はやりの病気
2013年6月15日 土曜日
第53回 花粉症の治療はお早めに 2008/1/22
確実に年々増えている病気のひとつが花粉症です。
小児の花粉症、特に幼稚園以下の花粉症が増えているというのはアレルギー疾患をみているほとんどの医師が感じていることですし、高齢者の花粉症も確実に増えてきています。
また、症状も多様化しており、典型的なものは、「くしゃみ、鼻水、鼻づまり」ですが、鼻の症状に加えて目の痒みを訴える人が増えてきているように感じますし(目の症状だけを訴える人もいます)、皮膚症状(皮膚の痒みや赤み)が出てくる人もいますし、花粉症のシーズンになると咳が止まらないという人もいます。小児では花粉症と喘息が合併することも珍しくありません。
花粉症のシーズンになると、「仕事や勉強の能率が落ちる」という人が大勢おられ、ひどい場合は「外出するのが苦痛」、「日本を脱出したい」という人もいます。
「日本を脱出したい」と言っても、そうそう簡単には脱出するわけにはいきませんし、この”美しい”日本に住んでいる限り、スギやヒノキの花粉から逃れることはできません。
結局のところ適切な治療をおこなっていくしか方法がないわけですが、きちんと治療をするかどうかでクオリティ・オブ・ライフが随分と変わってきます。花粉症なんかのせいで「仕事や勉強の能率が落ちる」ようなことはなんとしても避けるようにすべきです。
治療法の話に入る前にまずは”予防法”をみていきましょう。
ある医学の教科書には、花粉症の予防として次のように書かれています。
「花粉情報を参考にしながら、花粉の飛散が多いときは外出を控え、窓や戸を閉めておく。外出時にはマスク、メガネ、帽子を使用する。帰宅したら、洗顔(眼)、うがい、鼻かみを行い、できればシャワーを浴び、衣類を着替える」
このようなことが実際にできるでしょうか。メガネ、帽子、帰宅後のうがい・鼻かみ、くらいはできるでしょうが、「外出を控える」「シャワーを浴びる」などは必ずしも現実的ではないと思われます。
ということは、”予防法”には限界があると考えるべきで、適切な治療をおこなわなければなりません。
花粉症の治療には、大きく分けて、「薬物療法」「免疫療法」「手術療法」があります。最も普及しているのは「薬物療法」ですが、先に「免疫療法」と「手術療法」をみていきましょう。
「免疫療法」は、別名「減感作療法」ともいい、日本ではスギ花粉症に対して治療がおこなわれています。スギ花粉のエキスを少しずつ注射していってスギに対する感受性を弱めるという方法です。
この方法は科学的に効果がある(evidenceがある)とされていますが、かなり長期の治療機間を要することと、ときに重症化する可能性のある副作用があることが問題として指摘されています。それに、現在の日本ではスギに対する治療しかなくて、ヒノキやブタクサといった他のアレルゲン(アレルギーを引き起こす物質)にはまったく効果がないことも患者さんによっては難点となります。
「手術療法」は、鼻粘膜の縮小と変調を目的としたレーザー手術や、鼻づまりの症状の改善を目的とした下鼻甲介粘膜切除術があります。レーザーは、炭酸ガスレーザーが主流ですが、施設によっては他のレーザーも試みられているようです。
患者さんからみたときの満足度は施設や術者によって様々ですが、いくつかの研究報告をみてみると、「薬物療法」をおこなったグループに比べると満足度が劣るものもあり、何度も治療をおこなうことが必要になりますから、薬物療法に比べるとまだまだ普及していないのが実情です。
結局のところ、大多数の患者さんが「薬物療法」を選択することになります。そして、最新のガイドライン(2005年改訂)に基づいた治療をおこなえば、かなり満足のいく結果となります。
すてらめいとクリニックにも昨シーズン多くの花粉症の患者さんが来られましたが(スギとヒノキの春がピークでしたが、カモガヤやブタクサのシーズンにも増えました)、ほとんどの患者さんは薬物療法のみで治療をおこなっています。
使用する薬は、基本的には第2世代の抗ヒスタミン薬と、ステロイドの点鼻薬です。第2世代の抗ヒスタミン薬のなかでもいくつかは眠くなることがほとんどなく、ほとんど副作用がないと考えていいと思います。(これに対し、市販の風邪薬などに含まれているのは第1世代の抗ヒスタミン薬で、これはかなりの割合の人が眠気を訴えます)
ステロイドの点鼻薬も非常にすぐれた薬で副作用はほとんどないと言えます。内服のステロイドは様々な(そしてときに重篤な)副作用の出現に注意する必要がありますし、湿疹などに使用する塗り薬のステロイドは使用方法を誤ると大変な副作用がでますから、それらと比べると実に使いやすいステロイドということになります。(ちなみに、喘息の治療で使う吸入ステロイドも内服や外用に比べると副作用を気にせずに使えます)
ステロイドの点鼻薬に欠点があるとすれば、効果がすぐに現れないということです。最低でも1~2日、長ければ1週間くらいして初めて効果が出ますから、使用開始時にはこのことを理解しておく必要があります。
鼻づまりに対しては速効性のある点鼻薬があって患者さんには重宝されます。ただし、こういった薬は使いすぎると副作用が出ますから、使用には注意が必要です。
これら以外の薬として、ロイコトリエン拮抗薬と呼ばれる飲み薬や、喘息のときに使用する薬などを追加することもあります。
さらに眼の症状には点眼薬を、皮膚症状には外用薬を用います。
症例によっては漢方薬を用いることもあります。なかには、漢方薬のみで花粉症を抑えることのできる人もいます。
薬物療法の最大のポイントは、花粉が飛散する前から治療を開始する!ということです。上に述べた薬の効果を最大限に出すには、花粉がまだ飛んでおらず症状が出ていないときに使い始めることが必要です。
花粉がピークになれば患者さんの数が増え、待ち時間が長くなりますから、そういう意味でも早めの受診がおすすめになるのです。
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|2013年6月15日 土曜日
第52回 不思議な不思議なクラミジア② 2007/12/25
前回は、クラミジアは尿道や子宮けい部だけでなく、のど(咽頭や扁桃)や肛門に感染していることもある、という話をし、さらに血液検査はそれほど有用でないという点について述べました。
今回は、よくある質問、「自分はいつどこで誰から感染したのか」という問題について考えていきたいと思います。
例えばこういうケースがあります。
30代の主婦で結婚2年目、結婚後は自分の夫以外の男性とはまったく性交渉がない。不正出血が気になり、すてらめいとクリニックを受診して、念のために調べたクラミジア検査で陽性反応がでた・・・
という場合です。この場合、不正出血の原因がクラミジアかどうかは別にして、クラミジアに陽性反応が出た以上は治療を開始しなければなりません。そして、もうひとつしなければならないことがあります。
それは、自分の夫のクラミジア検査です。これは、もしも夫もクラミジアに感染している場合、自分だけが治してもいずれ再び夫からクラミジア感染をする可能性が高いからです。
さて、この場合、この主婦はこのように考えます。
「自分は結婚後、他の男性との性交渉がまったくない。夫がどこかで浮気してきて自分にうつしたに違いない・・・」
場合によっては、夫を厳しく追求したり、離婚を考えたりするかもしれません。そして、夫に受けさせた検査結果が”陰性”だったとします。
夫の検査結果が陰性だった場合、どのように考えればいいでしょうか。実際にこのようなケースは珍しくありません。
