骨折/骨粗鬆症を防ぐ

参考:
はやりの病気
第244回(2023年12月) なぜ「骨」への関心は低いのか
医療ニュース
2021年3月31日 ステロイドは塗り薬でも骨粗しょう症のリスク増大
2018年4月6日 胃薬PPIは短期使用でも骨粗しょう症のリスク


その人の身長・体重、飲酒歴、喫煙歴、薬の使用歴(特にステロイド)、関節リウマチの有無などにもよりますが、男性は50歳くらいから、女性は45歳くらいから、自身の骨量を意識して骨折/骨粗鬆症を防ぐ対策をとらねばなりません。

「骨を強くする」ためにすべきことには今も誤解が多く、いまだにビタミンDやカルシウムを摂取している人がいますが、これは完全に誤りです。

検査

定期的に骨量を計測することを勧めます。2~3日で結果がでます。

骨折/骨粗鬆症予防の非薬物療法

「運動」にほかなりません。単なる有酸素運動ではなく、筋肉を増やすことで予防効果が期待できます。「やせていること」は骨折/骨粗鬆症の最大の危険因子です。

骨折/骨粗鬆症予防の薬

女性ホルモン製剤(エストロゲン):ウェールナラ(内服)、その他貼付薬
閉経前後の女性に極めて有効です。ただし、血栓のリスクがあり、喫煙者、肥満者、脳血管疾患の既往がある場合は使用できません。また、乳がんの既往がある場合もNGとなります。また10年以上の使用は慎重にすべきです。

SERM:塩酸ラロキシフェン、バゼドキシフェン酢酸塩
乳がんの既往があり、女性ホルモン剤が使えない女性に対して使用できることがあります。ただし、喫煙者、肥満者、脳血管疾患の既往がある場合は使用できません。

デノスマブ(抗ランクル抗体薬):プラリア
6ヵ月に1回の皮下注射です。薬価は24,939円(3割負担で約7,500円)です。

ロモソズマブ(骨形成促進薬):イベニティ
最も強力な骨粗鬆症の薬といえます。他の薬で効果がふじゅうぶんなときに検討します。過去に虚血性心疾患や脳梗塞を起こしたことがある人には原則として使えません。皮下注射で、月に1回、合計12回注射します。薬価は1本25,061円(3割負担で約7,500円)です。

テリパラチド(副甲状腺ホルモン):フォルテオ、テリボン
骨形成促進薬の1つです。自分で注射するタイプと、週1回医療機関で注射するタイプがあります。いずれも最大24ヶ月使用できます。フォルテオは1日1回自己注射で、薬価は約26,694円(3割負担で約8,000円)、テリボンは週1回(医療機関で注射)または週2回(自己注射)で、薬価は24,000円から38,000円(3割負担で7,200円から11,400円程度です)。

・アバロパラチド(副甲状腺ホルモン関連蛋白):オスタバロ
骨形成促進薬の1つです。骨形成作用が強力で、特に腰の骨の骨折予防に有効です。1日1回皮下注射、最大18ヶ月使用できます。薬価は4週間で約64,360円(3割負担で約19,300円)です。

・活性型ビタミンD3製剤:8~9割の日本人がビタミンDが不足しているのは事実ですが、ビタミンDや活性型ビタミンDを摂取したとしても骨折/骨粗鬆症が予防できるわけではありません。

・カルシウム製剤:単独では効果はほとんど期待できませんが補助的に使うことはあります。

・ビスフォスフォネート製剤:アレンドロン酸、リセドロン酸など(後発品多数)
内服薬に加え注射剤もあります。服用の仕方として4週間に1回、1週間に1回、1日に1回などがあります。この薬は「長期では使用できない」、「抜歯などの歯科治療が困難になる」などの欠点があるため最近はあまり選ばれなくなってきています。

カルシトニン製剤(注射薬):エルシトニン
骨粗しょう症に伴う背中や腰の痛みが強い場合に用いることがありますが、効果はマイルドで補助的な薬です。

・ビタミンK2製剤:現在も使うことがありますが、基本は「食事からの摂取」です。

リスク評価

FRAXと呼ばれる骨折リスク評価ツールを使います。

 

2024年6月30日改訂