2017年1月25日 水曜日
2017年1月25日 胃薬PPIは細菌性腸炎のリスクも上げる
胃薬PPI(プロトンポンプインヒビター)が最近になって様々な危険性が指摘されるようになり、先日も新たなリスクを紹介(注1)したばかりですが、また新たな報告がありましたのでお伝えします。
胃薬PPIやH2ブロッカーはクロストリジウム・ディフィシルやカンビロバクターといった消化器感染症のリスクを上昇させる…
医学誌『British Journal of Clinical Pharmacology』2016年1月5日号(オンライン版)でこのような報告(注2)がおこなわれました。
今回の研究の対象者はスコットランド東部のTayside在住の成人です。PPIもしくはH2ブロッカーの内服歴のある188,323人と、そういった胃薬を内服していない376,646人が比較されています。調査期間は1999年から2013年です。細菌検査は、入院していない人は外来で、入院した人は病院でおこなわれており、外来と入院で別々に検討されています。
結果、入院しなかった人たちでは、胃薬を飲んでいれば飲んでいない場合に比べて細菌性腸炎を起こすリスクが2.72倍になり、入院した人たちでは、そのリスクが1.28倍になっていました。
この研究は細菌ごとに検討されています。クロストリジウム・ディフィシル感染症は、入院しなかった人たちでは胃薬を内服していると感染するリスクが1.7倍に、入院した人では1.42倍になっていました。カンビロバクター感染症は、入院しなかった人たちで3.71倍、入院した人たちで4.53倍にもなっていました。
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クロストリジウム・ディフィシルは、他の細菌感染治療目的で抗菌薬を投与しているうちに増殖してくる「薬剤耐性菌」としてよく知られており、ときに致死的になる感染症です。最近では、抗菌薬を投与された患者が使用していたベッドをその次に使用した患者がクロストリジウム・ディフィシルに感染するリスクが上昇するという報告(注3)もあり注目されています。
カンピロバクターは細菌性腸炎の原因菌として有名で、鶏肉の刺身やタタキから感染することが多いのが特徴です。頻度が小さいとはいえ、感染するとギラン・バレー症候群(注4)を発症することもあります。
今回の研究だけで、PPIとH2ブロッカーがこういった感染症を起こしやすいと断言できるわけではありません。しかし、実は、FDAは2012年の時点で、PPIがクロストリジウム・ディフィシルのリスクになることを発表しています(注5)。(この発表はそれほど注目されておらず、日本で発売されているPPIの添付文書には一応記載がありますが(注6)、処方時にすべての患者さんに説明されているわけではありません。私はPPIの処方が長期に及ばない限りは診察室で説明していません)
注1:医療ニュース 2017年1月23日「胃薬PPIは精子の数を減らす」
注2:この論文のタイトルは「Acid suppression medications and bacterial gastroenteritis: a population-based cohort study」で、下記URLで概要を読むことができます。
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/bcp.13205/abstract
注3:この論文のタイトルは「Receipt of Antibiotics in Hospitalized Patients and Risk for Clostridium difficile Infection in Subsequent Patients Who Occupy the Same Bed」で、下記URLで概要を読むことができます。
http://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/article-abstract/2565687
注4:ギラン・バレー症候群については下記を参照ください。
はやりの病気第73回(2009年9月)「ギラン・バレー症候群」
注5:この発表のタイトルは「FDA Drug Safety Communication: Clostridium difficile-associated diarrhea can be associated with stomach acid drugs known as proton pump inhibitors (PPIs)」で、下記URLで読むことができます。
http://www.fda.gov/Drugs/DrugSafety/ucm290510.htm
注6:例えば、PPIで最もよく処方されるひとつである「ネキシウム」の添付文書には、4ページ目の「10 その他の注意」の(6)に記載があります。下記URLを参照ください。
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|2017年1月23日 月曜日
2017年1月23日 胃薬PPIは精子の数を減らす
