2022年11月27日 日曜日

2022年11月27日 便秘が認知症のリスク

 アルツハイマー病や軽度認知障害(これをMCIと呼びます)があって、便秘があれば認知機能低下のスピードが早くなる……。

 これは日本の研究で、医学誌「CNS Neuroscience & Therapeutics」2022年8月8日に「アルツハイマー病の進行に対する便秘の影響:後ろ向き研究(Impact of constipation on progression of Alzheimer’s disease: A retrospective study)」というタイトルで掲載されました。

 研究の対象者は2015~2020年に東北大学病院加齢・老年病科を受診した合計84人(年齢の中央値77.4歳、女性が57.1%)の患者です。アルツハイマー病は45.2%(38人)、残りがMCIです。便秘があった人が20人で、なかった人が64人です。認知機能の評価は複数のツール及びMRIでもおこなわれています。

 認知機能を評価する方法に「ADAS-Cog」と呼ばれるテストがあります。これは医師や心理師が時間をかけて様々なテストをおこない認知機能の評価をします。便秘があってもなくてもこのテストの成績は低下していきましたが、便秘があるグループはないグループに比べて低下する速度が2.74倍も速かったのです。

 またMRIの評価においても差がでました。脳が老化すると「白質病変」と呼ばれる変化がMRI上に現れます。これが拡大していけば認知機能が低下すると考えられています。その低下スピードが、便秘があれば1.65倍速いことが分りました。

 この研究では便秘以外の要素も調べられています。心疾患、糖尿病、脂質異常症の有無などで認知機能の進行に差があるかどうかが検討されています。結果は「ない」でした。この研究では「便秘の有無」のみが認知機能低下の速度に関連していたのです。

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 考えねばならないのは「便秘があるから認知症が進行した」のか「認知症が進行したから便秘が悪化した」のかですが、研究の開始時点で便秘がなくてその後起こったという記載が論文にありませんから、「元々便秘がちな人は認知症にならないように注意すべき」と言えます。

 認知症は長生きすれば多くの人に起こるわけですから、若いうちから便秘対策をすべきということは言えるでしょう。

投稿者 医療法人 谷口医院 T.I.C. | 記事URL

2022年11月24日 木曜日

第231回(2022年11月) 誤解だらけの慢性疲労症候群(ME/CFS)

 「慢性疲労症候群」という言葉を当院の患者さんから、あるいは未受診の人からのメール相談で聞く機会が増えています。

 谷口医院では開院した2007年から「慢性疲労症候群ではないでしょうか」といって受診する人が少なくありませんでした。当院は元々「他で診断がつかなかった人」を積極的に診ていましたから、どこの医療機関からも見放されたという人がかなり遠方からも受診されていました。

 今年(2022年)の年明けあたりから、慢性疲労症候群に関する問い合わせが急増しています。原因は新型コロナウイルス(以下、単に「コロナ」)です。コロナに感染し、後遺症が残ったとき、それが目安として半年を超えると、あたかも従来の慢性疲労症候群そっくりになります。このことに私が気付いたのが2020年の後半、その後次第にそのように思われる患者さんを診る機会が増え、「長引いたコロナ後遺症は慢性疲労症候群そのもの」と確証したのは21年の終わり頃です。

 そして、これを文章にまとめて公開したのが、毎日新聞「医療プレミア」でのコラム「新型コロナ 後遺症の正体は「慢性疲労症候群」か」、日経メディカル「ポストコロナ症候群とME/CFSの共通性」です。本サイトの「はやりの病気」でも紹介しました。尚、慢性疲労症候群は、最近、筋痛性脳脊髄炎 / 慢性疲労症候群(Myalgic Encephalomyelitis/Chronic Fatigue Syndrome:ME/CFS)と呼ばれることが多くなってきため、ここからはME/CFSで統一します。

 「長引くコロナ後遺症がME/CFSではないか」と考えたのは、私の純粋な思いつきというわけではありません。なぜなら、以前からいくつかの感染症では、その感染症が治ってしばらくしてからも、倦怠感や抑うつ感が持続する事例が認められていたからです。それについては、上述の「はやりの病気」で紹介しましたから、ここでは繰り返しません。

