2013年8月3日 土曜日
2008年4月29日(火) 新型インフルエンザ対策法が成立
大流行すれば国内で最大64万人の死亡が予想される新型インフルエンザへの対策法案が参議院厚生労働委員会で可決され成立する見通しとなりました。
この新しい法律では、新型インフルエンザを、エボラ出血熱やペストなどと同様の「1類感染症」に分類し、感染者の強制入院や検疫措置などが取れるようにしています。
症状がなくても感染が確定すれば、発症者と同じような扱いを受けることになりますし、感染の可能性がある人(機内で感染者の近くに座ったなど)が入国する際は、空港近くの医療機関やホテルで「隔離」されることになります。
また、鳥インフルエンザ(H5N1型)については、1類感染症に次いで重要な「2類感染症」に指定され、感染者の入院措置などがとれるようになっています。
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新型インフルエンザが発生すれば、ほとんどの人が免疫をもたないため短期間に世界的規模で大流行する恐れがあります。現在、ワクチンや治療薬について議論が重ねられていますので、追って紹介していきたいと思います。
(谷口恭)
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|2013年8月3日 土曜日
2008年4月29日(火) フィリピン、外国人の腎移植が禁止に
以前、日本人がフィリピンで腎移植をしているということをお伝えしましたが(メディカルエッセィ第46回「臓器売買の医師の責任(後半)」、このことは国内外で以前から問題視されていました。
4月28日の毎日新聞によりますと、フィリピン保健省が外国人への腎移植を全面的に禁止する意向を検討していることが明らかとなりました。
フィリピン保健省は今年の3月、「臓器の売買は禁じるが、提供者(ドナー)に寄付金を払えば外国人への移植が可能」との省令を発表していましたが、寄付金による臓器提供も禁じる方針に転換したというわけです。
フィリピンではこれまで臓器売買を違法とする規定がなく、貧困層が現金収入を得るため腎臓を「売る」行為が広く行われてきたという現実があります。腎移植は年間600件以上にのぼると推定されています。
また、日本の厚生労働省研究班の2006年の調査によりますと、海外で過去に腎移植を受けた日本人198人のうち、30人がフィリピンで移植を受けているそうです。フィリピン以外では、インド、パキスタン、中国などでも日本人が臓器の提供を受けています。
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中国では昨年、臓器売買を禁じるとともに外国人への移植も禁止しています。(実際は依然おこなわれているという噂もありますが・・・)
臓器移植に関する議論は大変複雑で、単純に良し悪しを語ることはできません。貧困層から臓器を買うようなことは倫理的に許されませんが、米国のように献血でお金をもらえる国もあり、一定の規定を設けるのはやさしいことではありません。
(谷口恭)
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|2013年8月3日 土曜日
2008年5月6日(火) 中高年男性の半数がメタボ、糖尿病も急増
厚生労働省が4月30日に公表した「2006年国民健康・栄養調査」によりますと、40から74歳のメタボリック症候群の該当者とその予備軍の推計人数は合計約1,940万人で、これは、男性の2人に1人、女性の5人に1人に上ることが分かりました。
少し詳しくみてみると、メタボリック症候群の該当者は約960万人で、男性全体の24.4%、女性の12.1%に相当します。予備軍は約980万人で、男性の27.1%、女性の8.2%にあたります。
メタボリック症候群の診断基準はよく議論になりますが、今回厚労省が採用している診断基準は、腹囲が男性85センチ以上、女性90センチ以上で、高血圧、高脂血、高血糖の2つ以上に当てはまるとメタボリック症候群の該当者、1つの場合は予備軍としています。
また、成人の糖尿病患者と予備軍の総人数は2006年時点で約1,870万人に上ると推計されます。
男性が880万人、女性は990万人で、5.6人に1人の計算となります。2002年の前回調査より250万人(15.4%)の増加で、このうち女性が200万人と大半を占めています。(糖尿病は男性よりも女性で急速にすすんでいるということになります) 尚、1997年の調査では約1,370万人となっています。
この調査は2006年11月、全国の約3,600世帯を無作為に抽出し、4,296人の血液検査結果や調査票への回答を基に、成人全体の推計値を算出しています。
血液中のHbA1Cが6.1%以上を「糖尿病が強く疑われる人」とし約820万人、5.6%以上6.1%未満を「糖尿病の可能性を否定できない人」(予備軍)として約1,050万人となっています。
年代別の人口に占める割合は70歳以上が34.8%(男性35.4%、女性34.3%)と最多で、若い世代ほど少なくなっています。60代では29.0%、50代は23.0%、40代が13.6%、30代は4.1%、20代が1.1%です。2002年時に比べ、40代男性が6.2%増加、50代女性が5.5%増加、70歳以上の女性も6.0%増加となり中高年の増加が目立っています。