このようなケースではいくつか考えられることがあります。
ひとつは、この主婦が推測したとおり、夫が浮気をして自分の妻にクラミジアを感染させたというケースです。実際、これはよくあることです。
特に多いのが、フェラチオ(fellatio)でクラミジア感染するという知識を男性が持ち合わせておらず、風俗店に行きセックスワーカー(風俗嬢)ののど(咽頭)からクラミジアに感染し、自覚症状がないこともあり自身が感染していることを知らずに妻に感染させるというケースです。
ちなみに、日本ほど、コンドームなしのフェラチオ(fellatio)が普及している国はおそらく他にはありません。国(というか文化)によってはフェラチオなど考えられないというところもありますし、セックスワーカーがフェラチオをする地域もあるにはありますが、コンドームを使用するのが常識です。ときどき、「コンドームをしたフェラチオなんて考えられない」という日本人男性がいますが、「コンドームなしのフェラチオなど信じられない」というのがグローバルスタンダードなのです。
さて、話を戻しましょう。
夫が浮気などでクラミジアに感染して、気づかないまま妻にうつしたとき、妻にうつした後で自然治癒したということが可能性としては考えられます。前回、お話したようにクラミジアには自然治癒もありうるのです。
妻がクラミジア陽性、夫は陰性というケースでは、他にもいくつかの可能性があります。
この妻が夫と交際しだす前に、すでにクラミジアに感染していたという可能性もあります。クラミジアはときに慢性化する感染症で、数年間持ち続けていたということもあるのです。
あるいは、交際を始める前に夫の方が以前の交際相手(ex-girlfriend)から感染していて気づいていなかったという可能性もあります。そして、妻に感染させた後に自然治癒していたということがありうるのです。
クラミジアは自然治癒する場合が少なくないのですが、こういうケースは実はかなり多いのではないかと私は考えています。
その最大の理由は、「日本人は抗生物質を服用するケースが多い」というものです。
以前別のところでも述べましたが、日本ほど抗生物質を消費している国はなく、「世界の抗生物質消費量の4分の1が日本である」、と言われることもあります。
抗生物質というのは安易に服用すべき薬では決してありません。国によっては、抗生物質は保険適用外というところもあります。海外で医療機関にかかられたことのある方なら経験があるかもしれませんが、いくら症状があっても(ウイルスや真菌ではなく)細菌に感染していることが証明されなければ(あるいは強く疑われなければ)、医師は抗生物質の処方をしません。
ところが、日本では単なる風邪と思われるような症状でも抗生物質をほしがる患者さんが少なくありません。すてらめいとクリニックでは「抗生物質が必要な風邪症状ではありませんよ」と説明して、原則としてウイルス性と思われる”単なる風邪”には抗生物質を処方しませんが、「私は風邪のときはいつも抗生物質をもらっています」と答える患者さんもいます。
抗生物質が安易に処方された結果がクラミジアの自然治癒の一因となっているのではないか・・・。これが私の仮説です。
抗生物質のなかにはクラミジアには一切効果がないものも少なくないのですが、それでもなかには”単なる風邪”に処方される抗生物質が効く場合もあります。
そろそろ、本日のまとめに入りましょう。
夫婦間(あるいはカップル間)で、どちらかがクラミジア陽性、一方が陰性の場合、(あるいはふたりとも陽性の場合でも)、どちらが先に感染したかというのは推測不可能と考えるべきです。
もっとも大切なのは、少しでもクラミジア感染の可能性があるなら、ふたりで検査を受けるということです。その際はクラミジアだけでなく可能性のある性感染症すべての検査をするのです。そして、どちらかが感染していることが分かった場合、その原因を追求するようなことはせずに、治療に専念し、すべての性感染症が陰性であることを確認すればいいのです。
そして、その後は・・・、
お互いに本当の忠誠心があれば、それからは性感染症の検査は一切必要ないはずです!
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|2013年6月15日 土曜日
第51回 不思議な不思議なクラミジア① 2007/12/3
すてらめいとクリニックは、総合診療の名の下、「どんなことでもお気軽にご相談ください」というコンセプトで診療をおこなっています。実際、発熱や倦怠感から、手術が必要な症例、メンタルケア、・・・・、と実に様々な症状の患者さんがやって来られます。そんななか、最近増えているな・・・、と感じられるのが、性感染症、特にクラミジア感染症です。
クラミジアは自覚症状が出ないことが多く、検査をして初めて感染に気付いたという人が圧倒的に多いという特徴があります。私の印象では、男女とも8割以上の人はまったく自覚症状がありません。
自覚症状があったとしても、ほとんどは軽症です。女性なら、「なんとなくおりものの調子がおかしい・・・」、「下腹部に違和感があるような気がする・・・」、男性なら、「残尿感があるように思う・・・」、「おしっこをするとき違和感を感じることがある・・・」といった感じです。
また、男女とものど(咽頭や扁桃)に感染していれば、ほとんど100%の人に自覚症状がありません。性交渉の仕方によっては肛門に感染していることもありますが、やはりこの場合もほとんど自覚症状がありません。
私がすてらめいとクリニックを始めて気付いたことのひとつに、男性のクラミジアの咽頭感染がかなり多いということがあげられます。以前は、コンドームを用いないフェラチオ(fellatio)をする女性や男性同性愛者に対しては、必ずのどの検査もすすめていましたが、異性愛者の男性に対しては、患者さんからの申告がない限りは咽頭の検査はおこなっていませんでした。
ところが、「自分は女性器を愛撫(クンニリングス、cunnilingus)するので喉も調べてほしい」という男性異性愛者の咽頭検査をすると、かなりの確率でクラミジアが陽性となります。
それに気付いてからは、異性愛者の男性に対しても、必ず「喉に感染している可能性はありませんか」と尋ねるようにしています。
先日、性感染症に従事するある医師と話したときにも、この話題となり、その医師も男性異性愛者の咽頭クラミジア感染の多さに驚いていると話していました。
さて、ここまでをまとめると、クラミジア感染症は、その人の性行動によって、尿道(尿で検査できます)、子宮けい部、のど、肛門のそれぞれを検査しなければならない、ということになります。
ここでよくある質問に答えておきます。「クラミジアの検査を、子宮けい部とのどの両方でおこなった場合、料金は高くなりますか」という質問がよくあるのですが、(少なくともすてらめいとクリニックでは)料金は同じです。子宮けい部だけの検査をしても、のどの検査を加えても、さらに肛門の検査までおこなったとしても、料金はまったく同じです。(ただし、結果が陽性と出た場合、どこで検出されたかは分かりません。しかし、どこで検出されたとしても治療方法は同じです。また、例えば子宮けい部とのどを別々に検査することも可能ですが、その場合は保険適用ができず自費となります)
自覚症状が出ない(出にくい)以上は、身に覚えがあれば検査を受けなければなりません。次に、これもよくある質問に答えておきます。それは、
クラミジアの血液検査は信頼できるのか・・・
というものです。
