2013年6月22日 土曜日

2007年3月9日(金) タイ、子宮けい癌のワクチンが5月から接種可能に

米国、英国、オーストラリアなど、先進国では昨年から子宮けい癌のワクチンが認可されています。

 先進国かどうかは別にして、タイでも5月から子宮けい癌のワクチンが接種できることになりそうです。

 3月8日のThe Nation(タイの英字新聞)によりますと、国立シリラート病院で7日に開かれた会議で、保健省食品・医薬品委員会(FDA)の子宮けい癌ワクチン検討部会のメンバー、チャイヨット(Chaiyod Thirapakawong)助教授が、FDAが同ワクチンを5月までに認可する見通しであることを発表しました。

 現在、タイFDAでは2種類のワクチン(おそらくメルク社の「ガーダシル」とグラクソスミスクライン社の「サーバリックス」)の認可が検討されています。

 タイでは年間約6,200人に子宮けい癌が見つかっており、その半数が死亡しています。

 ワクチンは約1万2000バーツ(約3万8千円)(*1)とかなりの高額ですが、チョイヤット助教授によりますと、国からの補助は期待できないそうです。

 同助教授は言います。

 「私の経験から言って、この国では政府が予防医療に巨額の予算を投じるとは思えない。しかし、この病気の蔓延は国の重荷になるであろう・・・」

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 オーストラリアでは、来月から12歳から26歳の女性であれば、誰もがこのワクチンを無料で接種することができます。米国や英国でもいずれ国の負担で若年者の男女全員に接種できるような方向で検討がおこなわれています。

 タイ国の平均年収を考えると(地域にもよりますが、例えば東北地方(イサーン地方)ではひとりあたりの年間GDPが10万円以下です)、この高額なワクチンが普及するのはむつかしいと言えるでしょう。

 しかしながら、はしかやB型肝炎ワクチンの接種率が極めて低い日本では、現在このワクチンの臨床試験(治験)が進められてはいるものの、認可は早くても2009年頃になる見通しですし、無料化の案も出ていませんから、予防医学の領域においては、日本は先進国とは言えない状況です。

注1:The Nationの記事ではワクチンは12,000バーツとなっていますが、これは安すぎるように思われます。このワクチンは合計3回接種する必要があり、合計で10万円以上になるはずですから、12,000バーツは1回あたりの費用だと推測されます。

参考:子宮けい癌
    「米国、若い女性の3分の1がHPVに感染」

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2007年3月6日(火) HIVを他人にもっともうつしやすいのは感染初期

HIVはまだ抗体検査で陽性と出ない感染初期が最も他人に感染させやすい・・・

 「Journal of Infectious Disease」という医学誌にカナダの研究者がこのような発表をおこないました(報道は3月5日のロイター通信)。

 研究者は、ウイルスの遺伝子解析をおこない、どのような経路で感染したかを調べた結果、49%の人が「感染してまもない」人から、(性行為などで)感染していることがわかりました。「感染してまもない」というのは、通常の抗体検査では検出されない時期(感染して2~3ヶ月以内)のことです。

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 以前より、感染初期はウイルスが急激に増殖してウイルス量が多くなるため、この時期が最も他人に感染させやすいのではないかと言われていましたが、今回の研究でその事実が検証されたというわけです。

 最近は、「抗体検査陰性でNAT検査陽性」という症例が増加しています。気になる人は抗体検査だけでなくNAT検査も受けるようにしましょう。

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2007年3月6日(火) はしか・風しん混合ワクチンの2回目接種率わずか30%

以前にもお伝えしましたが、日本の予防接種率は諸外国に比べて極めて低いという特徴があります。インフルエンザもそうですし、B型肝炎ウイルスについては”驚異的に”低いといえます。また、いまや先進国ではほとんどみられないはしか(麻疹)にいたっては諸外国から「日本ははしかの輸出国」と揶揄されているくらいです。

 2006年6月から予防接種の方針が変わり、はしか・風しんの混合ワクチン(MRワクチン)の2回接種が始まりました。新しい方法では、1回目を1歳時、2回目を小学校入学までの1年間に受けることになっています。

 ところが、2回目の接種率がわずか30%であることが、国立感染研究所の全国調査で分かりました。今年ははしかの流行が懸念されていることもあり、同研究所は「入学式まであと1ヶ月。無料で受けられる3月31日までに接種を」、と呼びかけています。(報道は3月5日の毎日新聞)