高い効果と安全性から世界中で幅広く使用されている胃薬PPI(プロトンポンプインヒビター)が、最近になって危険性が次々と指摘されるようになってきた、ということを何度かお伝えしてきました。簡単に振り返っておくと、「認知症のリスクになる可能性」(注1)、「血管の老化を促し動脈硬化のリスクを高める」(注2)、「脳梗塞のリスクとなる」(注3)、などです。
今回お伝えするのは、PPIの新たなリスクかもしれない「精子の数が減る」という報告についてです。医学誌『Fertility and Sterility』2016年12月号(オンライン版)に論文が掲載されています(注4)。
オランダの研究チームは、妊娠を計画しているオランダ在住の男性2,473人から、精子量の少ない241人を選抜し、対象グループとして精子数が正常の714人を選び、両グループとPPI使用との関係を分析しました。
結果、精子の検査日の6~12ヶ月前にPPIを開始していた場合は精子数が減少するリスクが2.96倍高いことが判りました。一方、PPIを開始して6ヶ月以内であれば減少するリスクは認められなかったそうです。
PPIは胃酸の分泌を強力に抑制する薬剤です。この研究から言えることは、PPIを長期服用し長期間胃内のpH値を上昇させることが精子に悪影響を与える可能性があるということです。(そのメカニズムは不明です) 尚、胃酸の分泌を下げる他の薬H2ブロッカーについては調査されていないようです。
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妊娠を考えている男性、あるいはすでに不妊治療を開始している男性であっても、医師からPPIを中止するように言われている人はほとんどいないのではないでしょうか。女性の場合は妊娠中に飲んではいけない薬がたくさんありますが、男性の場合は精子に影響を与える薬はそれほど多くありません。
一部の抗癌剤、リウマチの薬、免疫抑制剤、抗ウイルス薬などが該当しますが、おおまかにいってこれらは軽症でない疾患に使われることが多く、処方する際には医師や薬剤師から注意があります。比較的多く処方されている薬ではSSRIと呼ばれる抗うつ薬があります。これは海外で受精率が低下するという報告がありますが、大規模調査で認められているわけではありません。
SSRIよりもPPIの方が処方量が多いのは間違いありません。今後、PPIの内服が長期にわたる可能性がある場合、あらかじめこの精子が減るリスクについて説明がおこなわれるべきかもしれません。
注1:はやりの病気第151回(2016年3月)「認知症のリスクになると言われる3種の薬」
注2:医療ニュース(2016年8月29日)「胃薬PPIが血管の老化を早める可能性」
注3:医療ニュース(2016年12月8日)「胃薬PPI大量使用は脳梗塞のリスク」
注4:この論文のタイトルは「Are proton-pump inhibitors harmful for the semen quality of men in couples who are planning pregnancy?」で、下記URLで概要を読むことができます。
http://www.fertstert.org/article/S0015-0282(16)62800-5/abstract
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|2017年1月21日 土曜日
第161回(2017年1月) 保湿剤の処方制限と効果的な使用法
ステロイドでもタクロリムスでも、あるいは抗真菌薬でも抗菌薬でも外用薬(塗り薬)というのは、ただ単に処方してもほとんど意味はなく、しっかりと使い方を覚えてもらう必要があります。対して、内服薬(飲み薬)の場合は、いつ何錠飲まないといけないのか、途中でやめてもいいのか増やしてもいいのか、といったことはしっかりと理解してもらう必要がありますが、「飲む」という行為自体はいたって単純です。
外用薬の場合はそうはいきません。身体のどの部位にどれくらいの量を塗るのか、タイミングはいつなのか、量の調節は自分の判断でしていいのか、といったことを理解しなければなりませんし、さらに複雑なことに、外用する量を日によって変えるべき、といった場合もあります。これらの説明にはある程度の時間がかかります。今回述べたいことの本質から外れますから多くは語りませんが、私は外用薬については(院外でなく)院内処方の方がいいと考えています。診察の内容を知らず実際に皮膚を診ていない処方箋薬局の薬剤師が説明をするのは事実上不可能だからです。
今回述べたいのは「保湿剤」の効果的な使い方ですが、この話を始める前に、私が医師になってからずっと”理不尽”だと思っていた保湿剤処方にまつわる保険診療上の「ルール」について話をしたいと思います。
保湿剤のいくつかは保険診療が可能です。医療機関を受診するとそれなりに待ち時間が発生しますから時間はかかりますが、保険で薬を処方してもらえるというのは費用面ではいいことです。しかし、です。処方量に「制限」があります。保湿剤は副作用がほとんどありませんから、比較的”気軽に”使っていいものです。そして、実際に保湿剤を効果的に使うことによってステロイドを減らすことも可能です。安全で効果がある保湿剤は充分な量を使うべきです。しかし、制限があるためにたくさん処方することができないのです。
