。なぜなら、ミッション・ステイトメントは単なる作文でありながら、自分自身の根幹になるもの、あるいは自分にとっての「掟」にもなるからです。国でいえば「憲法」に相当するといえるかもしれません。
2025年1月1日、私は28回目となる「ミッション・ステイトメントの見直し」をおこないました。1997年に初めてミッション・ステイトメントを作成し、以降毎年1月1日に時間をみつけ、日ごろは考えないような深いところにまで”降りていき”内省します。このときには、普段は考えたくないようなこと、あえて日ごろは目を伏せているようなことまで掘り下げます。だから、この見直し作業は毎度毎度けっこうな”痛み”を伴うのです。なぜって、日ごろは意識しない自分の深部に直面せねばならないからです。
2020年1月に始まったコロナ騒動はいまや完全に終息し、過去5年間で医療界は大きく様変わりしました。今回のミッション・ステイトメント見直し作業では医療の流れについて考えてみました。もちろん私が思いを馳せるのは、大手メディアが取り上げるような先進医療のこととか保険証がマイナンバーカードに替わるとか、あるいは医師不足や偏在のことではありません。
私が5年間のコロナ騒動で最も気になる医療界の変化は「多くの医師がかつての医師ではなくなった」です。これは否定的な意味です。もちろん、私の医師へのイメージも、一般の人と同じで主観的な思い込み、あるいは単なる幻想です。ただ、一般の人とまったく同じかというと、私自身が当時者である分、しかも医学部入学から数えれば四半世紀以上もこの世界に身を置いている分だけはその思い込みは客観性を帯びていると思うのです。
そんな私からみて「医師はかつての医師ではなくなった」とはどういうことかというと、「利他的で勤勉で献身的で思いやりのある人物」が、まるでその逆のキャラクターに、つまり「利己的で学びもせず自分優先で優しくない人物」に様変わりしたように映るのです。もちろん、過去の医師たちは聖人君子のような人たちばかりだったなどとは考えていませんでしたし、このサイトにも非難されるべき医師を取り上げたことがあります。
しかし、全体を俯瞰して言えば、医師は高い人格を持ち合わせていると思っていたのです。例えば、2014年には「医師に人格者が多い理由」を書いて、医師がいかに利他的で高い人格を有しているかについて述べました。2017年のコラム「医師に尋ねるべき5つの質問」では、患者から訴えられている見ず知らずの医師をかばい「医師は金のために働いているわけではない」と力説しました。
それが、5年近く続いたコロナ騒動で、私が抱いていた幻想はまるで指の間を流れ落ちていく細やかな砂粒のように消えていったのです。武漢から帰国した日本人や「ダイヤモンド・プリンセス」の乗客乗員へのケアをおこなった医療者に対して差別をする勤務医が現れ、発熱で苦しんでいるかかりつけ患者の診察をえげつないほど拒否したくせに発熱患者を診れば補助金が出るとなると一気に患者を取り合う開業医があふれ、「時給18万円」(日給ではない!)のワクチンバイトに群がるフリーター医師が激増しました。
他にも、「直美(ちょくび)」と呼ばれるわずか2年間の研修しか受けていないのに年収3千万円を求めて美容クリニックに群がる若い医者、臨床経験がほとんどないのに「困ったときにはいつでも駆け付けます!」などと患者にやさしい”フリ”をして夜勤を増やして金を稼ぐ若い訪問診療医などが大量に”生産”されました。2024年後半には「直美」がちょっとした流行語になった一方で「経験の浅い訪問診療医」はまだあまり目立っていませんが、ベテランの往診医や看護師からの情報によると、まあひどいものです。とにかく経験がないものだから基本的な知識や技術が欠落しているわけです。現場の看護師の指示がなければなんにもできない医師も少なくないとか。だけど若い彼(女)らは愛想だけはいいようです。コミュニケーション能力があって見た目が悪くなければ訪問診療医なんて、そして「直美」も誰でもできるとする意見も聞きます。
さて、ここで私自身の内面の話をしましょう。1月1日、このようにコロナ騒動期間の医師の凋落ぶりを考えていると、「では、そんなに偉そうなことを考えているお前自身はどうなんだ」という声が聞こえてきました。「そんな上から目線で同業者を批判する資格がお前にはあるのか」と問うてくるのです。
そこで改めて考えてみました。医師になる前からの自分の人生を振り返り、なぜその道に進んだのかを思い直してみたのです。まず確認できたのが「私は常に金儲けとは反対の方向に進んでいる」です。
私が最初に就職活動をやったのはバブルがギリギリ続いていた1990年代前半、世間は超売り手市場で、「就職説明会は高級ホテルで飲み食い自由」「入社すれば海外旅行に招待」なんていうのは当たり前、「うちにくれば新車一台プレゼント」なんてところまでありました。大学のゼミ仲間(当時の私は関西学院大学の社会学部でした)のほとんどが都市銀行や大手商社などを目指していたなかで、私はできるだけ「小さな企業」に絞っていました。「高収入で会社の歯車になるくらいなら、低収入でも小さな企業でおもしろいことをしたい」と考えたのです。