結論から言えば、クラミジアの血液検査は参考程度にしかなりません。通常、クラミジアの血液検査ではクラミジア抗体を調べます。抗体とは病原体が体内に入ったときに身体が反応してつくるたんぱく質のことです。一般的に、クラミジアに感染すると、まずIgM抗体という抗体がつくられIgM抗体が減少する頃にIgA抗体という抗体がつくられます。そしてIgA抗体が減少する頃にIgG抗体という抗体がつくられます。
クラミジアの検査では、通常IgA抗体とIgG抗体の有無を調べます。もし、IgA抗体が陽性でIgG抗体が陰性であれば、比較的最近感染した可能性があります。IgA抗体、IgG抗体の双方が陽性であれば、感染して時間がたっている可能性があります。IgA抗体が陰性、IgG抗体が陽性であれば、さらに感染してから時間がたっていることが考えられ、治癒した場合も含まれます。
では、IgA抗体が陽性であれば必ず感染しているかと言えばそういうわけでもありません。クラミジアには自然治癒の報告もあるからです。
結局、血液検査で陽性反応がでてもすぐに治療が必要になるわけではありません。血液検査で陽性反応がでれば、きちんとした検査を必要に応じて、尿道、子宮けい部、のど、などでおこなわなければならないというわけです。
では、血液検査で陰性と出れば(IgA抗体、IgG抗体の双方が陰性であれば)、クラミジアに感染していないと言いきれるのかと言うと、そういうわけでもありません。抗体ができるまでには時間がかかりますから、血液検査の信頼性は劣ります。抗体ではなく、クラミジアそのものを調べにいく尿検査、子宮けい部やのどの綿棒の検査の方がずっと信憑性が高いのです。
それに、血液検査は結果が出るまでに数日間を要するという欠点もあります。尿検査や綿棒の検査であれば、(検査の種類にもよりますが)30-40分で結果が出ますから、より現実的なのです。
また、クラミジア感染症は通常飲み薬で治しますが、必ず確認検査をしなければなりません。どんな飲み薬を使ったとしても100%治る保障はないからです。確認検査の際には、必ず尿検査や綿棒の検査をおこなわなければなりません。なぜなら、血液検査で調べる抗体は治療後も残る(陽性反応がでる)からです。
要するに、クラミジアを調べるには血液検査はあまり役に立たないと言えるのです。以前、あるアメリカ人の医師と話をしたときに、彼女は「なぜ日本ではクラミジアの検査を血液でおこなうのかが理解できない。アメリカにはそのような検査はない」と言っていました。彼女だけでなく、私自身も「理解できない」のです。
つづく・・・
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|2013年6月15日 土曜日
第50回 インフルエンザ予防接種の誤解 2007/10/24
現時点ではまだ報告がないものの、今シーズンもインフルエンザは間違いなく流行するでしょう。我々医療従事者にとっても、インフルエンザは大変やっかいな病気です。
なにしろ、普段健康で風邪などまったくひかないという人でも突然高熱で倒れることは珍しくありませんし、一度かかると薬を飲んでも2、3日はあのしんどさと戦わなくてはなりません。熱は解熱剤で強制的に下げることはできますが、強烈な倦怠感はどうしようもありません。
私が数年前にインフルエンザに罹患したときは、寝返りをうつのも一苦労で、トイレに行くのにわずか数メートルの距離を這いつくばって進まなければなりませんでした。
幸いなことに、タミフル、そしてリレンザという特効薬が発売されてからは、この強烈な倦怠感に悩まされる時間がかなり短縮されるようになりましたが、今年になってタミフルの副作用が相次いで報告されるようになってからは、こういった特効薬の使用も安易にはできなくなってきました。
2月にはタミフルの副作用と思われる異常行動で10代の転落事故が2件相次ぎ、3月20日に(当時の)柳沢労働大臣が、「10歳以上の未成年については原則タミフルの処方を控える」という発表をおこないました。タミフルの異常行動についてはこれまでにも多数報告されており、2004年以降合計15件の転落事例がわかっています。
では、もうひとつの特効薬であるリレンザはどうかというと、今のところ重篤な副作用はそれほど多く報告されていないようですが、タミフルとリレンザでは使用されている量がまったく異なり、今後リレンザの消費量が増えれば新たな副作用が問題になるかもしれません。
また、インフルエンザの場合、使用する解熱剤にも注意が必要です。通常、インフルエンザや水ぼうそうなどの一部の感染症を除く発熱には、多数の解熱薬から適切なものを選択できます。少し乱暴に言ってしまえば、「より高い熱にはより強力な鎮痛薬を使う」という方法である程度対処できるのです。
ところが、インフルエンザの場合は、一般的に強い解熱作用があるとされている鎮痛剤は使用できない(使うと重篤な副作用を招く恐れがある)ため、インフルエンザと確定した場合、あるいはインフルエンザが疑われる場合には、原則としてアセトアミノフェンなどの比較的安全だけれども強力ではない鎮痛剤しか処方されません。
アセトアミノフェンとは市販の風邪薬の一成分としてよく使用されている解熱薬で、小児にも使えます。パラセタモールと呼ばれることもあり、海外の薬局では誰でもパラセタモールの錠剤を処方箋なしに買うことができます。
ここまでをまとめると、インフルエンザの薬としては、特効薬のタミフルとリレンザには充分な注意が必要で、解熱薬も強力なものが使えない、ということになります。
こうなると、インフルエンザとは相当やっかいな感染症に思われます。しかし、そう落胆する必要もありません。
まず、インフルエンザは手洗いとうがいでかなりの確率で感染を防げるからです。私は、冬になると、高熱の患者さんを診察する度に手洗いとうがいをおこなうようにしています。自分自身の実感として、これをおこなうとインフルエンザを含めてかなりの感染症を予防できるように思います。
もうひとつの有効な方法はワクチン(予防接種)です。しかし、ワクチンは最もすぐれたインフルエンザ対策なのにもかかわらず、日本では誤解も多く、諸外国に比べると接種率が低いのが現状です。
このウェブサイトでも何度か指摘しましたが、日本ほどワクチン接種が遅れている国も珍しく、とても先進国とは言えない状況です。例えば、日本では今年”はしか”(麻疹)が大流行し、多くの学校が休校の措置をとらざるを得なくなり、それで初めてワクチン接種の重要さが認識され、その結果ワクチンが大幅に不足するという事態に陥りました。これは、お隣の韓国がWHO(世界保健機関)から”はしか”の排除に成功したと発表されたことと対照的です。
以前、別のところでも述べましたが、日本でワクチン接種がすすまない理由は「知識の欠如」で、それに拍車をかけているのが「マスコミ」の報道ではないかと私は考えています。
1980年代後半に、ある民法の報道番組が、「インフルエンザワクチンはまったく効果がなく危険性すらある」などといった誤った報道を全国ネットでおこないました。この番組に出演し、まったく根拠のない誤った学説を述べた学者に対し、海外のメディアは揶揄したそうですが、日本のマスコミは「正しい知識」よりもワクチンバッシングといった「スキャンダル」が好きなようです。
ここで、インフルエンザワクチンの誤解を解いておきましょう。
まず、「インフルエンザは予防接種をおこなってもかかってしまう」というものです。