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メタボリック症候群が1,940万人、糖尿病が1,870万人ということは、メタボリック症候群と診断される人の大半が糖尿病のハイリスクグループということになります。
自覚症状の乏しいまま進行する糖尿病の成れの果ては、失明、人工透析、足の切断・・・、と人間らしい生活を奪うものばかりです。
2人に1人がメタボなどと聞くと、誰もが他人事ではなくなるでしょう。食事や運動に無頓着の私自身が怖くなってきました・・・
(谷口恭)
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|2013年8月3日 土曜日
2008年5月19日(月) 日本紅斑熱に注意
ダニなどの虫刺されでクリニックを受診する患者さんは少なくありませんが、虫刺されに発熱が伴うと要注意です。ダニに寄生するウイルスや細菌が人間の体内に侵入した可能性があるからです。
近年、日本紅斑熱と呼ばれる、ダニに刺された後、皮疹と発熱がでてくる感染症が増えています。
日本紅斑熱は1984年に徳島県で初めて確認され、1999年に保健所への届出が必要な感染症に指定されました。2007年は全国で前年の2倍で過去最高の98件の届出がなされています。
この日本紅斑熱が和歌山県で増えているようで、2007年までに38人が確認されているそうです。なぜか海岸から10キロ以内の地域に集中しており、なかには死亡例もあるといいます。(報道は5月3日の毎日新聞)
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ダニが媒介する感染症は、日本紅斑熱の他にも、恙虫(ツツガムシ)病や、ライム病などもあります。虫刺されに加えて、発熱、倦怠感などが出現したときは、迷わずに医療機関を受診するようにしましょう。
(谷口恭)
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|2013年8月2日 金曜日
8/2 メンソール系のタバコが規制される可能性
2013年7月23日、FDA(米国食品医薬品局)は、メンソール系のタバコは非メンソール系のタバコに比べて依存性が高いことを報告し、将来的には販売中止も視野に入れた規制をおこなうことを検討すると発表しました(注1)。
FDAによれば、ミントの香りのするメンソール系のタバコには爽快感・清涼感があり、非メンソール系のタバコに比べるとタバコの不快感が減少するそうです。そして、非メンソール系のタバコに比べて、依存性がより強くなることを指摘しています。
FDAによれば、現在米国では死因の約5分の1がタバコによるもので、全喫煙者の3分の1に相当する2,000万人以上がメンソール系のタバコを吸っているそうです。若者だけに限れば4割以上がメンソール系だそうです。人種別のデータでは、アフリカ系の喫煙者の85.6%、他の人種では、ヒスパニック系37.7%、アジア系33.3%、白人26.9%がメンソール系のタバコを吸っているそうです。
FDAは、今後意見募集をおこない、将来的には販売の規制を検討するようです。
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以前別のところ(下記コラム参照)で述べましたが、私自身はおよそ20年間メンソール系のタバコの愛好家でした。周囲が次々と禁煙に成功していくなかで、私は何十回と禁煙失敗を繰り返し自己嫌悪に陥るほどでした。そんななか、メンソール系のタバコは禁煙しにくいという論文をみつけ(下記コラムの注釈で紹介しています)、長年の自分の経験と合致していることを実感しました。
おそらくメンソール系のタバコが非メンソール系のものより依存性が高いことはこれから次々と実証されていくでしょう。依存性が高いのであれば、現在FDAが検討しているように規制(もしくは販売中止)を検討すべきです。(ちなみに、私は、禁煙して5年以上が経過しますが、今でもメンソール系タバコの”さわやかな夏”を連想させるあの<清涼感>がときどき脳内によみがえり無性に吸いたくなることがあります)
しかし、私を含めてメンソール系の元愛煙者で禁煙に成功している人もいくらでもいます。もしもあなたがメンソール系に依存しているなら、時間がかかったとしても必ず断ち切れますから諦めないで禁煙に取り組みましょう。
(谷口恭)
注1:FDAのニュースリリースのタイトルは「FDA invites public input on menthol in cigarettes」で、下記のURLで読むことができます。
http://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/ucm361966.htm
参考:はやりの病気
第66回(2009年2月)「メンソールの幻想と私の禁煙」
第32回(2006年5月)「そろそろ本格的な禁煙を!① 」
第33回(2006年6月)「そろそろ本格的な禁煙を!② 」
第34回(2006年6月)「そろそろ本格的な禁煙を!③(最終回)」
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