就職して、その「おもしろいこと」ができるようになってしばらくすると、これでいいのだろうか、という疑問が抑えきれなくなり、母校の大学院に進学することを考えました。そのため母校のある教授の元を定期的に訪れ論文や教科書を紹介してもらうという生活にうつりました。学問の道に進めば、もちろん収入は激減します。本を書いて売れたりすれば別なのかもしれませんが、通常学者(あるいは学者を志す者)は貧乏です。
当時の私が研究したかったのは「人間の行動・感情・思考」といったもので、関連の文献を読み漁るなかで、生命科学、とりわけ分子生物学、脳生理学、免疫学、精神分析学といった領域に興味がでてきました。これが社会学から医学への進路変更につながるわけですが、私は医学部入学時には医者になるつもりはまったくなく、医学の研究がしたかったのです。しかし医学部4回生で能力の限界を思い知り諦念し、5回生で臨床医へと進路変更しました。
医師になってからも定型的な出世コースや金儲けには興味がなく、研修期間が終わると、まずHIVに積極的に取り組んでいた診療所に丁稚奉公させてもらい、その後タイのエイズホスピスを訪れ無償ボランティアに従事しました。ここで米国の総合診療医に師事し総合診療の道に進むことを決心します。帰国後、母校の大阪市立(現・公立)大学の総合診療科の門を叩き、大学に籍を置きながら大阪市北区に開業しました。
「開業すれば儲かるのでは?」という質問はもう何百回も受けましたが、そもそも総合診療というのはひとりの患者さんに時間を割いて、しかも検査も薬も最小限にすることを心がけますから儲かりようがないのです。実際には、なぜか患者数が急増し、開業2年目には初めて受診する患者だけで4,237人にも上り、それなりに利益が出てしまったのですが、それらは慈善団体に寄付しましたし、待ち時間が長いなどのクレームも急増したおかげで、次第にちょうどいい塩梅へと収斂していきました。ここ数年間の「初めて受診する患者数」は年間千人程度とかつての4分の1以下です。
長々と振り返ってみましたが、改めて見直しても私には金儲けがモチベーションになったことはこれまでの人生で一度もありません。では、進路選択の真の動機は何だったのか。ひとつめの大学卒業時には「おもしろいことをやりたい」、社会学部大学院を目指していた頃は「人間とは何かを知りたい」で、これが医学部4回生あたりまで続いていました。臨床医を目指すようになった動機は「臨床、特に救急ってけっこうおもしろい」で、タイのエイズホスピスに赴いたのは「HIVが理由で差別される人を助けたい」で、大学の総合診療科に入局しそして開業したのは「他で診てもらえなかった人たちの力になりたい」です。
こうしてみてみると、私の人生の前半、臨床医を目指すまでの進路選択の動機は「おもしろいもの、ワクワクするものに取り組みたい」で、これは自分勝手なものではありますが、社会から否定されるものではないと思います。少なくとも「金儲け」「高い地位」などよりははるかに受け入れられやすいでしょう。後半の「差別で苦しむ人を助けたい」「他で診てもらえなかった人の力になりたい」は、社会一般的には「美しいもの」と認識されるのではないでしょうか。
ここまでを考えると、私の歩んできた人生は、「金儲けを考えず困っている人のために尽力する」というとても”美しいもの”になってしまいます。そして、ここで私の疑問が浮き彫りになります。聞こえてくるのは「お前はそんなに高貴な人間のはずがないだろ」という内からの声です。そうです。その通りなのです。私自身のことは私がよく知っています。決して私は高貴な人間でも他人から尊敬されるような人物でもありません。
しかし私は嘘を言っているわけではありません。これまで金儲けを目標にしたことがなく、今も臨床を続けているのは、他の医療機関から見放された人たちの力になりたいという欲求、あるいは欲求よりももっと強くて根源的な「欲望」と呼ぶべきものです。
「欲望」というこの言葉を噛みしめたときに分かったような気がしました。欲望は理屈からではなく、身体の芯から湧き出るもの、もしかすると「本能」と呼ぶべきものかもしれませんが、前頭葉で思考するようなものではなく、原始的な脳が求める強い欲求を意味します。そして、その欲望が、医者によっては「カネ」である一方で、私の場合は「差別されたり他の医療機関で見放されたりした人の力になりたい」であるだけなのでは?、ただ単にそれだけのことでは?、と思えてきたのです。
同業者を差別したり、発熱患者を拒否したり、金儲けに走ったりする欲望は社会からは歓迎されないことに彼(女)らは気づいているはずです。それでもなんらかの言い訳を用意してそれを選択するのは、そうさせる欲望があるからです。他方、私自身にも困窮している人たちを救いたいという、これまた欲望があります。ということは、彼(女)らと私に根源的な差があるわけではありません。
しかし、疑問が残ります。「困っている人を救いたい」が欲望であったとしても依然それは”きれいすぎ”ます。さらにその奥に何か得体のしれないドロドロとしたもっと原始的な欲望があるのではないか……。今年の元旦、私にはそれ以上掘り下げることはできませんでしたが、もしかすると”恐怖”でできなかったのかもしれません。