これは、ワクチンをうったのにもかかわらずインフルエンザにかかってしまった人にしてみれば、「何のためのワクチンだったの・・・」という気持ちになりますから、「じゃあ予防接種なんて意味がないじゃない」となるわけです。実際、私もワクチン接種をした年にかかってしまったことがあります。
しかし、個人レベルではそう感じられたとしても全体で(公衆衛生学的に)みれば、予防接種は大変有効なのです。
インフルエンザワクチンの有効率は、年にもよりますがだいたい75%程度であることが分かっています。これは、ワクチン接種をせずにインフルエンザにかかった人を100人集めたときに、もしもワクチン接種をしていればそのうち75人はかからなくても済んだ、という意味です。
次にインフルエンザワクチンの副作用を確認しておきましょう。ときどき、「ワクチンは副作用が怖いからうたない」という人に遭遇しますが、やみくもに怖がるのではなく、この場合も「正しい知識」をもつことが重要です。
インフルエンザワクチンの副作用は毎年100人前後が報告されています(2006年度は107人)。2006年度は107例のうち死亡例が5人あったそうですが、専門家で構成される検討会では、4人は「因果関係は評価できない」、1人を「因果関係は認められない」としています。後遺症については、視力低下や自力歩行不能などが6例報告され、うち4人を「因果関係が否定できない」とし、2人を「因果関係は評価できない」としています。残りの100人近くは、発熱や発疹、注射部位の腫れなど、比較的軽度なものです。
一方、インフルエンザにかかると合併症を併発する場合があり、細菌の二次感染による肺炎、気管支炎、慢性気管支炎の増悪が起こりえます。乳幼児では中耳炎や熱性けいれんも起こりえます。また、インフルエンザウイルスそのものによる肺炎や気管支炎、心筋炎などもあり、なかには入院を要したり、死亡したりする例もあります。最近では、小児において年間100~200例の、インフルエンザに関連したと考えられる急性脳症の存在が明らかとなっています。
インフルエンザ感染によってもたらされるこれらの合併症と、数十万人から数百万人にひとりの割合でしかおこらないワクチンによる合併症を比較したときに、ワクチンを接種すべきか否か・・・。
あなたはどう考えますか・・・。
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第49回 ストレスと機能性胃腸症 2007/9/21
安倍首相が突然の辞任を表明し、その原因が「機能性胃腸症」と報道されたことで、最近この病名を耳にする機会が増えてきました。患者さんの方から、「私も機能性胃腸症ですか?」と質問されることもあります。
「機能性胃腸症」とは、あまり聞きなれない言葉だと思いますので、まずはこれについて説明いたします。
病名に「機能性」と付けば、おおまかに言えば、「どこを検査しても異状が出ないけれども症状があるもの」を示します。
「機能性」に対して、ガンなどのできものが原因となっていれば「器質性」もしくは「腫瘍性」、炎症が原因になっていれば「炎症性」(例えば、潰瘍性大腸炎やクローン病)、腸炎ビブリオやノロウイルスといった病原体が原因であれば「感染性」と言います。また、糖尿病ケトアシドーシスなど内分泌性疾患からくる腹痛なら「代謝性」、腸管膜動脈血栓症のように血管がつまることによって起こる腹痛なら「血管性」となります。
報道によりますと、阿部首相は食欲がなく、吐き気や下痢に苦しめられていたといいます。医師側からすると、「器質性」、「炎症性」、「代謝性」などの大切な疾患を見落とすわけにはいきませんから、こういった疾患ではないことを確認し、さらにストレスや精神状態を考慮した上で、ようやく「機能性」という表現を使います。
つまり、機能性胃腸症とは、血液検査や画像検査、内視鏡検査などをおこなってもまったく異状がなく、ストレスや精神状態が原因で吐き気や下痢などの症状が出現している状態のことを言います。
さて、マスコミの報道をみていると、ときに(無責任な)評論家は、「一国の首相が精神的な原因で病気になり首相を退陣するなどけしからん」、「この程度の病気で辞任するのは無責任」、などといった発言をおこなっています。
機能性胃腸症に限らず、精神的な要因が原因、もしくは悪化因子となり症状が出現する病気に対しては、ときに周囲の理解が得られないことがあります。
これは、日本人の多くが、武士道など強い精神力や忍耐力が要求される精神論が好きだからというのがひとつの理由でしょう。
しかしながら、ひとりの人間が生涯にわたり、常に強い精神力を発揮するなどということは到底不可能なことであり、精神的ストレスからきたした病気に対し、「気がゆるんでいるからだ」、「甘えている証拠だ」、「自分の若い頃はこの程度のストレスはむしろ励みになったものだ」、などと言うのは、病気で苦しむ人を傷つけるだけであり、何の解決にもなっていません。
また、悪意がないにせよ、「頑張れ!」と言い続けるのも、本人にとっては迷惑でしかありません。そもそも、限界を超えて頑張りすぎた結果が、ストレス性の病気になっていることが多いのです。その人に対し、「頑張れ!」などと言えば、その人は、すでに周囲に迷惑をかけていることに罪の意識を感じているところに、追い討ちをかけられるわけですから、精神状態はさらに悪化してしまいます。そもそも機能性胃腸症などのストレス性疾患を発症する人は、責任感が強く真面目な性格であることが多いのです。
では、機能性胃腸症と診断されればどうすればいいのでしょうか。
もちろん、かかりつけ医と相談して自分に合ったもっとも適した治療をおこなっていく必要がありますが、ここでは一般論を述べたいと思います。
まずは、この病は、「治る病気」であることを自覚することが大切です。機能性胃腸症が死因となることはなく、いくらかの時間がかかるにしてもやがて治癒します。(ただし、再発はあります)
次に症状がどのようなものかをある程度的確に医師に伝える必要があります。医師は聴診や触診である程度の状態を把握することはできますが、患者さん自身の訴えを最重視します。
最も困っているのは、吐き気なのか、食欲が出ないことなのか、おなかが痛いことなのか、痛いとすればそれは胃なのか腸なのか、痛みは持続するのか、強くなったり弱くなったりするのか、食前と食後ではどちらが痛みが強いのか、下痢と便秘のどちらで悩んでいるのか、また、胃腸以外には症状はないのか、・・・、といったことを医師に伝える必要があります。
もちろん、医師の方からもこのような具体的な質問をしていくことになりますが、患者さんの方から話してくれれば適切な薬を早く見つけられることがあるのです。
機能性胃腸症に使う薬剤は、単に胃の働きを助ける消化酵素や整腸剤だけのこともありますし、胃の粘膜を保護する胃薬、胃酸の分泌をおさえる薬、胃の動きを適切にする薬、吐き気止め、下痢止め、などがあります。
すてらめいとクリニックでは、必要に応じて漢方薬の処方もおこなっています。漢方薬のなかには、機能性胃腸症に対しては、西洋薬よりもシャープに効くものもあります。(もちろん症例にもよりますが)
また、気分をリラックスさせる薬や、ときには、抗不安薬や抗うつ薬などを用いることもあります。場合によっては、時間をとってカウンセリングをおこなうこともあります。
さて、機能性胃腸症は治る病気であることを自覚し、適切な薬が見つかったとして、もうひとつ大切なことが残っています。
それは、「周囲の理解を得る」ということです。先に述べたように、例えば直属の上司が、「自分の若い頃はこの程度のストレスは励みになったものだ」と言ったり、やみくもに「頑張れ!」と応援したりすれば治るものも治りません。