 今回は「間違ったME/CFSの診断」について述べたいと思います。これは、「患者さんは自身をME/CFSだと思っているけれどそうではない」という事例のことで、このような患者さん(ほとんどは初診)が急増しています。

 まず、ME/CFSには「診断基準」というものがあるのですが、これを理解されている人がほとんどいません。どのような疾患であっても、きちんと診断をつけることは非常に大切で、診断基準をなおざりにするわけにはいきません。

 「厚生労働省(旧厚生省)慢性疲労症候群診断基準」というものがあり、ウェブサイトでも公開されています。残念ながら、後述するように、このページはちょっと見づらいので、ここで分かりやすく解説していきます。

 まず、ME/CFSであることを示すには2つの「大基準(大クライテリア)」を満たさなくてはなりません。以下の2つです。

A:生活が著しく損なわれるような強い疲労を主症状とし、少なくとも6ヶ月以上の期間持続ないし再発を繰り返す(50%以上の期間認められること)

B:病歴、身体所見。検査所見で表2に挙げられている疾患を除外する

 このページが分かりにくい理由の一つが「表2に挙げられている疾患」がどこにも書かれていないことです。ただ、これら「疾患」をひとつひとつ挙げることにはあまり意味がないので、ここは端折りたいと思います。

 Aを確認しましょう。症状を有する期間は「少なくとも6ヶ月」です。よって、例えば「コロナ感染後2ヶ月たっても倦怠感が続く」は基準を満たしません。もちろん、その倦怠感が6か月以上持続する可能性もあるわけですが、この時点では(後述するように)ME/CFSだと思い込むべきではありません。「50%の期間」というのは、「その6か月のうち、元気になる日や週があってもME/CFSの可能性はある。ただしトータルでみれば6か月のうち3か月以上は症状がなければならない」という意味です。

 Bをみてみましょう。「病歴」というのは、他の病気でないことを示さなければならない、という意味です。倦怠感と抑うつ症状をもたらす疾患は多数あります。甲状腺機能低下症、膠原病、アジソン病、悪性腫瘍、結核、HIV感染症などが相当します。尚、結核やHIV感染症は「感染後、倦怠感や抑うつ症状が続く」には合致しますが、これらは「感染中」であって、「治療後も症状が持続」とは異なりますからME/CFSには含めません。また、うつ病や統合失調症も除外する必要があります。

 ME/CFSを疑って受診した患者さんに「あなたの病状はME/CFSではありません」と伝えねばならない最大の理由は、上記Bのなかの「検査所見」です。診断基準は次の3つを満たしていなければなりません。これは自己評価ではなく、必ず医師が確認しなければなりません。しかも2回以上確認することが必要です。

#1 微熱
#2 非浸出性咽頭炎
#3 リンパ節の腫大(頚部、腋窩リンパ節)

 #1の「微熱」とは一般的には37.5度前後の熱を指しますが、患者さんのいくらかは36度台後半くらいでも「自分の平熱は低いんです。だからこれは微熱なんです!」と自身の主張を譲らない人がいます。私の場合、これは患者さんの考えを尊重するようにしています。

 #2の「非浸出性咽頭炎」は、喉が赤く腫れていれば該当します。「非滲出性」というのは咽頭(及び扁桃)に、白い苔みたいなものや膜がないことを意味します。「非浸出性咽頭炎」を他覚的に判定するのはときに困難で、見た目がまったく赤くなくても、患者さんが「痛いんです」と言われれば否定はできません。

 #3の「リンパ節の腫大」は客観的に評価することが可能です。それなりに経験のある医師が触診すれば分かります。もしも医師の触診では異常がなく、患者さんが「腫れています」と主張するときには、超音波検査をすれば簡単に証明することができます。超音波検査を実施して腫大していないことがはっきりしても、「そんなはずはありません。腫れているんです」という人がときどきいますが、超音波検査でも認めなければリンパ節腫大があるとは言えません。尚、診断基準にはリンパ節の部位として「頸部、腋下リンパ節」と書かれているだけで、これが両方腫れている必要があるのか、片方だけでいいのかは記載されていません。私の場合は、どちらかに腫脹が認められれば「腫大あり」と判断しています。