スラヴォイ・ジジェク(Slavoj Žižek)が最近Telegraphに載せていた言葉を思い出しました。
「私は内にある真実の存在など信じない。自分の外に都合の良い理由を見つけてそれにしがみついていればいいのだ。自分が善良なふりをしてそれに従って行動していれば善良になれる可能性はある。しかし、決して自分の奥深くを見つめてはいけない。そんなことをすれば(sで始まる)とんでもないものしか見つからないのだから……」
because I don’t believe in inner truth. Your ethical duty is to find a good cause outside yourself and stick to it: pretend that you are good and act accordingly and maybe there is a chance you will become good. But don’t look deep into yourself. You will discover only s—.”
内面へと降りていく私の“探求”はいったん打ち切ることにしました。
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|2024年12月26日 木曜日
2024年12月26日 認知症の遺伝リスクが高くても心肺を鍛えれば低下する
認知症の最大のリスクは「遺伝」であることはこのサイトで繰り返し述べています。世間では、脳の専門家でさえも「認知症は遺伝しない」というようなことをしきりに言いますが、これは正しくありません。
ApoE遺伝子をε4で持っている人が認知症のリスクが上昇するのはすでに自明であり、日本人での割合は、ε4/ε4、ε4/ε3、ε4/ε2で持つ人の割合がそれぞれ1%、21%、5%と言われています。日本人の3割以上(31%)はε4を持っているのです。リスクの高さについては、日本人の6割が持つε3/ε3に比べて、ε4/ε4は11.6倍、ε4/ε3とε4/ε2は3.2倍だとする研究があります。
ですから「認知症は遺伝しません」などと事実と異なることを訴えるよりも、「ε4を持っている3割以上の人は認知症のリスクが高いのは自明なのだから、残り7割弱の人よりもしっかりと予防をしましょう」と現実を見据えるべきです。
ε4を持っていても必ずしも発症するわけではないのは事実ですが、ε4/ε4を持つ1%の日本人(約120万人でしょうか)は若くして認知症を発症しやすいことを受け入れるべきですし、ε4/ε3、ε4/ε2の人もリスクを認識して老後の生活を考えるべきだと私は思います。
今回紹介するのは、そのε4を持っている31%の日本人に嬉しい研究です。論文は医学誌「British Journal of Sports Medicine」2024年11月19日号に掲載された「遺伝的素因の異なるレベルにおける心肺機能と認知症リスクの関連性:大規模な地域ベースの縦断的研究(Association of cardiorespiratory fitness with dementia risk across different levels of genetic predisposition: a large community-based longitudinal study)」です。
この論文では認知症の遺伝的リスク因子としてApoEではなく、多遺伝子リスクスコア(=Polygenic Risk Scores in Alzheimer’s Disease=PRSAD)を用いています。研究の対象者は、調査開始時点で認知症のない39~70歳の61,214人、追跡期間は最長12年間です。
追跡期間中に553人(0.9%)が認知症を発症しました。解析の結果、心肺機能の能力(=cardiorespiratory fitness=CRF)が高い人は低い人に比べて、認知症の発症リスクが40%低く、認知症の発症が1.48年遅れることが示されました。
PRSADが中程度から高い人でみると、CRFが高い人は低い人に比べて、全認知症のリスクが35%低いという結果が得られました。
************
認知症の遺伝リスクが高くても、心肺機能の能力が高ければリスクを35%も低下できるという研究結果は有難い知らせです。リスクが高い人(≒ApoE遺伝子をε4で持つ人)にとって、この結果をみて運動しないという選択肢はないでしょう。
では、まだ自分のApoE遺伝子のタイプを知らない人はまずはε4の有無を調べればいいか、というと、ここは慎重になるべきです。なぜなら、遺伝子というのは生涯変わることがなく一度知ってしまえばその現実を必ず受け入れなければならないからです。当院では若い人(≒これから子供を持つ可能性がある人)からの依頼は原則断っています。
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|2024年12月19日 木曜日
第256回(2024年12月) B型肝炎ワクチンに対する考えが変わった!
