マンスリーレポート
2010年7月号 学会参加で迷惑をかけてます・・・
以前のマンスリーレポート(2009年5月号 「学会に参加できないという苦痛」 )でお伝えしましたが、医師にとっての学会参加はというのは必要なものであり、また楽しみでもあるのですが、時間的な制約からなかなか思いどおりに参加することができません。
しかし、学会の内容によってはどうしても参加しなければならない(あるいはどうしても参加したい)ものもあるわけで、その場合は、クリニックを休診とさせていただくことになります。6月の第4土曜、7月の第2金曜と土曜、と臨時の休診が集中してしまい、一部の患者さんには大変ご迷惑をおかけしています。
今回は、最近私が参加した学会や研究会について簡単に報告しておきたいと思います。
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6月10日は、第28回大阪プライマリケア研究会というものが大阪市立大学で開催され、私は「プライマリケア医が診る尋常性ざ瘡」というタイトルで演題を発表しました。
尋常性ざ瘡というのはニキビのことです。太融寺町谷口医院にもニキビの患者さんはよく来られます。ニキビは生涯罹患率(一生の間に一度でもかかる割合)が9割以上とも言われている誰にでも起こりうる疾患であるのにもかかわらず、医療機関を受診する人はごく一部だと言われています。軽症だから受診しない、のであれば問題ありませんが、実際は、きちんと治療したいけどどこに行っていいかわからない、あるいは、ニキビだけで受診してもいいのかわからない、などと考えている人もいます。
太融寺町谷口医院は、総合診療(プライマリケア)を実践しており、「どのような症状でもお話ください」というのを開院以来のモットーとしています。ですから、別の病気でかかっている人が「ニキビの相談もしていいですか・・・」といった感じで悩みを話される方が大勢いるのです。もちろん、ニキビを訴えて初診で受診する患者さんも少なくはありません。
最初はニキビで受診しても、そのうち他の症状や疾患の相談をされる患者さんも多く、結果として、太融寺町谷口医院には、ニキビと花粉症、ニキビと不眠、ニキビと慢性の下痢、といった患者さんが多くなっています。あるいは、ニキビと水虫と慢性肝炎と繰り返す風邪と頭痛と・・・、といった数多い訴えのひとつがニキビというケースもあります。
ニキビの治療については、以前、はやりの病気第75回 「ニキビの治療は変わったか」 で標準的治療法について紹介しましたのでここでは述べませんが、現在の治療は世界のどこへ行ってもさほど変わらず、ほぼ万国共通のガイドラインがあります。太融寺町谷口医院でも、基本的にはガイドラインに基づく治療をおこなっているのですが、今回の発表では、ピルを用いたニキビの治療や、日本未発売のスキンケア製品などについても触れました。
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先月(6月)は、プライマリケア関連の大きな学術大会が東京で開催されました。マンスリーレポート2010年3月号 「大阪プライマリケア研究会の「世話人」として」 で述べましたが、プライマリケア関連の学会としてこれまで存在していた日本プライマリケア学会、日本家庭医療学会、日本総合診療医学会の3つの学会は、2010年4月1日付けで合併され「日本プライマリケア連合学会」という名前で生まれ変わりました。
6月26日、27日に、その日本プライマリケア連合学会の第1回の学術大会が東京で開催されたのです。
さすがに記念すべき第1回の学術大会ということで、全国からかなり大勢のプライマリケア医が集まったと思われます。会場は東京フォーラムというかなり広いところだったのですが、それでもシンポジウムや講演によっては椅子に座れずに立ち見がでるほどでしたし、ワークショップ(受講生を数十人程度の少人数に限定して実技なども加えた実践的な講義)は事前に申し込みが必要だったのですが、私が申し込もうとした日(5月中旬)にはすでにどのコースもいっぱいで締め切られていたような状態でした。
参加者には学生も多く、将来プライマリケア医を目指す若い人が多いことを実感しました。学生が多く集まる学会というのはそれほど多くありません。例えば、私がよく行く学会を振り返ってみても、皮膚科関連の学会や一般内科関連の学会で学生を見かけることはほとんどありません。エイズ学会には学生が大勢いますが、この場合は、エイズ関連のボランティアをしている看護学生や医学部以外の学生がほとんどであって、将来エイズの診療に携わりたいと考えている医学部の学生が大勢参加しているわけではありません。
一般に学会(学術大会)というのは、同じ時間にいくつものホールや会議室で様々なシンポジウムやセッションがおこなわれます。ですから、是非とも聞きにいきたいシンポジウムが同じ時間に重なるということもしばしばあり悩まされます。今回、私がこの学会に参加して感じたのは、人気のある(というか聴衆者の多い)シンポジウムはメンタル関係のものが多かったということです。これは、メンタル関係のシンポジウムに出演していた演者に著名な医師が多かったということもありますが、やはりプライマリケア医の多くが日頃メンタルケアに苦慮しているからではないかと思われます。(実際、私もそうです・・・) 今後、ますますプライマリケア医がメンタルヘルスに関わる機会が増えるというのはほとんどの医師が認識しているところです。
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さて、これを書いているのは7月7日の早朝ですが、今晩診療を終えてから私は再び東京に行きます。明日(8日)から開催される産業医学講習会に参加するためです。太融寺町谷口医院は都心部に位置していることもあって、「働く人の病」を診ることが少なくなく、益々増えてきています。最近特に多いのが、働く人たちのメンタルヘルスに関わる問題です。先に述べたように、プライマリケア医としてメンタルヘルスに関わらなければならないのと同時に、私は産業医としてもメンタルヘルスに関わるべき立場にいます。今回の講習会は、新しい知識を吸収して診療能力を向上させることが目的です。
東京は土曜日の夕方に発ちますが、大阪には直行せずに今度は大津に行きます。11日の日曜日に大津で「第26回日本臨床皮膚科医会近畿支部総会・学術大会」が開催されるためです。私自身は演題を発表するわけではないので、これも純粋に新しい知識を吸収し診療力を向上させることが目的です。
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このように先月から学会や研究会、講習会などへの参加が相次ぎ、そのためクリニックを休診とさせていただいています。代診の医師を見つけることができればいいのですが、この医師不足のご時勢では、なかなかそういうわけにもいかないのが現状です。患者さんにはご迷惑をおかけしますが、何卒ご理解の程よろしくお願い申し上げます。
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