 長々と説明してきましたが、私が言いたいのは「リンパ節腫大が認められなければME/CFSではない」ということです。これが、世間にはほとんど知られておらず誤解がはびこっています。もっとも、そんな細かい診断基準が広く知れ渡っている方が不自然であり、一般の方が知らないのは当然です。ただ、自称「ME/CFS」の人たちが急増しているのは異様な事態です。「医師によるリンパ節の評価なくしてME/CFSの診断はできない」という点は非常に重要です。

 なぜならME/CFSの診断がつくのとつかないのでは生活上の注意点が大きく異なるからです。ME/CFSの診断がつけば(もしくは疑われれば)、規則正しい生活は重要ですが、散歩程度の運動もすべきでなくなります。他方、ME/CFSでなければ(あるいはない可能性が高ければ)むしろ、できる範囲で身体を動かしていくことが治療につながります。

 ちなみに、ME/CFSで身体を動かすと余計に倦怠感が強まることをpost-exertional malaise (PEM/運動後倦怠感)と言い、身体を動かして出現する倦怠感を「crash」「relapse」「collapse」などと呼びます。そして、SNSやネットで情報が飛び交っているからなのか、まだコロナに感染して1~2ヶ月程度しか経っていないのに「昨日はクラッシュが起こりました」などと主張する患者さんが最近目立っています。

 どのような病気でも正しい「診断」をつけることは極めて重要です。医師がいつも正しいわけではなく、自分自身で病名を推測するのは大切なことではありますが、診断基準に基づいた医師による客観的な評価は不可欠なものです。そして、正しい診断をつけることにより、結果として早く回復する可能性が高まるのです。

 ただ、ME/CFSの場合、効果的な治療法がほとんどないのが現状なのですが……。

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2022年11月11日 金曜日

2022年11月 人類はもうすぐ確実に滅ぶのだから

 私が1つ目の大学に通っていた頃、どの先生の講義だったのかはもはや記憶にないのですが、「宇宙船地球号」という言葉を学びました。

 「宇宙船地球号」とは、もともとは「地球上にある資源は限られているが故に無計画に資源を開発してはならない」という趣旨を表現した言葉だったはずです。しかし、私の記憶が正しければ、講義のなかでその先生は「我々は同じ人類であり、戦争などしている場合ではなく、仲良くしなければならない」というようなことを話されていたように記憶しています。ただ、私の記憶はいい加減ですから、その後「宇宙船地球号」というこの言葉だけが脳内を駆け巡り、私が自分の記憶に対して勝手な解釈をしているだけかもしれません。

 さて、世界史あるいは日本史を振り返り、「戦争」というものを改めて考えてみたときに、私が最も重要だと思う2つの「戦争の原則」があります。ひとつは「人類にとって、平和が正常なのではなく、むしろ戦争しているのが”自然”である」、もう1つは「敵の敵は見方」という原則です。

 そしてこの2つの原則から「地球上から戦争をなくす方法」を導くことができます。それは「地球外生命体に地球を攻撃してもらう」です。もちろんそんなことはあり得ませんが、地球外生命体を「人類を滅ぼす脅威」と置き換えれば、その「脅威」が他にないわけではありません。

 例えば「核」は「人類を滅ぼす脅威」に相当します。「核抑止力」には様々な議論がありますが、核の保持の良し悪しは別にして、「世界で核がいくつも使われれば地球が滅びる」のは事実です。だから、どれだけ非道な国家のリーダーであっても、人間を標的とした核のボタンはそう簡単には押せないわけです。

 しかし、世界のいくつかの国が核を持っているのにもかかわらず、現実世界には一向に平和が訪れません。なぜなのでしょう。それは「誰も核のボタンを押すことはないから」という暗黙の前提で世界の人々が暮らしているからです。もしも、数千発の核を持つX国が、1か月後に、世界の大都市に一斉に核ミサイルを放つことが決定したとしましょう。すると、X国以外の大国は必ず一致団結します。「マスクを外していいか」「コロナワクチンをうつべきか」などに気を使っている場合ではなくなります。