もしも、職場の上司や同僚の誰もが理解を示さないとすれば、社内の保健室(あれば)や産業医(いれば)に相談しましょう。場合によっては、総務部や人事部に相談するのもいいかもしれません。
社内に相談できる人がいないのであれば、かかりつけ医に頼むのが懸命です。実際、すてらめいとクリニックを受診される患者さんのなかにも、「職場では誰も理解してくれない」と話される方がいます。そういう人には診断書を発行し、上司との相談の際に使ってもらうようにしています。
最後に、これを読まれている方にお聞きします。
あなた自身の胃腸が健康だったとしても、最近、あなたの周りに胃腸の不調を訴えている人はいませんか。その人が真面目で責任感が強い人であればあるほど機能性胃腸症の可能性は大きいと言えます。その人に対し、叱咤激励をしていませんか。もし、しているならあなたがその人の病状を悪化させている可能性もあるのです・・・。
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第48回 誤解だらけのHTLV-1感染症(後編) 2007/8/22
前回は、HTLV-1感染症が、ワクチンもなくウイルスを駆逐する方法もなく、このウイルスが引き起こす疾患はどれも大変な難病であり、さらに感染者は日本国内で120万人以上と極めて多いのにもかかわらず、世間からはほとんど注目されていないという話をしました。
今回はこの注目度の低さの理由を考えていきましょう。
1つは、このウイルスに感染しても必ずしも発症するわけではないということです。ATL(成人型T細胞白血病)の場合は感染者の約5%が、HAM(HTLV-1関連脊髄症)は感染者の0.2%が発症すると言われています。紅皮症や皮膚悪性リンパ腫については、私はデータを見たことがありませんが、おそらく数パーセント程度だと思われます。
一方、同じレトロウイルスであるHIVの場合は、無治療の場合、感染してもエイズを発症しない人はおよそ300人に1人の割合でしか存在しません。
しかし、この理由だけでHTLV-1の注目度の低さを説明できるでしょうか。たしかにHIVは(無治療の場合)99%以上の確率でいずれエイズを発症するのに対し、HTLV-1は90%以上の人がその生涯を無症状のまま過ごします。しかしながら、性交渉などで他人に感染させる可能性は常にあるわけですから、性交渉や出産の際に注意しなければならないという点についてはHIVと差があるわけではありません。
私の個人的な意見を言えば、HTLV-1が注目されない最大の理由は、「感染者の地域的な偏り」です。
理由は分かっていませんが、HTLV-1に感染している人の多数は、九州や四国の山間部、沖縄、近畿地方の山間部などに集中しています。このため、首都圏ではHTLV-1感染症を「風土病」ととらえています。実際、1991年に厚生省がまとめた報告書では、「地域差が大きいので国が全国一律に関与するより自治体の裁量に委ねるのが望ましい」として、国としてのHTLV-1への対策はほとんどおこなわれていません。
HTLV-1感染症は、B型肝炎ウイルスやHIVと同じように性感染や血液感染の他、母子感染もありますから、本来は妊婦への抗体検査を実施すべきなのですが、現在妊婦検診が無料でおこなわれているのは、鹿児島県、宮崎県、長崎県の3県だけです。
このように、HTLV-1に対する世間の関心が低いのは、世論やマスコミだけではなく、厚生労働省や地域の行政にも責任があるのです。
しかしながら、HTLV-1陽性者の全員が地域に偏って居住しているわけではありません。今年の5月にHTLV-1関連の国際会議が神奈川県で開催され、その会議で、会議の組織委員長を務めた東京大学大学院の教授は、「首都圏でも20-30万人の感染者がおり、放置されているに等しい。国をあげての対策が必要」と訴えています。(報道は5月22日の毎日新聞)
首都圏に20-30万人の感染者がいて、妊婦への抗体検査がおこなわれていないなら、若い世代の間にかなりHTLV-1陽性の人がいるはずです。そして、その若い人たちが性交渉などを通してウイルスを蔓延させている可能性もあるわけです。
こう考えると、累計で1万3千人程度しか確認されていないHIVなどよりも、よほど感染の可能性が高いといえるでしょう。
一方、行政が指揮をとる妊婦検診とは対象的に、献血では輸血に使う前にすべての血液に対してHTLV-1の抗体検査が実施されています。もちろん、HTLV-1だけでなく、前回冒頭で述べた他の感染症、すなわち、HIV、梅毒、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスの検査もおこなわれています。
ならば、献血で自分がこれら5つの感染症に罹患していないかを調べてしまえばいい・・・、そう考える方もおられるかもしれません。しかし、献血の目的は、「輸血が必要な患者さんに対して無償で自らの血液を献上する」というものであって、決して「自分の感染症の有無を確認する」というものではありませんし、そのような目的の献血はあってはならないことです。
例えば、不特定多数の異性(もしくは同性)と性交渉があるような人の場合、あるいは注射針の使いまわしをしたことがある人や、(特に海外で)タトゥーを入れたことのあるような人の場合、検査目的で献血するなどという行為は許されるべきではありません。そんなことをすれば、輸血用の血液が準備されるまでにかなりの費用と時間がかかってしまい、輸血が必要な患者さんの命を縮めることになりかねません。(通常、献血された血液の感染症の抗体検査は、数十人分の血液をまとめておこない、そのなかで陽性反応がでればその数十人分の血液を分割して確認検査をおこない抗体陽性の血液を絞り込んでいきます。この作業にかなりの時間と費用が費やされます)
私個人の意見を言えば、本来行政がこれら5つの感染症の検査を無料で保健所などでおこなえるようにすべきだと思うのですが、現時点ではHTLV-1も含めた抗体検査を誰もが無料で受けることのできる地域はありません。
ならば自分の身は自分で守るしかありません。新しいパートナーができたときは、各自の責任で検査を受けるのが最も現実的な対処方法なのです。
そのときに忘れてはならない大切なことがあります。
もしも、あなた自身が、あるいはあなたの新しいパートナーが、HTLV-1を含む感染症に罹患していればどうするのか、という点について事前に話し合っておくということです。
なんらかの感染症に罹患していることが分かった新しいカップルが、「では、私たちがお付き合いをするのはやめましょう」となるなら、検査を実施する我々医療従事者にしてみれば、「いったい、何のための検査なんだ・・・」となってしまいます。
そうではなくて、なんらかの感染症に、あなたが、もしくはあなたのパートナーが感染しているのであれば、「その感染症に一緒に向き合っていこうね」という話を事前にしておくべきなのです。
私の経験で言えば、このような話を事前にきちんとおこないカップルで検査をしにくるのは圧倒的に西洋人に多いという印象があります。
愛情は感染症なんかに決して負けない・・・
このことに気付く日本人がもっと増えることを切に願います・・・。
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|2013年6月15日 土曜日
第47回 誤解だらけのHTLV-1感染症(前編) 2007/7/23
