マンスリーレポート

2007年2月号 『偏差値40からの医学部再受験改訂第4版』発売

先月10日に、私の処女作『偏差値40からの医学部再受験』の改訂第4版が出版されました。

 3回目の改訂となった今回は、これまでのものと比べると少し内容が変わっています。もともと私がこの本を出版しようと思ったのは、偏差値の高さから医学部受験をあきらめてしまっている人たちに対してエールを送りたいという気持ちが強かったからで、そういった人たちに訴えたかったことのひとつは、「医師とはこんなにも素敵な職業なんですよ」、ということです。

 そこで初版から改訂第3版までは、第1章をまるまる使って、「医師はなぜそんなに魅力的な職業なのか」ということを述べました。しかし、今回はその第1章を、「医師はこんなにも大変な職業なのです」、ということを、具体例を挙げながらお話しています。

 給料はそれほど高くなく、勤務時間は長く休みはほとんどなし、一生勉強を強いられる、退職金や福利厚生はなし、いつ訴えられるかわからない、うつや不眠に悩まされることもある、・・・

 改訂第4版では、これが医師という職業の現実であることを述べた上で、「それでも医師は素敵な職業である」、ということをお話しています。

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 「日経メディカル」という雑誌の2007年1月号に、医師を対象としたアンケートが掲載されています。

 「子供に医師になってほしいか」という項目では、「はい」と答えた医師が27.9%、「いいえ」と答えた医師が26.7%となっており、両者に差はありません。

 さらに、「子供に自身の病院やクリニックを継がせたいか」という項目では、「はい」が21.9%、「いいえ」が32.8%と、「継がせたくない」と答えた医師の方が多くなっています。

 注目すべきは、子供に医師になってほしくないと考える理由で、回答者数の多かった上位3つをご紹介いたしますと、

・仕事の忙しさに見合う報酬を得られないから
・患者とのトラブルなど、患者、家族との関係で気苦労が多いから
・医療訴訟に巻き込まれる可能性があるから

 となっています。

 『偏差値40からの医学部再受験』改訂第4版では、ちょうどこれら3つの理由(割に合わない報酬、患者・家族とのトラブル、医療訴訟)について、具体例を挙げながら説明をしています。

 しかしながら、私が強く訴えたいのは、「それでも医師は素敵な職業である」ということであり、こういったマイナス面を補い、尚且つ魅力を感じることのできる醍醐味が医師という職業にはあるということです。

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 1月から診療を開始した「すてらめいとクリニック」は今日で24日目となります。(これを書いているのは2月7日の午前6時です)

 今はまだ患者さんがそれほど多くないということもあり、ゆっくりと患者さんのお話をお聞きする時間をとることができ、多くの患者さんは、自身が感じている健康上のいろんな問題について話されます。

 (健康上の)いろんな悩みを聞いてもらえてよかったです、遠いところから来た甲斐がありました、家族にも言えないことをここでは気軽に話せてすごく楽になりました、・・・・、などと言われて感謝の気持ちを表す患者さんもおられますが、そういった感想を持たれる患者さんたちよりも、私自身の方がむしろ医師の醍醐味を実感できやりがいを感じているということは、もしかすると患者さんたちは気づいていないのかもしれません。

 目の前にいる苦悩を抱えた人の力になりたいという欲求、これが、医師が医師であり続けることのできる力の源です。

 この欲求があれば、収入が低くても、気苦労が多くても、様々なリスクを抱えなければならなくても、やはり医師とは素敵な職業なのです。

 医学部を目指している方がおられれば、世論の医師に対する社会的評価の低さや、マスコミの医者叩きに惑わされずに、原点に戻って医師という職業の醍醐味について思いをめぐらせてほしいと思います。

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