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 はしか・風しんのワクチンは従来は1度でしたが、1回の接種では免疫がつかない子供もいますし、接種から数年がたてば免疫力が落ち発症する人もいます。従来から他先進国では2回接種が一般的でしたから、日本も世界水準に合わせてようやく昨年から2回接種になったという経緯があります。

 WHOによりますと、はしかによる全世界の死者は2005年に34万5千人で、WHOは日本を含む西太平洋地区で2012年までの「排除」を目指しています。日本は1歳児のはしか単独ワクチン接種率が2000年にはわずか45%でした。

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2007年3月5日(月) ビタミンCは白内障を予防する

ビタミンCを多く摂る人は、摂取量の少ない人に比べて老人性白内障にかかりにくい。

 厚生労働省の研究班がこのような疫学調査を2月27日に発表しました。(報道は同日の共同通信)

 研究班は、岩手・秋田・長野・沖縄の4県で、45歳から64歳の男女約35,000人を1995年から5年間追跡しました。白内障にかかった767人の食生活と、かからなかった人の食生活を調べたところ、ビタミンCを日本人の平均的な摂取量(1日110-120ミリグラム)の2倍近く摂る人は、半分程度しか摂らない人に比べ、男性で35%、女性で41%、白内障にかかりにくいことが判りました。手術が必要なほど重症化する危険度は、男女とも30%以上低くなっていました。

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 同様の研究は海外でも報告があり、ビタミンCの白内障に対する予防効果は確立されつつあるといえます。

 ビタミンEやベータカロチン、コエンザイムQ10などは、健康を促進するどころか、かえって病気になりやすいという研究や副作用の報告が少なくありませんが、ビタミンCについては、軽度の下痢や嘔気などを除けば有害性についてほとんど聞いたことがありません。

 風邪の予防やコラーゲン産生促進、また美白効果など、いいことづくしのビタミンCです。度を越さなければ積極的に摂取すべきでしょう。

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2007年3月5日(月) 花粉症の健康食品で意識不明

2月27日の共同通信によりますと、和歌山県の40代の女性が花粉症に効くと宣伝されている健康食品を服用し、意識不明となりました。

 この女性は昨年から花粉症の治療目的で、この健康食品を内服しており、その副作用で呼吸困難、さらに気道が閉塞し呼吸不全となり意識が消失したようです。現在は快方に向かっているとのことです。

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 最近、健康食品の被害が相次いでおり、なかには死亡例もありますから、”たかが健康食品”と軽く考えずに、どのような健康食品・サプリメントでも服用前にはかかりつけ医に相談するようにしましょう。

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2007年3月3日(土) 柳沢厚労大臣が「転落死とタミフルは関係なし」と発表

タミフル服用後の転落死が相次ぎましたが、3月1日、柳沢厚労大臣は衆院予算委員会で「タミフルの安全性に重大な懸念があるとは考えていない」と述べました。(報道は3月2日の共同通信)

 しかしながら、厚生労働省は、2月28日、医療関係者に文書でタミフルの注意を呼びかけています。その内容は、(1)異常行動の恐れがある、(2)少なくとも2日間は小児や未成年者を1人にしない、の2点です。

参考:「またもやタミフル服用後に転落死」 2月28日
    「14歳少女の転落死はタミフルが原因か」 2月20日

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2007年3月3日(土) 米国、若い女性の3分の1がHPVに感染

米国では、14-24歳の女性の約3分の1に相当する約750万人がHPV(ヒトパピローマウイルス)に感染していることを2月28日のワシントンポストが報道しました(日本での報道は3月1日の共同通信)

 HPVは子宮けい癌の原因となるウイルスで、60歳未満の女性全体でも約4分の1が感染しており、専門家たちは従来考えられていたより割合が高く、米国で最も広がった性感染症と考えています。

 子宮けい癌は毎年世界中のおよそ30万人の女性の命を奪っています。米国では約4千人、日本でも2千人の女性がこの癌の犠牲となっています。

 HPVはこのようにやっかいな性感染症ですが、大変有効なワクチンが開発され期待がもたれています。HPVのワクチンは、メルク社の「ガーダシル」とグラクソ・スミスクラインの「サーバリックス」があり、「ガーダシル」は昨年から英国、米国、オーストラリアなどで使用が開始されています。

 オーストラリアでは来月から12歳から26歳の女性であれば無料で「ガーダシル」のワクチンが接種できるようになりますし、米国テキサス州でも少女たちへのワクチン接種が義務化される見通しです。

