ピル・緊急避妊・月経移動、更年期障害について

◇緊急避妊について◇


★保険適用のピル(LEP)について

現在当院で処方量の多い保険適用のピル(LEP)は次の3種です。
(価格はいずれも3割負担の場合 。診察代、処方せん発行代、薬局での諸費用は別途要)

〇低用量ピル
・フリウェルLD(21錠): 470円/枚 
・ジェミーナ(21錠): 1,770円/枚

・ジェミーナ(28錠): 2,370円/枚(注意3参照) 

〇超低用量ピル
・ヤーズフレックス(28錠): 2,350円/枚(注意4参照)
・ドロエチ(28錠):740円/枚
・フリウェルULD(21錠): 450円/枚(注意5参照)

注意1:保険で処方できるのは「月経困難症」がある場合のみです

注意2:初回処方は1枚のみ(他院からの引き継ぎの場合を除く)、2回目以降は2~3枚まで処方可能です

注意3:最大77日間連続で飲むことができます

注意4:ヤーズフレックスは連続して最長120日まで内服することができます。出血が1~2日であればそのまま服用を継続して問題ありません。 飲み始めてから25日目以降に3日連続で出血した場合は4日間休薬してください。出血を旅行などイベントの前に起こさせたい場合は、イベントの10日前から4日間服薬を中止しその後再開するのが一般的な方法です。詳しくは診察時にお尋ねください。

注意5:フリウェルULDについては充分な避妊効果はないとお考えください。一般に、きちんと内服していても妊娠してしまう程度は「パール指数」という数値で表されます。各OC(LEP)のパール指数は、フリウェルULD2.98、ヤーズフレックス0.80、トリキュラー/アンジュ0.22、フリウェルLD0.19、マーベロン0.09です(OC/LEPガイドライン2015年版より)。

参考:各避妊法の効果(米国CDCのウェブサイトより)



〇月経周期のしくみ



〇低用量ピル

 ・低用量ピルとは
 ・ピルの作用
 ・ピルの副効果
 ・ピルが飲めない場合
 ・ピルの副作用
 ・ピルの種類
 ・ピルの飲み方
 ・飲み忘れたときの対処
 ・注意事項
 ・ Q&A


〇月経移動について


〇更年期障害

月経周期のしくみ

月経周期とは、月経(生理) 開始日から次の月経(生理)が始まる前日までのことです。
自身の月経周期を把握しておくことはピルを飲みはじめる上で大切なことです。

月経周期のしくみ

バイエル薬品株式会社 生理のミカタより引用 http://seirino-mikata.jp

卵胞期:卵巣内の卵胞が発達し卵胞ホルモンを分泌します。その働きで子宮内膜が厚くなります。
排卵期:卵胞から卵子が放出され、卵胞は黄体に変化します。黄体ホルモンの分泌を始めます。
黄体期:黄体ホルモンの働きで子宮内膜はさらに厚くなり、子宮頚部の粘液も濃くなり、着床と妊娠に備えます。
月経期:妊娠が成立しなければ、厚くなった子宮内膜がはがれ落ち、血液とともに体外に排出されます。
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低用量ピルとは

・ ピルの作用

ピルの作用

MSD㈱ 避妊情報サイトより引用  http://www.hinin-style.jp/

・ ピルの副効果

ピルは避妊目的に開発されたものですが、以下の効果も期待できます。

・月経周期が規則正しくなる 
・月経痛(生理痛)が軽くなる
・月経量が減る、貧血の改善
・にきびや多毛の改善
・卵巣がん、子宮体がんの予防
・良性乳房疾患(乳腺症、乳腺嚢胞など)の減少

・ピルが飲めない場合

現在かかっている病気、過去にかかっていた病気、家族の病気、喫煙などによりピルは飲めない場合もあります。この基準になるのがWHO(世界保健機関)が発表している「WHO分類」です。下記に該当する場合は充分な注意が必要です。(「WHO分類1」は問題なく内服できる場合を示していますためここでは省略します)

〇WHO分類2:リスクを上回る利益(内服する場合は注意深い経過観察が必要です

年齢:40歳以上
母乳栄養:分娩6カ月以上経過している場合
喫煙:35歳未満
肥満:30を超えるBMI(身長160cmなら76.8kg以上)
妊娠時の高血圧歴
家族が静脈血栓塞栓症を起こしたことがある
安静臥床を要しない大手術(使用できないこともあります)
表在性血栓性静脈炎
高脂血症
心弁膜疾患(合併症を伴わない場合)
片頭痛:35歳未満の女性で軽症の場合(前兆がない場合)
重度の腟出血
子宮頸ガンまたは子宮頸部異形成
乳房疾患:診断未確定の乳房腫瘤(先に乳ガン検査が必要です)
糖尿病(軽症の場合)
胆嚢疾患:症状なしの場合、または胆嚢摘出後
妊娠による胆汁うっ滞があった場合
鎌状赤血球症