 実際には、自国以外のすべての国を亡ぼすことを考えるX国は存在しませんから、こういった心配をする必要はなく、戦うことが大好きな人類は”安心して”戦争に勤しんでいるというわけです。人間同士が仲良くなることを諦めている人たちは、街で「マスク反対!」と叫び、「反ワクチン派」と「ワクチン肯定派」はSNSで激しい言葉で罵り合っています。

 では核以外に「人類を滅ぼす脅威」はないのでしょうか。

 それはあります。というよりも、人類が滅びるのは絶対に避けられない真実です。ともすれば、我々はこの世界が未来永劫続くような錯覚に陥りがちですが、人類、そして地球がいずれ滅びるのは確実です。

 では、人類が滅びるのはいつなのでしょうか。Wikipediaによると、「楽観的な推測」として、哲学者のジョン・レスリーが「500年後に人類が存続している可能性は70パーセントという予想を出している」としています。

 楽観的な推測でこれなら、100年程度で消滅する可能性もあるのでしょうか。地球温暖化を研究するIPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change)の2018年の報告では、「早ければ、2040年前後までに地球は壊滅的な状態になる」とされています。The New York Timesによると、2040年までに大気が産業革命前のレベルより1.5℃上昇し、その結果、海岸線が水没し、干ばつと貧困が激化します。

 IPCCは世界中の地球温暖化を研究する第一人者からなる組織です。ただ、社会ではこの報告はあまり注目されていません。その証拠に、「死ぬまでの残りの20年をどのように過ごそうか」という声がほとんど(というよりまったく)聞こえてきません。

 では人類が滅びるのはいったいいつなのでしょうか。これを正確に予測するのが困難なのは不確定要素が多いからです。例えば、今後核を使う国がでてくるか否か、地球温暖化に効果的な対策をとることができるかどうか、世界全体での人口抑制に成功するか、といった問題に加え、医療問題も関わります。マラリアのワクチン開発は成功するか、多剤耐性結核に有効な抗菌薬は開発されるか、新型コロナウイルスのようなパンデミックが再び起こるか、耐性菌を克服できるか(2050年には薬剤耐性菌で1000万人が死亡し、世界の死因の第1位になると予測されています)などによって結果が大きく異なってきます(注)。

 1000年後には人類は滅亡しているでしょうか。『シルクロード全史』が世界的ベストセラーとなった英オックスフォード大学の歴史学教授ピーター・フランコパンが、最近、英紙The Economistに寄稿したコラム「ピーター・フランコパンが考える3022年の姿What Peter Frankopan thinks 3022 will look like)」が興味深いので紹介します。

 フランコパンによると、パリ協定で定めた気温上昇の抑制目標が達成できる可能性はわずか0.1%です。すると、海面が数十メートル上昇し、海底に沈む地域が増え、2500年までにアマゾンは不毛の土地になります。熱帯地方の居住者は住む場所を失くし、高緯度の地域へと移動せざるを得なくなると予測しています。

 そして、フランコパンはその兆候は現時点ですでに現れていると言います。2022年の世界の気象をみてみると、イギリスでは気温が40度を超え、中国では観測史上最も厳しい熱波が記録されました。パキスタンでは例年の8倍近くもの雨が降り、洪水で国土の3分の1が水没しました。南米では気温が45度を超え、南極大陸の一部の地域の気温は平均より40度近くも高くなりました。アメリカ東部のデスバレーではわずか3時間で年間平均降水量の4分の3が降りました。

 フランコパンは感染症の脅威についても言及しています。21世紀末には世界人口の90%がマラリアとデング熱のリスクにさらされるとの予測があり、森林破壊が進行すれば、未知の感染症が出現するリスクが高まることも指摘しています。

 また、フランコパンによると、核兵器が使用されれば、たとえ限定的な使用であっても、大量の煤煙が大気中に放出され、広範囲で農業ができなくなるそうです。

 すでに日本でも、毎年台風は未曾有の被害をもたらし、洪水で死亡者を出し、熱中症での死亡が珍しくなくなっています。「これらはすでに地球滅亡に向かっている証だ」と言えば言いすぎでしょうか。

