マンスリーレポート

2006年10月号 新天地 2006/10/10

 先月のマンスリーレポートは「卒業」というタイトルで作成しましたが、その原稿を書いた後、偶然にも新しい世界に踏み込むことになりました。

 来年年明けから大阪市北区に新たにクリニックを開院することになったのです。

 クリニックの開院は、もともと今年の4月を考えていたのですが、なかなかいい物件が見つからず、やっと見つかって仮契約書まで交わすところまでいっても、同じビルに入っているクリニックの反対で中止になったり、間一髪で他人に借りられてしまったり、ということが相次ぎ結局実現できませんでした。

 その後も物件は探し続けていたのですが、なかなかいいものが見つからずに時間だけが過ぎていました。ところが、最近になって、ひょんなことからある業者が大変魅力的な物件を探してきてくれたのです。

 その物件は、日頃私がよく通る道沿いにあり、以前から、「こんなところでクリニックができたらいいなぁ・・・」と思っていたビルでしたから、物件を探してきた業者が、「ここです」と案内してくれたときは大変驚いてしまいました。

 そのビルはその地域で最も大きなビルのひとつで、外観は大変美しく、そのビルで働けること自体に喜びを見出させると言っても言い過ぎではないようなところです。

 これからやらなければいけないことは、融資の交渉、スタッフの確保、機器の購入、内装・・・、など大変ですが、患者さんに満足してもらえるようなクリニックを構築できるように頑張っていきたいと思います。

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 新しいクリニックの準備で大変忙しくなるな・・・、と思っていたところ、エール出版社から問い合わせがありました。

 拙書『偏差値40からの医学部再受験』の改訂第4版を出版したいというものです。

 新クリニックの準備を始めるからといって、現在の医師の仕事を減らすわけにはいきませんし、GINAの仕事も次第に増えてきていますから、もしもお金で時間が買えるなら買いたいくらいに忙しく、本の執筆をする時間の捻出はかなりむつかしいのですが、結局この依頼も引き受けることにしました。

 最近、医療における情勢が大きく変わってきており、医師に対する風当たりがきつくなってきているように見受けられます。医事紛争は急増していますし、最近では、生体腎移植に金銭授与が絡んでいたという事件が発覚し、その責任を病院と医師に求める世論も強くなってきています。

 もちろん、医療というのは患者さんのためにあるべきもので、いかなるときにも患者さんの立場から考えなければなりません。医師側の都合というものは尊重されるべきではありません。

 しかしながら、医療を始める前から医事紛争や患者さんどうしの金銭介入という問題まで想定しなければならないとなると、医師側の精神的な負担がかなり重くなりますし、結果として患者さんに最善の利益をもたらすことができなくなる可能性もあります。つまるところ、これからの医師は以前に比べると、純粋に「患者さんに元気になってもらいたい」という気持ちだけではつとまらなくなってしまうかもしれません。

 けれども、私が言いたいのは、「それでも医師とは大変やりがいのある魅力的な職業である」ということです。新しく改訂する本には、そのあたりのことを詳しく書きたいと思います。

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 医師の仕事のひとつに学会参加や発表というものがあります。小さな規模のものも含めると私の場合、月に1~2回は参加していますが、毎年年末には重要なものが重なります。

 11月中旬には、バンコクでWONCAという国際プライマリケア学会があります。タイに出張し、その学会に参加して、ついでにGINA関連の仕事もしてくるつもりですが、帰国するとすぐに日本エイズ学会があります。まだ正式には決まっていませんが、今年のエイズ学会ではひとつ演題を発表する予定です。

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 12月に入ると、新しいクリニックを一応はオープンさせなければなりませんし(現行の医療法では保険診療をおこなう一月前から開院させなければなりません)、学会出席のため出張しなければなりませんし、さらに新しいクリニックで効果的な診療がおこなえるよう、何日かは別のクリニックに研修を受けに行くことも考えています。

 以前会社員をしていた頃は、12月と言えばボーナスが支給され、「忘年会」と称して週に何度も飲みに行く機会があったのですが、今となってはあの頃が大変なつかしく感じられます。

 あの頃に戻りたい・・・という気持ちが沸いてきても、すぐに打ち消すようにはしていますが、多忙さのなかに埋もれてしまっている自分に気付き、昔の自分がうらやましくなることもあります。

 けれども、ふんばらなければならない時期だ! と自分に言い聞かせて今は頑張るしかないのでしょう。

 新天地を目指して・・・

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