制限だけなら理解できなくはないのですが、問題はその制限が都道府県によって異なる、あるいは保険診療の審査員によって異なる、ということです。こういった事実は公表すべきでなく、一般の人たちには伏せておいた方がいいという意見がありますが、この理不尽さは私が医師になってからずっと感じていたことであり、私自身がどこからか批判されようがこのことは伝えるべきだと考えています。
ヘパリン類似物質と呼ばれるすぐれた保湿剤があります。商品名でいえば「ヒルドイド」や「ビーソフテン」が該当します。これらは、例えばA県に住んでいたときは月に300グラムまでが認められていたのが、B県に引っ越して新たなクリニックを受診すると150グラムまでしか認められない、といったことが実際にあります。
診察した結果、この症例は全身の乾燥が目立つために最低でも月に300グラムは必要と判断したとしても、150グラムしか認められなければそれに従うしかないのです。ときどき「保険診療で処方できる最大量を処方してください。それから不足分を自費で売ってください」という人がいますが、これは混合診療に該当するために禁じられています。どうしても200グラムは必要というときに、レセプト(診療報酬明細書)に「この患者さんにはどうしても必要ですから認めてください」といった記載をおこなえば、認めてくれることもありますが(それでも多くの量は認められません)、たいがいは容赦なく「認められません」と返答されます。(この場合、医療機関が損失を被り赤字になります)
医療費を削減しなければならないのはよく分かります。ならばヘパリン類似物質を保険から外してすべて薬局で購入できるようにすればいいのではないでしょうか。しかし、この意見は医療者からも反対されます。保険から外し薬局で購入しなければならなくなると患者さんの費用負担が増えるからです。ですから、処方量の制限を設けるべきではないという意見にはほとんどの医師が賛同しますが、「保険適用から外すべき」という私の意見は大勢から反対されるのです。
けれども、都道府県(あるいは審査員)により認められる量が違うというのはどう考えても筋が通りません。そして、私がヘパリン類似物質を保険診療から外すようにすべきだと考える理由は他にもあります。そもそもヘパリン類似物質というのは副作用がほとんどなく安全な薬であり、すでに薬局でも販売されています。ところが、薬局で販売されているものは「ヒルドイド」「ビーソフテン」といった”一流の”ヘパリン類似物質と使用感が異なるのです。(私自身もいくつか試したことがありますし、太融寺町谷口医院の患者さんに尋ねても同じことを言われます) おそらく有効成分(ヘパリン類似物質そのもの)の配合量、あるいは香料や保存剤の違いが原因ではないかと思われます。私には、なぜ「ヒルドイド」や「ビーソフテン」を販売している製薬会社がスイッチOTC(従来処方薬だったものが薬局で買えるようになった薬のこと)への申請をしないのかが不思議でなりません。
そろそろ話を本題に持っていきます。ステロイドやタクロリムスに比べると保湿剤については医師はさほど熱心に説明しません。教科書にも保湿剤に関する詳しい記述はほとんどありませんし、私自身も皮膚科で研修を受けていたときに先輩医師から詳しい説明を聞いたことがありません。
最近になり、少しずつ保湿剤の機序や効果が科学的に解明されるようになってきてはいます。そして、保湿剤を「エモリエント」と「モイスチャライザー」に分類するという考え方が少しずつ支持されるようになってきました。おおまかにいえば、エモリエントは皮膚の表面を覆い体内からの水分蒸発を防ぐ作用のある物質のこと、モイスチャライザーは皮膚の中に浸透し水分保持作用をもつ物質のことです。ですが、どの保湿剤がどちらに分類できるかをクリアカットに説明できるわけではありません。
保湿剤と言われているものには、ヘパリン類似物質の他に、尿素軟膏、セラミド、ワセリン、オリーブオイル、ツバキ油、ヒアルロン酸、スクワランなどがあります。このなかで、尿素製剤やヘパリン類似物質はモイチャライザーに分類されることが多いのですが、エモリエントの作用(表面を覆う)もまったくないとは言えないと思います。セラミドは細胞間脂質ですから、モイスチャライザーに分類されそうなものですが、皮膚表面の保護作用もありエモリエントの効果もあると言えます。(「モイスチャライザー」という言葉は製品名にも使われることがあり、これが話をややこしくさせています)、
保湿剤は1日に何回塗るべきかということにはまったくコンセンサスがありません。添付文書にも1日1~数回と書かれているものが多く、これではまったく説明になっていません。私自身は「シャワーをする度に」と説明しています。1日に何回くらいシャワーをすべきかはその人の皮膚の状態によりますが、典型的なアトピー性皮膚炎であれば最低3回はシャワーをしてもらっています。
ステロイドやタクロリムスを併用する場合、保湿剤を先に塗るべきか後にすべきか、ということもよく分かっていません。先にステロイドやタクロリムスを塗った方がこれらがしっかりと浸透し高い効果が期待できそうですが、それを証明した研究はなく、むしろ「両者に差はない」とする報告があります。また、患者さんの心理としては、先に保湿剤を塗って、その上で痒みや赤みのある部位に薬を塗る方が分かりやすいのではないかと思います。