「血液感染と性感染が主な感染ルートである重要な感染症を5つあげよ」と問われればいくつあげることができるでしょうか。
正解は、HIV、梅毒、B型肝炎、C型肝炎、そしてHTLV-1感染症です。
これらのうち初めの4つは有名ですが、最後のHTLV-1については、医療従事者にとっては常識ではあるものの、なぜか一般の人々にはあまり認知されていません。
なぜ、これだけ重要な感染症がそれほど世間の話題にのぼらないのかが私は不思議で仕方ないのですが、実際HTLV-1がマスコミで取り上げられることはほとんどありません。
HTLV-1とは、HIVと同じように逆転写酵素を持つRNA型のウイルスです。
「逆転写酵素」「RNA型ウイルス」という言葉は、一般的には馴染みがないかもしれませんのでここで簡単に説明しておきます。
まず、普通は生命体のもつ遺伝情報は、DNA→RNA→蛋白質という流れで伝えられていきます。この流れのことを「セントラル・ドグマ」と呼び、かつては一方通行の流れであると考えられてきました。
ところが、一部の生命体はRNA→DNAという通常とは逆向きの流れで自らの遺伝情報を具現化していくことが分かってきました。この従来の常識をくつがえす奇抜な情報伝達をおこなうには「逆転写酵素」と呼ばれる特殊な酵素が必要で、これをもつRNA型のウイルス(これをレトロウイルスと呼びます)で最も有名なのがHIVというわけです。
HIVは性感染や血液感染のルートで人間の体内に潜り込み、RNAとして持っている自らの情報を人間の特定の細胞の中のDNAに植え付けます。この植え付ける作業に必要なのが「逆転写酵素」なのです。
HIVはいまや誰もが知る感染症となりましたが、HIVと同じ仲間のレトロウイルスであるHTLV-1はそれほど有名ではありません。しかし、これは歴史的には極めて奇妙な話で、HIVがまだ名前もなかった頃には、HTLV-3という名称で呼ばれていたのです。つまり、HTLV-1の方がHIVよりも昔から知られた存在であって、HIVが誕生した頃はHTLV-1の亜型だと考えられていたのです。
HIVに比べてHTLV-1が無名であることが不思議な理由はまだあります。
まず、これら2つのウイルスは感染経路が極めてよく似ています。HTLV-1の主要な感染ルートは、血液感染、母子感染、そして性感染です。細かいことを言えば、HIVが腟分泌液にも含まれているのに対して、HTLV-1は精液には含まれるものの腟分泌液には含まれていないという違いがあげられるかもしれません。しかしながら、同じく腟分泌液には含まれていないと言われているHCV(C型肝炎ウイルス)が女性から男性に性交渉で感染することが珍しくないことを考えれば、HTLV-1の女性から男性への性感染もありうると考えるべきでしょう。(女性の不正出血や子宮けい部の炎症が原因で、実際は腟交渉で血液感染が成立しているのではないか、と私は考えています)
感染ルートが極めて似ており、歴史的にはHTLV-1の方が古いのにもかかわらず、HIVの方が圧倒的に有名なのはなぜなのでしょう。
感染者の数が違うからでしょうか。たしかに、HIV陽性者に対して、HTLV-1陽性者が極端に少ないのであれば、HTLV-1が無名なことも理解できます。
しかしながら、日本国内でみたときに、HIV陽性の人は、累積で1万3千人程度しかいないのに対して、HTLV-1陽性の人は120万人から150万人もいるのです。
では、HTLV-1がHIVに比べて無名なのは、感染してもすぐに治る病気だからなのでしょうか。
事実はまったくの逆です。HTLV-1に感染するといくつかの病気になる可能性があり、代表的な2つはATL(成人性T細胞白血病)とHAM(HTLV-1関連脊髄症)です。現在の医学では、残念ながらこれらの病気に対して有効な治療法があるとは言えません。
これは、すぐれた抗HIV薬が次々と開発されているのとは対象的です。参考までに、現在のHIVの治療は、薬の内服は1日1回が主流になってきています。HIVは1日1回の服薬だけでエイズを発症しないのに対し、HTLV-1は有効な治療法が確立されておらず、ATLを発症すれば8割以上は5年以内に死亡しますし、HAMはやがて寝たきりの状態になります。要するにHIVよりもHTLV-1の方がはるかに「難病」なのです。
これらを踏まえると、感染経路が極めて似ている2つの病原体のうち、陽性者が100倍も多く有効な治療法もない方が世間から注目されていないのです!
ここまでくれば、HTLV-1がもっと注目されるべき感染症であることがお分かりいただけたと思います。
次に、HTLV-1が引き起こす病気について説明しておきます。
私は医師になってから、だいたい年間に2、3人程度のHTLV-1陽性の患者さんと出会っています。
一番よく遭遇するのは、中年以降に全身が真っ赤に腫れ上がる紅皮症と呼ばれる皮膚状態になっている患者さんです。一見アトピー性皮膚炎の重症型にも見えますが、中年以降に突然発症しているのがポイントです。そして、この状態になった患者さんの何割かはいずれ皮膚の悪性リンパ腫を発症することになります。
HTLV-1が引き起こす疾患でおそらく最も有名なのはATL(成人型T細胞白血病)でしょう。白血病にも様々な種類のものがあって、比較的治りやすいものもありますが、ATLの場合は有効な治療法が確立されていません。そのため5年以内に8割以上が死亡という高い致死率となっています。実際、毎年1000人以上の人たちがATLで命を失っています。
HAM(HTLV-1関連脊髄症)という疾患もやっかいです。この病気はゆっくりと進行し、次第に手足が動かなくなりやがて寝たきりの状態となります。他の脊髄疾患や脳梗塞の症状と似ていることもあり、ときに診断がつくのが遅れます。
HTLV-1はワクチン(予防接種)がありませんし、いったん体内に侵入したHTLV-1を駆逐する方法もありません。
では、なぜこのような大変重要な感染症の注目度がこんなにも低いのでしょうか・・・
(つづく)
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|2013年6月15日 土曜日
第46回 はしかの予防接種率はなぜ低いのか 2007/6/20
「少し学力が低下してきた」「最近性格が変わったような気がする・・・」
この時点で、重大な病気に罹患していると感じる人はそれほど多くないでしょう。その後、痙攣(けいれん)を繰り返すようになり、病院で精密検査を受けた結果、診断される病気、それがSSPE(亜急性硬化性全脳炎)です。
SSPEというこの病気はあまり知られていないと思いますが、この病気を引き起こす病原体は誰もが知っているウイルスです。
そのウイルスとは、はしか(麻疹)ウイルスです。
SSPEははしかに罹患した後、およそ2~10年の潜伏期間の後に知能低下、性格変化、動作緩慢などで発症し、その後は大脳機能がゆっくりと障害され、高度の認知症、植物状態となり死に至ります。
SSPEの患者さんは、現在全国で150人程度だと思われます。患者さんの平均年齢はおそらく20歳前後でしょう。全国で150人と聞くと、大変珍しい病気だと感じられるかもしれませんが、150人というのは他の先進諸国からみれば信じられない数字です。先進国のなかでは日本だけが突出して発病率が高いのです。
では、なぜ日本だけがこれだけ高い発症率を有しているかというと、それは日本人がはしかの予防接種をしないからに他なりません。