おそらくメディアでは報道されておらず、たぶんSNSでも話題になっていないと思うのですが、B型肝炎ウイルス(以下「HBV」)のワクチンに対する考え方が変わりました。
2024年11月15日、日本環境感染学会が新しいガイドラインを発表し、そのなかで私が長年モヤモヤしていたことが一気に解消されました。今回は、HBVワクチンに対する考えがどのように変わったのかを紹介し、今後のあるべき接種方法について述べたいと思います。
HBVワクチンは本来なら誰もが接種していなければならないワクチンですが、この国では接種者が驚くほど少ないのが現状です。そういう偉そうなことを言っている私自身もこのワクチンの存在を知ったのは医学部に入学した27歳のときで、それまではHBVの危険性についてよく分かっていませんでした。
私が医学部に入学した90年代の大阪は(そしてたぶん今の大阪も)HBV感染者が九州地方と並んで最も多い地域です。出処は忘れましたが、以前、「大阪府と福岡県に最も感染者が多い」と聞いたことがあります。なぜ大阪と九州に多いかというと、韓国、北朝鮮、台湾からやって来た人が多いからです。
HBVは性感染、母子感染、血液感染で広がるとされていますが、実際には「スキンシップ程度の接触」で感染することもあります。谷口医院の患者さんのなかにも、「友達を看病して感染した」「間違って友達の歯ブラシを使って感染した」あるいは「道端で倒れている人を起こしたときに傷に触れて感染した」という例もあります。
この程度の接触で感染するわけですから、ウイルス量の多い感染者と同居していれば時間の問題です。日本では父子感染もそれなりにあるという報告もあります。もちろん父親が娘(息子)に性的虐待して……、ではなく、おそらく傷の手当や食べ物の口移しなどで感染したのでしょう。
医学部に入学したての頃、HBVワクチンを無料で接種できると聞いて喜んだ私は、実は同時に”恐怖”も感じていました。「すでにかかっているかもしれない……」と思ったからです。当時27歳の私の周辺にはHBV感染者がけっこういたのです。
疫学的には「日本のHBV感染者は100万人ちょっと」と言われていて、おおまかにいえば100人に1人くらいとなるのでしょうが、私の周りにはすでに感染者が5人いました。医学部内でのワクチン接種の際に「僕の周りには5人の感染者がいます」と肝臓内科の先生に言うと、「そんなはずはない。それは多すぎる」と言われたのですが、これは事実です。
5人のうち1人(20代の男性)は、ちょうど私が医学部に入学したのと同時くらいに急性肝炎を発症して入院し、パートナーにうつしていたことが判り、ちょっと大変な状態になっていました。この男性は大学は違えどアルバイト先が同じで20~21歳くらいにはしょっちゅう一緒にいた友達です。ちなみに私は医学部入学前に会社員をしていて、その前に私立文系の大学を卒業しています。
残りの4人は、同世代の男性が2人、同世代の女性が1人、私より20歳ほど年上の男性が1人です。女性の感染ルートは最後まで不明(家庭内感染は否定され、本人が言うには性行為の経験は「ない」とのこと)で、男性は全員が性感染でした。最も重症化したのは「私より20歳ほど年上の男性」で、タイへの出張時にタイ人女性(おそらくsex worker)から感染し、帰国後に劇症肝炎を発症し、一時は意識不明となり生死を彷徨いました……。
幸いなことに、私自身は感染しておらず無事にワクチンを接種することができました。しかし、それは本当に”幸い”なことであり、知識がなく誰も教えてくれなかったので仕方がないとはいえ、それまでHBVに無関心でいたことが怖くなりました。