結局のところ、現時点では、保湿剤については、副作用がほとんどないわけですから、各自が試行錯誤を繰り返すのが最も現実的ではないかと私は考えています。しかしまったく方向性を示せないわけではありません。少なくともヘパリン類似物質とセラミドはそれなりに高い保湿効果があるのは間違いありません。そしてこれら2種の保湿剤は作用機序が異なるために、併用することにより、少なくとも相加効果、さらに相乗効果が期待できるかもしれません。
セラミド配合の保湿剤は多くの企業が製造しており薬局や化粧品売り場で購入することができます。ヘパリン類似物質は先に述べたように医療機関でしか入手できないものもありますが薬局で購入できるものもあります。「ヒルドイド」や「ビーソフテン」が当分の間、医療機関でしか入手できず、しかも処方制限があるのが現実なら、処方箋なしで購入できるこれらに匹敵する優れたヘパリン類似物質が登場することを願いたいものです。
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|2017年1月21日 土曜日
第168回(2017年1月) 患者と医師のすれ違い
読売新聞オンライン版の「ヨミドクター」という医療サイトに、「わたしの医見」というタイトルの投稿コラムが掲載されています。診察室では言えないことも、新聞への投稿というかたちでならホンネが出るようで、日によってはなかなか興味深いものもあります。今回は、そのなかで医師の間で特に”不評”だった2つの投稿を取り上げ、なぜこのような医師と患者の「ズレ」が生じるのかを考え、さらに改善策を提案したいと思います。
ひとつめの投稿は、2016年12月19日におこなわれたもので、タイトルは「3時間待たせる病院、患者の立場で対応を」です。これを投稿した40代女性は、いつも病院で長く待たされるそうで、「病院に行く日は、通院時間も含めて半日はつぶれてしまう。もっと患者の立場になって対応してほしい」と書いています。
この女性は、医療者が患者の立場になっていないから待ち時間が長くなると考えています。この女性が望んでいるのは、待ち時間なくすぐに診てほしい、ということでしょうが、医師の数に比べて患者数が多すぎるから待ち時間が長くなるわけです。実際に医療者が考えていることは、この女性の主張とは真逆であり、常に患者の立場になっています。反対意見もあるかもしれませんが、少なくとも「患者の立場になりたくない」と考えている医療者は皆無です。
医療者というのは目の前の患者さんが困っていれば放っておけません。そして、患者さんの訴えが多数あったり複雑であったりすることもしばしばあり、そういった場合診察時間は予想以上に長引きます。すると、当初の予定の診察時間はどんどん後ろにずれこんでいき、順番が後の人は結果として長時間待つことになるのです。
この女性が通院している医療機関は予約制を採用しているのかどうか分かりませんが、3時間待ったなら、おそらく完全予約制ではないのではないかと思われます。受診した人から順番の診察ということであれば現在の日本の医療機関で3時間待ちというのはあり得ます。また、予約制であったとしても、重症の患者さんが相次げば3時間くらいずれこむことはあります。
3時間待ちが苦痛であることはもちろん我々も理解できます。医師が自分自身や家族が医療機関を受診して長時間待たなければならないことももちろんあり(医師だからという理由で優先されることはありません)、その場合、この女性と同じように3時間待つこともあるのです。
ではどうすればいいか。根本的には医師の数を増やすということになりますがこれはすぐには無理でしょう。ではどうすればいいか。住んでいる地域にもよるでしょうが、他の医療機関に変更することをまずは考えるべきです。そして、この場合自分自身で探すのではなく、現在かかっている医師に相談してみるのが最善です。医師は(当たり前ですが)患者さんよりもその地域の医療機関の情報を把握しています。
この女性は「病院」という言葉を用いていて「さんざん待たされた揚げ句、主治医でない医師にまわされることもある」という表現がありますから、受診したのは文字通り「病院」であり「診療所/クリニック」ではないと思われます。特殊な疾患や、重症化している場合は病院でなければ診察できないこともありますが、多くは診療所/クリニックでも診察することは可能です。
ただしクリニックでも待ち時間が長くなることはよくあります。太融寺町谷口医院は、オープンした当初は、午前の診察は「予約がある人を優先しますが、予約がなくても診察します」という方針を取りました。すると、予約がなければ3~4時間待ち、という事態になり、あわてて「完全予約制」に変更し、さらに待ち時間が長くならないように予約の枠の数をどんどん減らしていきました。これにより待ち時間は大幅に短くなり、現在では30分以上待つことはほとんどなくなりました。(午後は以前から予約制をひいていません。一度試みたことがあるのですが、午後は仕事帰りの人が大半であり、予定通り仕事を終われない人が多くキャンセルや変更が相次ぎ、予約制が成立しなかったのです)
この女性の話に戻すと、この次その病院に行ったときに「待ち時間が長くない医療機関を紹介してもらえませんか」と尋ねるのが最適です。おそらく主治医は「では紹介します。ただし、あなたを見放すわけではありませんから、今後は新しい先生と連絡を取りながらあなたにとって最善の治療を考えます」といった回答をしてくれると思います。