 「できるだけ人類を永らえさせるべきだ」という主張は、哲学的に正しいかどうかは簡単に答えがでませんが(「生まれてこない方がよい」という考えもあります)、「子孫を残して明るい未来を築く」のは我々人間の使命ではなかったでしょうか。ならば、今この時点で人類滅亡のリスクとなるいくつもの脅威をしっかりと認識し、人類全員が”宇宙船地球号”に乗り込み、共に知恵を出し合い、全員でその脅威に立ち向かっていくべきではないでしょうか。

 そう考えると、戦争をしたり、マスクをするしないで言い合いをしたり、SNSでつまらない罵り合いをしたり、といったことに時間を費やしている暇はないはずです。

注:詳しくは下記を参照ください。
医療プレミア2019年1月6日「「あなたと家族と人類」を耐性菌から守る方法」(無料で読めます)

投稿者 医療法人 谷口医院 T.I.C. | 記事URL

2022年11月8日 火曜日

2022年11月8日 日本小児科学会は6か月以上5歳未満にもコロナワクチンを「推奨」

 2022年の年明けごろから、「コロナワクチンは本当に必要か」という声が増えてきています。谷口医院には相変わらず「ワクチンをうつべきか否か」という質問が多数寄せられていますが、春頃からは相談内容の傾向がかなり変わりました。

 以前は「うつべきですよね」という声が多かったのですが、最近では「うたなくてもいいですよね」が過半数近くとなり、18歳未満でいえば、当院で相談された結果「うたない(うたせない)」と結論を出すケースが多数を占めます。

 そして、各自治体で10月24日から始まった生後6か月以上5歳未満の小児に対するコロナワクチンの相談を受け、「うたせます」と答えた保護者はいまだに(11月7日の時点で)ゼロです。

 しかし、厚労省の見解は6か月以上のすべての日本人に対して「努力義務」を課しています。この言葉の定義がよく分かりませんが、そのまま解釈すれば「義務」と付くものであれば、「日本国民なら守りなさい」とお上から言われているような気がします。

 厚労省は行政的な視点から見解を出します。では、医学的にはどうでしょうか。日本小児科学会はすでに5歳以上の小児に対して「推奨」としています。

 そして11月2日、同学会は、6か月以上5歳未満の小児に対し、「日本小児科学会は、生後6か月以上5歳未満のすべての小児に新型コロナワクチン接種を推奨します」との見解を発表しました。

 「現時点では有効性・安全性に関するデータが限られている」としながらも、基礎疾患の有無に関わらず健康な小児も含めて「推奨する」とのことです。

 理由についても詳しく述べられています。次の3つが強調されています。

#1 小児患者数の急増に伴い、以前は少数だった重症例と死亡例が増加している

#2 オミクロン株BA.2流行期における発症予防効果について、生後6か月~23カ月児では75.8%、2~4歳児では71.8%の有効性が報告されている

#3 安全性については、米国の調査で「重篤な有害事象はまれ」と報告されている

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 厚労省が(行政が)「努力義務」とし、日本小児科学会が「推奨」としているワクチンの接種率が極めて低い事態は”異常”と呼んでもいいでしょう。

 では、なぜ小児へのワクチン接種が普及しないのでしょうか。谷口医院の例で言えば、我々は「ワクチンを勧めない」とはまったく言っていませんが、「大阪府の第7波での全年齢の死亡率は0.1%であること、小児の場合インフルエンザの方が重症化しやすい報告があること」などを示すと、「そもそも小児の予防にワクチンは不要じゃないですか」というコメントが返ってきます。

 中学生・高校生で積極的に受けたいと考える男子・女子はいますが、谷口医院の例でいえば「留学先で求められているから」「同居する祖父母を守るため」といった理由が目立ちます。

 日本小児科学会は推奨しているのにもかかわらず「小児科医からうたなくていいと言われた」という声がかなりあります。日本小児科学会には「全国のどれだけの小児科医が推奨しているのか」のデータを出してほしいと思います。

 

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