現在約100人の会員数をもつSSPEの患者会(「青空の会」)の公式ホームページにも、「一歳になったら、はしかの予防接種を受けましょう」との案内がトップページに記載され、「先進国の中で日本だけが突出して発病が多いのは、予防接種の接種率が低いせいだといわれています」との説明があります。
はしかが怖いのは、SSPEだけではありません。多くの人ははしかにかかっても、10日前後で回復しますが、なかには、肺炎、脳炎などを起こす人もいます。こうなると、命にかかわる病気となります。はしかはときに「死に至る病」となり得るのです。
では、どうすれば肺炎や脳炎への進行を防げることができるのかというと、最も効果的なのはワクチン接種です。はしかは発症してからはほとんど治療法がなく、ワクチン接種以外に有効な治療法がありません。しかし、はしかのワクチンは極めて高い有効性をもつために治療法がなくても本来はそれほど恐れる必要がないのです。
したがって、ワクチン接種を普及させれば、いずれはしかは絶滅する感染症です。実際ほとんどの先進国では、はしかの「排除」に成功しています。
日本がはしかパニックで大混乱にある5月、はしかの「排除」に成功したことをWHO(世界保健機関)が発表した国があります。その国とはお隣の韓国です。
韓国も、かつては日本と並んではしかを排除できない恥ずべき先進国でしたが、2000年に勃発したはしか大流行をきっかけに国家が真剣にワクチン接種普及に取り組み、小学校入学前の2回接種を徹底したことにより、わずか7年後には「排除」に成功したのです。
一方、日本はどうでしょう。ワクチンの2回接種が世界の常識であるにもかかわらず、2回接種を開始したのは2006年の6月からです。開始したといっても行政の案内は形式的なものに過ぎず、2007年の4月に小学校に入学する児童で規定どおり2回目のワクチンを接種していたのはわずか30%という驚異的な数字です。
では、なぜ日本ではこれほどワクチン接種がすすまないのでしょうか。このウェブサイトでも過去に何度か指摘しているように、インフルエンザやB型肝炎のワクチン接種率の低さも日本は驚異的です。参考までに、韓国ではB型肝炎のワクチンも現在ではほぼ全員が接種する体制となっています。また、現在世界60ヶ国以上で接種がおこなわれている子宮けいガンのワクチンは、日本では承認すらされていません。
日本でワクチン接種がすすまない理由・・・。いくつもあると思いますが、そのひとつに日本人の「ワクチン恐怖症」があるのではないかと私は考えています。この恐怖症は、もちろん知識の欠如からくるものです。そして、マスコミの報道がこれに拍車をかけています。
例えば、1980年代後半に、ある民放の報道番組が、「インフルエンザワクチンはまったく効果がなく危険性すらある」などといった誤った報道を全国ネットでおこないました。この番組に出演し、まったく根拠のない誤った学説を述べた学者がいるのですが、このとき海外のメディアは、ゴールデンタイムに出演しデタラメを言う日本人エセ学者を揶揄したそうです。
しかし、日本のマスコミは誤った知識に対してではなく、ワクチンをバッシングすることが好きなようで、これまでも、インフルエンザだけでなく、例えばMMR(はしか、風しん、おたふく風邪の混合ワクチン)の危険性などを大きく取り上げてきました。
ワクチンの危険性を完全にゼロにすることはできません。しかしながら、その感染症に罹患したときのリスクがワクチンの危険性を大きく上回るからワクチン接種が推奨されるのです。ワクチンの危険性だけを取り上げて、罹患したときの感染症の恐怖を伝えないのは偏った報道と言わざるを得ず、このような報道の被害者は国民であることをマスコミはもっと認識すべきだと思います。
さて、話をはしかに戻しましょう。
現在、はしか単独ワクチンは全国どこへ行っても在庫がない状況です。すてらめいとクリニックでは、様々なルートを使って、1本、2本と仕入れてきましたが、先月末からは完全に入手できなくなりました。代わりにMRワクチン(はしかと風しんの混合ワクチン)を使用していましたが、こちらもほとんど在庫切れで、日によってはせっかくワクチン接種希望で受診していただいてもワクチンがないことがあります。
それにワクチン接種には優先順位がありますから、例えば1週間後に予約を入れていただいていても、それまでに、例えば、感染者と接触した可能性のある子供が受診すれば優先的に接種するようにしていますから、数日後のお取り置きもお約束はできない状態です。
ワクチン接種を希望される方がおられましたら、お電話でご予約の上、なるべく早く来ていただきたくお願いいたします。
参考:
医療ニュース2007年3月6日「はしか・風しん混合ワクチンの2回目接種率わずか30%」
はやりの病気 第43回 B型肝炎にはワクチンを!
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|2013年6月15日 土曜日
第45回 皮膚に”できもの”ができたとき 2007/5/22
以前ある患者さんが「皮膚に”できもの”ができた」といって受診されました。その”できもの”自体はよくある皮膚腫瘍で、簡単に手術できるものだったので、1週間後に手術をおこない問題はなかったのですが、患者さんが言った次の言葉が私には印象的でした。
「手術をするのは外科だと思っていました」
この患者さんは、自分の”できもの”を手術してもらおうと思って、近所の病院の「外科」を受診したそうです。そこで、「これは皮膚の腫瘍だから皮膚科に行くように」と言われて私の元にやってきたのです。その病院には「皮膚科」がないために別のところで手術を受けるべきだと言われたというわけです。
しかし、皮膚であっても症例によっては「外科医」が摘出手術をおこなうこともあります。
一方、すてらめいとクリニックでは「皮膚科」を看板に掲げてあるため、「皮膚の”できもの”を取ってほしい」、と言って受診される患者さんがおられます。そのなかで8割くらいは私自身が手術をおこなっていますが、なかには私では手術ができないようなタイプの”できもの”があり、そういう場合は、信頼できる形成外科医などに紹介状を書きます。
私に手術ができない皮膚の”できもの”というのは、大きすぎるために全身麻酔が必要な場合と、”できもの”自体は小さくても部位的に極めて高度な技術が要求されるような場合です。
ここまでをまとめると、皮膚の”できもの”を手術するのは、外科、皮膚科、形成外科などと多岐に渡り、患者さん側からみれば、どこに行けばいいのか分からなくなるかもしれません。
今回はこのあたりの事情をご紹介したいと思います。
まず、現在の日本の医療システムには「総合外科」というものがありません。外科医を目指すのであれば、心臓外科、脳外科、整形外科、消化器外科などから選択しなければならないのです。
国によってはすべての外科を勉強・研修できるところもあるようですが、現在の日本ではまず自分がどの部位の外科を目指すのかを決める必要があります。
実は、これは「内科」でも同じであって、消化器内科、循環器内科、神経内科、血液内科、などから自分がどの分野に進むのかを決めなければなりません。
しかし、これでは患者さんの臓器をみることはできても、全体からみることができず、結果としてどこの科に行っていいか分からない患者さんや、複数の訴えのある患者さんのニーズに応えられないといった問題がでてきます。
こういった観点から、患者さんを臓器ではなく、人としてみて総合的に診察のできる医師が必要だという議論がうまれ、「プライマリケア」「総合診療」「家庭医療」などのコンセプトへとつながります。
したがって、現在では、数は多くないもののすべての領域のプライマリケアを習得しようとする医師が増えてきています。