もうひとつ紹介したい「わたしの医見」は、2016年12月12日に掲載された72歳男性のものです。この男性は、「様々な医者に出会ったが、新聞やテレビで紹介された治療法を尋ねたり、あの薬を使ってみたい、この検査を受けられないか、と依頼したりして、嫌な顔をされたことが一度ならずある」と述べています。
これはそれほどむつかしい話ではなく、ちょっとした工夫で医師との関係を良好にすることができて、その希望の検査や治療について正確な知識を教えてもらうことができます。
ただし、マスコミで報道されている斬新な薬や検査というのは奇を衒ったものが多いのは事実です。そもそも従来からおこなわれている当たり前の治療法を報道しても視聴者の関心が惹けないでしょうから、マスコミの性質を考えればそれは当然かもしれません。マスコミで紹介されていた薬や検査に興味がでてきたなら、それをそのままかかりつけ医に伝えればいいのです。医師としてもマスコミの報道で患者さんが新しい薬や検査に興味を持つ気持ちは理解できます。しかし、医師は自分の患者を守らなければなりません。有害になるような情報も世の中にはあふれていますから、自分が診ている患者さんが不利益を被らないようにする義務があるわけです。
もしもこの男性が日ごろから信頼している「かかりつけ医」を持っていれば、考えていることや希望を充分聞いてもらった上で最善と思われる対処法を教えてもらえたはずです。希望する治療が受けられることもあれば、現状の治療の方が安全で優れていることを教えてもらえることもあるでしょう。では、なぜこの男性は医師とのコミュニケーションがうまくいかなかったのか。
おそらく「様々な医者に出会ったが」というコメントがありますから、この男性はドクターショッピングを繰り替えしているのではないでしょうか。これは私の推測ですが、この男性は、初めからテレビで聞いた治療法を目的として次々に医療機関を受診しているように思えます。
そうではなく、まずは自宅から最も通院しやすいところにある診療所/クリニックをひとつ見つけて、そこで健康上のことを何でも相談するようにすればいいのです。もちろん医師と患者の相性という問題もありますから、一番近いところにこだわる必要はありません。比較的健康であれば少し遠くに位置したところでもいいと思います。覚えておいてほしいのは、医師は患者さんの健康に貢献したいと常に思っている、ということです。患者さんが希望をいえば、それに対して適切なコメントをおこない、もしもその希望の治療が新しい知見であれば、医師は詳しい情報を収集して患者さんに分かりやすく伝える義務があります。
日本医師会のかかりつけ医の定義は「なんでも相談できる上、最新の医療情報を熟知して、必要な時には専門医、専門医療機関を紹介でき、身近で頼りになる地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する医師」です。すべての医師があてはまるとは言えないかもしれませんが、少なくとも「最新の医療情報を熟知する」努力は怠りません。
この二人だけでなく、ほとんどの医師への不満はコミュニケーション不足からきているように思えます。信頼できるかかりつけ医を持つことさえできれば、随分と安心できるはずです。
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|2017年1月12日 木曜日
2017年1月12日 タバコの規制で世界の5300万人が禁煙成功
2008年から2014年の7年間で88か国の5300万人以上が禁煙に成功。これはタバコ関連の死亡者2200万人以上を減らしたことになる…。
医学誌『Tobacco Control』2016年12月12日号(オンライン版)にこのような報告が掲載されました(注1)。
タバコ関連死が多すぎることを問題にしていたWHO(世界保健機関)は、2005年、「FCTC」(Framework Convention on Tobacco Control、タバコ管理の枠組み協定)を制定し、2015年には世界の186か国がこの枠組みを承認しています。(これは世界の人口の95.8%をカバーしますが、米国は(なぜか)承認していません)
WHOのFCTCは禁煙の具体的な案をまとめた「MPOWER」と呼ばれる禁煙支援策を2008年に打ち出しました。冒頭で述べた7年間の成果はこのMPOWERを実施した結果ということになります。MPOWERを実施したのは88か国で、禁煙成功者の合計が5300万人以上になるそうです。
ここでMPOWERを具体的にみてみましょう。
M:Monitor tobacco use and prevention policies.(タバコの使用状況及び予防施策を把握)
P:Protect people from tobacco smoke.(タバコの煙から人々を保護)
O:Offer help to quit tobacco use.(禁煙希望者への支援提供)
W:warn about the dangers of tobacco.(タバコの危険性を警告)
E:Enforce bans on tobacco advertising, promotion and sponsorship.(タバコの広告、販売促進、後援の禁止を強化)
R:Raise taxes on tobacco.(タバコ税増税)
7年間でタバコ関連死を免れた2200万人の内訳は次のようになります。