 日本では現在「ガーダシル」「サーバリックス」とも臨床試験中で、現在約2千人の女性を対象に安全性と有効性が調べられています。ただ、日本の市場に登場するのは早くても2009年頃とみられています。

 日本でもこれらワクチンが承認されれば、おそらく接種が望ましいとされるのは、まだ性交渉を開始する前の年齢層であろうと考えられています。それ以降の年齢の女性は、年齢にもよりますが、年に一度程度の検診を受けるのが望ましいといえるでしょう。

参考:子宮けい癌

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2007年2月28日(水) またもやタミフル服用後に転落死

2月27日の毎日新聞によりますと、27日午前1時20分頃、仙台のマンションの11階から14歳の男子生徒が転落し死亡しました。生徒は前日の朝と夕方にタミフルを1錠ずつ内服しており、転落との関連が疑われています。

 タミフル服用後の転落死は、今月16日、愛知県の14歳の女子生徒にも起こっています。

 27日の共同通信によりますと、現在厚生労働省はタミフルと転落死の因果関係を認めていませんが、これまでタミフル服用後の異常行動で16歳以下の子供が死亡した例は、今月の2例を含めると少なくとも18件の報告があります。

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 赤ちゃんや高齢者などを除けば、タミフルは必ずしも服用しなくてもいいケースの方が多いと思われます。すてらめいとクリニックでもタミフルを処方していますが、インフルエンザの薬剤には吸入薬の「リレンザ」もありますし、休養と解熱薬(熱さまし)だけで様子をみられるケースも多々あります。

参考:14歳少女の転落死はタミフルが原因か 2007年2月20日

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2007年2月24日(土) 出生率が大幅回復へ!

2006年に生まれた赤ちゃんの数が、前年より約32,000増の112万2,278人になることが厚生労働省の人口動態統計の速報で明らかとなりました。(報道は2月21日の共同通信)

 合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子供の人数)は、2005年には過去最低の1.26となりましたが、2006年のものは1.3台になる可能性が強く、合計特殊出生率が上昇するのは2000年以来の6年ぶりということになります。

 また、出生数から死亡数を引いた人口の自然増加数も2万6,885人増となり、2年ぶりに自然増となりました。

 この結果に対し、厚労省は、「景気回復に伴い雇用が安定したことが結婚や出産の増加につながった」としています。ただ、長期的には人口減少が続く見通しで、「上向きや横ばいがあっても一時的」とみる向きもあります。尚、合計特殊出生率が2.08を下回ると、総人口が減少に向かうと考えられています。

 速報値によると、2006年は婚姻も前年より1万7,850組増の74万8,017組。出生数が前年より3万人以上増加したのは、約5万人増だった94年以来となります。厚労省は出生数の伸び率(2.9%)などから、合計特殊出生率が前年と比べ0.04程度は回復すると見込んでいるようです。

 一方、死亡数は大幅に増加した05年と比べて、06年は微増にとどまっています。速報値には外国人などが含まれていますが、日本に住む日本人に限った人口の自然増加数も、06年は約8000人増と2年ぶりにプラスになる見通しです。

 厚労省は数値を精査した上で、06年の合計特殊出生率を6月上旬に発表する予定です。

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2007年2月24日(土) 北朝鮮ではしか3千人、4人が死亡

2月21日の共同通信によりますと、国際赤十字社は、現在北朝鮮ではしか(麻疹)が流行しており、これまで約3,000人が感染し、そのうち4人が死亡したことを発表しました。

 今回の流行は、昨年11月に北部の両江道で発生したとみられ、当初は風疹(ふうしん)と診断されていましたが、今月15日になってはしかと判ったそうです。

 現在は北朝鮮の全域に拡大し、保健当局は同連盟など国際機関に500万人分のワクチンの支援を求めたようです。

 北朝鮮のはしかは1992年に根絶したとされ、実際、最近は発症例がなかったそうです。

 また、同国では今年1月初旬から、しょうこう熱や腸チフスなどの感染症が流行しているとの情報もあります。

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 はしかは世界全体でみれば大きく減少していますが、それはワクチンが普及したからです。おそらく、北朝鮮でははしかのワクチン接種を徹底していなかったのでしょう。しかし、日本でもはしかのワクチンを接種していない子供は少なくなく、これは先進国のなかでは例外的なことです。はしかは稀ではありますが命にかかわることもある感染症ですから、ワクチン接種をお忘れなく・・・。

参考:「世界のはしかの死者、6年間で6割減少」2007年1月23日

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