HBVは極めて興味深い生命体で、2本鎖のDNA型のウイルスなのにも関わらず、1本鎖RNA型のHIVと同じように逆転写酵素を持っています。そのため、いったん感染するとヒトの細胞内のDNAに割り込み、ヒトの細胞分裂が起こる度にウイルスも増幅されることになります。つまり、いったん感染すると生涯にわたり消えないのです。そして、感染力は極めて強く、(HBVの体内での状態にもよりますが)感染力はHIVの100倍とも言われています。実際、性感染を考えた場合、HIVはそう簡単には感染しませんが(とはいえ、実際には「よくその程度で感染しましたね……」という事例もありますが)、HBVは(先に述べたように)些細な接触で感染します。
しかし、HIVの場合はワクチンがなく予防にはコンドームを用いるかPrEPを実施せねばならないのに対し、HBVはワクチンを接種して抗体を形成しておけば感染することは(まず)ありません。しかも、いったん抗体が形成されれば生涯感染しないというのです。欧米諸国や豪州などではたいてい生まれて数時間以内に1回目のワクチンを全員に接種します。
谷口医院をオープンした2007年、私が真っ先に取り組みたかった1つが「HBVの危険性を広く知らしめてワクチンを普及させること」でした。そして、医院オープン直後に自分のHBVの抗体(HBs抗体)を調べてみました。医学部1回生のときに3回接種してそのときに抗体形成を確認していますから今回も「陽性」となるはずです。ところが結果はなんと「陰性」! 抗体が消えてしまっていたのです。
しかし、これはよくあることで、HBs抗体はワクチンで形成されて数年間が経過すると陰性になることがまあまああります。ただし、心配はいらないとされています。(他の感染症とは異なり)HBVの場合は抗体が消えても、それは血中に出てこないだけで免疫は維持されるとされています。実際、冒頭で紹介した新しいガイドラインの前のバージョンまでは「追加のワクチン接種や検査は不要」と書かれていました。たしかに、私の場合も追加接種を一度おこなうと再び抗体価は上昇しました。
けれども、そうは言っても血中抗体価がゼロ(陰性)というのは不安です。また、本当に血中抗体価がゼロでも感染しないと言い切れるのでしょうか。実は、「感染した」とする報告がちらほらあります。そして、冒頭で紹介した新しいガイドラインには、いわばこの「不都合な事実」が次のように記載されています。
HBs抗体が低下した場合にHBV曝露後にHBV DNAが陽性になったり、免疫抑制下においてHBV再活性化が起きるという報告もあり……
ガイドラインがこれを認めるなら、一度抗体ができただけでは不安になるのは当然です。続きを読んでみましょう。
一部の医療機関では血液体液曝露のリスクがある医療関係者に対して、免疫獲得者に対する経時的な抗体価測定や、免疫獲得者の抗体価低下にともなって追加接種を行っている。本ガイドラインは既に十分な体制が取られている医療機関でのこのような実践を否定するものではない。
要するに、「追加接種をおこなってもいいですよ」あるいは「追加接種をおこなった方がいいかもね」と、ガイドラインはそう言っているわけです。
さて、谷口医院では過去18年の歴史のなかで、少なく見積もっても2千人以上にHBVワクチンを接種してきています。これまでは(旧)ガイドラインに従い「いったん抗体が形成されたことを確認できれば追加接種は生涯不要と考えられています」と伝えてきましたが、この度の新しいガイドラインが公表された直後から「数年間経過すれば免疫がなくなるかもしれません」と説明しています。今までは自分だけが追加接種をして患者さんには不要と言い続けなければならずもどかしさがあったのですが、これですっきりしました。
私自身は今回のガイドラインの改定を歓迎しています。まあ、初めから「追加接種を検討してもいいよ」と書いておいてくれれば悩まなくて済んだのですが……。
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