700万人:タバコ税の上昇による
540万人:禁煙法による
410万人:健康への警告による
380万人:広告の禁止による
150万人:禁煙への(治療などによる)介入による
報告によれば、MPOWERの6つの項目のすべて(あるいはほとんど)に積極的に取り組んだブラジル、パナマ、トルコで特に喫煙者の大きな減少が認められたそうです。
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本文にあるMPOWERについて、日本政府はどこまで実施しているのでしょうか。M(把握)は一応はできているでしょう。P(保護)はどうでしょうか。今も日本では全面禁煙のレストランや食堂、カフェはほとんどありません。O(支援提供)は一部の会社で実施していますが、ほとんどの人はその恩恵にあずかっていません。W(警告)は不充分でしょう。国によっては、肺がんの肺や老けた皮膚をタバコのパッケージに載せているところもありますが(例えばタイ)、日本ではそのような試みもありません。
E(広告などの禁止の強化)はどうでしょう。タバコの広告は現在では禁止されていますが、キャンペーンは頻繁におこなわれていますし、繁華街ではタバコのサンプルを配っている光景を目にすることもあります。R(税増税)については一応は実施していますが、海外諸国と比べると日本のタバコが安いことはよく指摘されます。
世界で最も喫煙に厳しい国のひとつがシンガポールです。同国ではタバコ代が非常に高く(1箱1,000円以上します)、海外からの持ち込みには申告が必要で、申告を怠れば高額のペナルティを払わされます。道端での喫煙は違法行為で罰金をとられ、レストランやカフェでも全面禁煙のところが多く、そのため喫煙者は減少の一途をたどっています。少なくともアジアでは最も喫煙率の低い国となっています。
シンガポールではここまで禁煙対策を実施して何が起こったか。平均寿命・健康寿命とも共に上昇し、日本よりも健康寿命が長いとする報告もあります。今後日本が先進国かつ健康な国を維持するにはもっと大胆な禁煙政策が不可欠ではないか、というのが私の考えです。
注1:この論文のタイトルは「Seven years of progress in tobacco control: an evaluation of the effect of nations meeting the highest level MPOWER measures between 2007 and 2014 」で、下記URLで概要を読むことができます。
「概要」では情報量が多くありません。下記なら(無料で)もう少し詳しい情報を知ることができます。
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|2017年1月6日 金曜日
2017年1月6日 合成大麻が生んだ「ゾンビ」がNYで集団発生
ゾンビがニューヨークでアウトブレイク! 原因は合成大麻!
このようなタイトルの論文が医学誌『The New England Journal of Medicine』2016年12月14日号(オンライン版)に掲載されました(注1)。
2016年7月12日、ニューヨーク市ブルックリン地区で33人が合成大麻で精神に異常をきたし、うち18人が救急搬送されました。これを報道した地元のメディアは33人を「ゾンビ」と表現しました。
米国カリフォルニア大学の研究者が、この「ゾンビ」の原因物質が「AMB-FUBINACA」であることを突き止めました。論文によれば、この物質は「AB-FUBINACA」の類似物(エステル化アナログ)で、AB-FUBINACAはファイザー製薬が研究用に開発した大麻に似た物質です。同社の特許(patent)が2009年に切れ、特許情報が公開されたことから裏社会で開発されることになったのでしょう。裏社会でつくられたAB-FUBINACAはデザイナーズ・ドラッグとして世界中に流通するようになりました。世界で初めて使用者からAB-FUBINACAが検出されたのは2012年で、これは日本です。
AMB-FUBINACAの作用は大麻の嗜好性の成分であるTHC(テトラヒドロカンナビノール)のなんと85倍だそうです。合成大麻といえば、ヨーロッパのSpiceや米国のK2がよく知られていますが、AMB-FUBINACAはこれらの50倍もの作用があるそうです。
救急搬送された18人の年齢は25~59歳(平均36.8歳)で全員が男性。論文によれば、搬送された男性は、ぼんやりした目つき(blank stare)で、手足の動きが緩慢で機械的、そしてゾンビのようなうめき声を上げていたそうです。
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少し解説を加えます。まず、大麻(マリファナ、ハシシ、ガンジャなど呼び方は多数あります)とは、麻の花または葉から精製されたもので嗜好性があります。日本では覚醒剤や麻薬と同じように報道されることがあり同類のものと思われがちですが、こういった違法薬物とはまったく異なります。大麻は医薬品としても使われており、医療用大麻は世界の多くの地域で合法です。嗜好用大麻も米国の8州(+ワシントンD.C.)を含む世界の多くで合法化されており、今後他の地域や国にも広がるとみられています。(ただし私自身は大麻合法化に賛成しているわけではありません。詳細は下記(注2)を参照ください)