しかしながら、これは「内科系」ではできても「外科系」では極めて困難です。そもそも消化器外科や心臓外科のプライマリ領域などといったものがあるのかどうかが疑問です。
例えば、胃がんの手術ができるようになるまでには少なくとも2~3年はかかるでしょう。これが脳腫瘍となると10年以上の修行期間が必要となります。胃がんや脳腫瘍の手術というのは極めて高度な知識と技術が要求される「専門医」の領域であり、プライマリケア医がおこなうことはできません。
ですから、冒頭で紹介した私が手術をおこなった患者さんは、最初、病院の外科を受診しましたが、その外科医は「消化器外科医」や「呼吸器外科医」といった専門の外科医であり、「皮膚の手術は皮膚科に行くように」との助言をおこなったものだと思われます。
では、皮膚科と形成外科医はどう違うのかと言うと、これは説明が少しむつかしいように思います。
私としては、上に述べたように、極めて高度な技術が要求されるような症例の多くでは形成外科が適していると考えています。私は、これまで形成外科でも皮膚科でもトレーニングを受けましたが、形成外科で要求される高度な技術は、プライマリケア医がおこなうべきではないと考えています。
しかし、皮膚科専門医のなかには形成外科で数年間のトレーニングを受けている者もいて、こういう医師は相当難易度の高い手術でもおこなえるでしょう。その一方で、皮膚科医のなかには、手術は一切おこなわない、という医師もいます。
皮膚科と形成外科以外にも皮膚の”できもの”を手術する科があります。
私の経験で言えば、あごにできものができました、と言って受診された患者さんに耳鼻科の専門医を紹介したケースがあります。これは、”皮膚”の腫瘍ではなく、”顎下腺”の腫瘍だったからです。また、関節の中に腫瘍がある場合は整形外科を紹介します。
こうなると、患者さんはいったいどこに行けばいいのか分からなくなるかもしれません。
一番いいのは、どんな”できもの”であっても、まずはかかりつけ医に相談することです。あなたが信頼できるかかりつけ医であれば、そのかかりつけ医は信頼できる「外科医」を紹介してくれるに違いありません。
他の症状や疾患がそうであるように、”できもの”ができたときも、まずはかかりつけ医に相談するのが最善なのです。
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|2013年6月15日 土曜日
第44回(2007年4月) 患者さんごとのアトピー性皮膚炎
私は医学部入学時には医師になることはまったく考えておらず、生涯を通して研究をおこなうつもりでした。結局、最終的には臨床医の道を選ぶことになったのですが、この決断にいたったのは何人かの”患者さん”との出会いがあったからです。
「患者さん」ではなく”患者さん”なのは当時の私はまだ医師ではありませんでしたし、医師に対する患者という関係ではなく友達として出会った「なんらかの疾患を持つ人」だからです。
その疾患のなかでなぜか最も多かったのがアトピー性皮膚炎でした。実はそれまで、私はアトピーという病気をほとんど知りませんでした。私が子供のころには(少なくとも私の住んでいた町には)なかった病気ですし、大学や社会人の生活を通してもあまり身近なところにアトピーを持っている人はいなかったように思います。いえ、いたのかもしれませんが、私自身が彼(女)らの悩みに気づくことがなく、彼(女)らも、医師でも医学生でもない私に自分の皮膚の悩みを話す気にはならなかったのでしょう。
「病院に行って相談したら、治りません、と言われた」
「医師によって治療法がまったく違う。アトピーの正しい治療法ってあるの?」
「医師は漠然と薬を出すだけで、話すらろくにしてもらえない」
「医師に何を聞いても、わかりません、としか言われない」
これらは、私が医学生になってから何人かのアトピーを持つ友人から聞いた言葉です。
「これまでいろんな民間療法を試したが、お金を無駄に使っただけ」
「悪徳商法にだまされて200万円をとられた」
「アトピーが治ると言われて買わされた化粧品や健康食品は数え切れない」
アトピーという病については、このような声も少なくありません。
私が医学生になってからなぜアトピーを持つ友達が急に増えたのか・・・。偶然の要素も大きいでしょうが、それ以上に彼(女)らが、私が医学生ということで何でも話せると思ったのでしょう。
アトピーの苦悩を知るようになった私は、この病で悩む人たちの声を積極的に聞くようになりました。なかには「自分の子供がアトピーで生まれてほしくないから子供は産まない」という人や「アトピーがあるから外出ができずに引きこもっている」という人もいました。
その後、私は「研究医」ではなく「臨床医」を目指すようになります。
私が「このような人たちの力になりたい」と感じたのはアトピーで悩む人たちだけではありませんが、アトピーを持つ人たちとの対話のなかで臨床への志が芽生えだしたのは事実です。
さて、当院にもたくさんのアトピーの患者さんが来られます。クリニックは繁華街に位置していることもあって、小さなお子さんは多くなくアトピーの患者さんの大半は男女とも20代か30代です。
患者さんと話しているとアトピーに対する認識は患者さんによって様々であることを改めて実感します。
ステロイドを諸悪の根源のように考えている人もいれば、漠然とステロイドを塗り続けた結果、副作用が重症化している人もいます。
引越しや転職などで環境が変わったことによって悪化した人もいれば、その逆に改善したという人もいます。また、食事療法で大きく改善した人もいれば、相変わらずムチャクチャな食事をしているため進展のみられない人もまだまだいます。
当院を受診するアトピーの人のなかには、他の病気も持ち合わせている人が少なくありません。喘息や、花粉症などのアレルギー性鼻炎・結膜炎を持っている人が一番多く、こういい場合はそれらの治療も同時におこないます。
「これまでは、内科、耳鼻科、皮膚科の3つに通わなければならなかったけれど、ここでは全部みてもらえるから助かります」、という声もあり、やはり「総合診療」は必要であることをあらためて実感しています。
喘息や花粉症以外にも、胃炎、慢性の下痢、冷え、肩こり、動悸、貧血などを抱えている人もいますし、意外に多いなと感じるのが、不眠・不安・うつなどの精神症状を抱えている人です。
アトピーの社会的苦悩からこういった症状が出現しているのか、他に原因があるのかは人によって様々ですが、確かなのは、皮膚症状と精神症状が互いに悪影響を与えているということです。つまり、皮膚の状態が悪化することによって気分がすぐれなくなり、同時に、精神状態の悪化が皮膚に悪影響を与えているのです。
総合診療の原則のひとつに、「臓器をみるのではなく人をみよ」というものがありますが、アトピー性皮膚炎という疾患ではこの原則が特に重要となります。皮膚の状態しか診なければ患者さんの苦悩の一部しか理解できなくなります。
他の疾患と同じように、アトピー性皮膚炎にも治療ガイドラインというものがあります。もちろんガイドラインから逸脱するような治療はおこなってはなりませんが、かといってガイドラインを守っていればそれで充分な治療が供給できていると考えるは誤りです。
患者さんごとにそれぞれの対策を立てて、患者さんと共に治療していく・・・
これが、アトピーを含む慢性疾患への取り組みの基本だと思います。
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