大麻は多くの化学物質から構成されていますが重要な成分はCBD(カンナビジオール)とTHCです。CBDは医療用として用いられ、これには嗜好性がありません。THCに嗜好性があるために、通常の大麻を使用すれば身体が弛緩し恍惚感が得られます。今回「ゾンビ」を生み出したAMB-FUBINACAはそのTHCの85倍とのことですから、救急搬送されるのも無理はありません。
特許が切れれば内容を公開しなければならないのは規則ですが、その規則のせいで合成大麻が出回っているということを考えなければなりません。
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注1:正確なタイトルは「”Zombie” Outbreak Caused by the Synthetic Cannabinoid AMB-FUBINACA in New York」、直訳すれば「ニューヨークで合成大麻AMB-FUBINACAが原因で”ゾンビ”がアウトブレイク」)です。下記URLで概要を読むことができます。
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1610300#t=abstract
注2:下記を参照ください。
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|2017年1月5日 木曜日
開業11年目に向けて(2017年1月)
太融寺町谷口医院はオープン以来丸々10年が経過しました。この10年間に医療情勢は様々な変化を遂げましたが、谷口医院の基本的なビジョンやミッションは変わるところがありません。それを下記にまとめました。
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|2017年1月5日 木曜日
2017年1月 10年たっても変わらないこと
2007年1月に大阪市北区でオープンした太融寺町谷口医院(以後「谷口医院」)は、2016年12月で丸10年がたち、今月から11年目に突入ということになります。10年というのはひとつの区切りになりますから、今回は、谷口医院はどのような変化をたどったかについて振り返ってみたいと思います。
政治、経済、国際情勢、どれをとってもこの10年間で大きく歴史が動きました。また、東日本大震災をはじめとする自然災害、さらに原発の問題もクローズアップされ、新たな観点から生命について考え直したという人もいるでしょう。医療界では、高価な新薬の登場、ロボット手術の普及、iPS細胞の実用化など、前世紀には考えられなかったようなことが起こっています。
では谷口医院では何が変わったかというと、基本的には何も変わっていません。もちろん、新しい薬が登場すれば必要に応じて処方していますし、新しい検査も必要あればおこないます。スギ花粉やダニの舌下免疫療法といった新しい治療法については積極的に推奨することもあります。
ですが、基本的なビジョンやミッションは10年間でまったくといいほど変わっていません。具体的に述べていきます。
〇どのような疾患にも対応する
私が医学生や研修医の頃、「それはうちでは診られません」「うちではなくよそに行ってください」といったことを医師が患者さんに言うのを聞いてやるせない気持ちになったことが何度もありました。このようなことを言われて困っている患者さんはどうすればいいのでしょうか。
こういった場合は、「その症状なら〇〇病院の△△科がいいと思います。紹介状を書きますね」とか、「その程度なら大病院を受診する必要はありませんから、紹介状なしで近くの◇◇科を受診してください」とか、あるいは「今は心配する必要はありません。その症状が続いたり不安が強くなったりするなら目安として1か月後に受診してください」とか、そういった助言をすべきです。医療者はドクターショッピングをおこなう患者を嫌がりますが、医療者自らがドクターショッパーを生み出しているんじゃないのか、というのが私がかねてから感じていたことです。ならば自分自身がそういった患者さんを困らせないようにしようと考えたのです。
もちろん、ありとあらゆる疾患が谷口医院でスッキリ解決というわけにはいきません。だいたい95%の患者さんは谷口医院で治療をおこない、残りの5%はより適切な医療機関を紹介しています(注5)。他のクリニックに比べて紹介状を作成する率は高いと思います。
〇どのような患者さんにも対応する
これは私が医学生の頃から感じていたことで、タイのエイズ施設でボランティアをしたときにさらに強力になりました。トランスジェンダーという理由で病院でイヤな思いをした、思い切って同性愛者であることを医師にカムアウトすると「そんな”趣味”はやめなさい」と言われた、過去に違法薬物の経験があることを伝えると医師の態度が豹変した(現在はやめているのに…)、HIV陽性であることを伝えると「うちではみられない」と言われた(今日来たのは単なるかぶれなのに…)。こんな話がとてもたくさんあります。また、外国人だから診てもらえなかった、という訴えも少なくありません。異国の地に来て困っている人がいるなら、多少言葉の障壁があっても診察すべきではないのか…。私はそう思います。
谷口医院のミッション・ステイトメントの第3条は「年齢・性別(sex,gender)・国籍・宗教・職業などに関わらず全ての受診者に対し平等に接する」で、10年間まったく変わっていません。医療は全ての人に平等でなければならないのです。
〇医療機関受診は最小限にしてもらう
先の2つに一見矛盾するように感じられるかもしれませんが、これは重要なことです。谷口医院では「どのような人」が「どのような疾患」で受診されても診察しますが、同時に、受診は最小限にすべきということを日々訴え続けています。ほとんどの病気は予防が最も大切であり、受診しなくてもいいように日ごろからセルフ・ケア(注1)、薬が必要な場合はセルフ・メディケーションに努めるべきです。この方針も10年間変わっていません。
なぜ受診を最小限にすべきかにはいろんな理由があります。まず受診すればある程度の時間とお金がかかります。貴重な時間とお金を医療機関受診に費やすのはもったいないことです。次に、受診したがために待合室で風邪をうつされる、といったリスクもあります。診療所を受診して余計に不健康になるなど笑い話にもなりません。
しかし健康上のことで困ったことがあれば医療機関受診が望ましいことももちろん多々あります。受診すべきか否か、それを迷ったときにどうすべきか…。谷口医院に長年通院している患者さんはメールで質問されます。もちろん緊急性・重症性が高いときには直ちに受診すべきですが、メールだけで解決することもよくあります。それに、メールは何度でも無料です。誰からも承っており、長年通院している人でなくても、一度も受診したことがない人からも届きますし、受診を前提としたものではありませんから、遠方から(文字通り、北は北海道から南は沖縄まで)毎日のように送られてきます。これら全てに返答するのはそれなりに大変なのですが、一種のノブレス・オブリージュと考えて全例に回答しています。
〇薬や検査は最小限にする。choosing wiselyを考える。
choosing wiselyという言葉は比較的新しいものですが、その基本コンセプトである「薬や検査は最小限」は過去10年(というよりも私が医師になってからずっと)不変です。薬はいつも副作用を考慮すべきですし、検査も無害ではありません。被爆や痛みが伴うこともあるからです。
過去10年間で特に減らすことにつとめた薬は「抗菌薬」「鎮痛剤」「ベンゾジアゼピン系」です。抗菌薬を最小限にすべきことはこのサイトだけでなく毎日新聞の「医療プレミア」でも繰り返し取り上げています(注2)。鎮痛剤についてはその依存性や薬物乱用頭痛について何度も注意してきました(注3)。ベンゾジアゼピン系の睡眠薬や抗不安薬を使っている患者さんは今も大勢いますが、当院を受診するようになってからは大幅に減らすことができたという人は少なくありません(注4)。今後、これらの薬についてはさらに減らすよう努めていきます。
また、生活習慣病の薬やアレルギー疾患の薬も、習慣の見直しや環境の改善で大きく減らす、あるいは薬をやめることも可能です。血圧の薬をやめられた、ステロイド外用をゼロにできた、喘息の吸入薬の使用頻度を大きく減らせた…。そういう患者さんをこれからももっと増やしていく予定です。
〇我々自身が成長する
基本的なビジョンやミッションは変わりませんが、患者さんから学ぶことは毎日ありますし、新しい薬や検査についても勉強しなければなりません。なかなか診断がつかなかったケース、治療に予想以上に時間がかかった症例などからは学ぶべきことが豊富にあります。また「学び成長する」のは医師だけではありません。看護師ももちろんそうですし、受付・事務のスタッフも患者さんとの対応のなかで学び、成長し、貢献できることがたくさんあります。我々は成長し続けなければならいという姿勢もこの10年間で変わっていません。
以上、簡単に「10年たってもかわらないこと」を述べてきました。そして、これはまず間違いなく次の10年も変わらないことなのです。
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注1:生活習慣病の予防には「3つのEnjoy, 3つのStop, 4つのDataに注意して」と覚えてもらうようにしています。詳しくは下記を参照ください。
はやりの病気第152回(2016年4月)「大腸がん予防の「6つの習慣」とアスピリン」
注2:例えば下記が相当します。
毎日新聞「医療プレミア」「薬剤耐性菌を生む意外な三つの現場」(2016年9月4日)
注3:鎮痛剤の危険性については下記を参照ください。
はやりの病気第96回(2011年8月)「放っておいてはいけない頭痛」
注4:ベンゾジアゼピン系の危険性については下記を参照ください。
メディカルエッセイ第164回(2016年10月)「セルフ・メディケーションのすすめ~ベンゾジアゼピン系をやめる~」
注5(2019年4月11日追記):きちんとデータをとってみました。2018年1年間での総受診者数が15,080人、入院・手術・専門医の診察が必要で紹介したのがそのうち137人で、「真の紹介率」は0.9%となります。本文で述べた「5%」というのは「当院受診までに他の医療機関を受診していて診断がついていなかった症例のうち、当院から専門医を紹介した症例がどれくらいあるか」という数字(しかも私の印象だけです)です。
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