〇WHO分類3- 利益を上回るリスク(どうしても内服しなければならない場合は充分に注意深い経過観察が必要で定期的な検査等が必要になります

母乳栄養:分娩後6週~6カ月の間で母乳栄養が主体
分娩後21日以内
喫煙:35歳以上で1日15本未満の喫煙者
高血圧:収縮期140~159mmHg及び拡張期90~99mmHgの高値
片頭痛:35歳以上の女性で軽症の場合(前兆がない場合)
乳房疾患:乳癌の既往歴があって3年間再発がない
胆嚢疾患:治療後または軽症の場合
肝機能障害:軽症の場合
一部の抗けいれん薬(抗てんかん薬)を内服しているとき


〇WHO分類4-容認できない健康上のリスク(原則としてピルは飲めません

母乳栄養:分娩後6週以内
喫煙:35歳以上で1日15本を超える喫煙者
片頭痛:年齢に関わらず前兆を有する者
心血管疾患:動脈系の心血管疾患及び関連疾患
高血圧:収縮期160mmHg、拡張期100mmHgを超える場合
静脈血栓症塞栓症を起こしたことがある場合
長期の安静臥床を要する大手術の術前・術後
虚血性心疾患を起こしたことがある場合
脳卒中を起こしたことがある場合
心弁膜疾患、肺高血圧、心房細動、心内膜炎を起こしたことがある場合
中等症以上の片頭痛
乳癌に罹患したことがある場合
重症の糖尿病
重症の肝機能障害や肝硬変
肝腫瘍(良性腫瘍も含む)
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・ ピルの副作用

最も注意しなければならないのは血栓症(手足・脳・肺・網膜などの血管内に血のかたまりが詰まる病気)です。内服開始間もないとき、飛行機に乗るとき、喫煙・肥満など血栓症のリスクが高いとき(下記「注意事項」も参照ください)などは、特に注意が必要です。なかには血栓症による死亡例もあります。

参考:
医療ニュース2013年8月30日「超低用量ピルでの死亡例」
医療ニュース2013年10月28日「超低用量ピルでの2人目の死亡例」

血栓症になると致死的な経過をたどる可能性があります。下記のような症状があらわれた場合には飲むのをやめて、すぐに救急医療機関を受診してください。

 手足・・足の突然の痛み・むくみ、脱力・まひ
  胸・・・突然の息切れ、押しつぶされるような痛み
  頭・・・激しい頭痛
  口・・・舌のもつれ・しゃべりにくい
  目・・・突然の視力障害           など 

※年に1度程度は、血栓ができやすくなっていないかどうかを知るための血液検査をおすすめします。(詳しくは診察時にお尋ねください)

血栓症以外のトラブルとして下記のものがあります。たいていは内服2~3カ月程度でおさまることが多いと言えます。

吐き気・嘔吐, 頭痛, 不正出血 , 乳房の張り・痛み

その他の副作用として、子宮頸がん、乳がんになる可能性がわずかに高まると言われています。早期発見のためにも、定期的に検診を受けるようにしてください。また、40歳以上の人は眼科検診も検討してください。

参考:医療ニュース2014年1月14日(日)「ピル(OC)の長期使用は緑内障のリスク」
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・ピルの種類

一相性:21錠すべての錠剤に一定のホルモン量が含まれています。飲み間違いが少ないです。

三相性:生理的なホルモンの変化に合わせて、1錠中のホルモン量を3段階に変えた錠剤です。ピルのホルモン量をできるだけ少なくするために考えられています。生理的なホルモンの出方に似ているので、体にやさしいといわれています。

ピルの種類

あすか製薬株式会社 女性のためのヘルスサポート(経口避妊薬について)より引用
http://www.aska-pharma.co.jp/general/oc/

1シートのタイプ
21錠タイプ:ホルモンの入った21錠(実薬)が1シートになっています。
1シート(21錠)を飲み終わったら、7日間休薬し(ピルを飲まない)、休薬が終わった次の日より、新しいシートの1錠目から飲み始めます。

28錠タイプ:ホルモンの入った21錠(実薬)とホルモンの含まれない7錠(偽薬)が1シートになっています。(ヤーズフレックスはすべて実薬です。)
毎日服用する習慣がつけられます。1シート(21錠+7錠)飲み終わった翌日より、続けて新しいシートの1錠目から飲み始めます。

超低用量ピル:月経困難症の治療目的に用いるときは保険適用になります。低用量ピルに比べて副作用が少ないと言えますが、まったくないわけではありません。血栓症での死亡例もありますから、内服には充分な注意が必要です。

参考:はやりの病気第87回(2010年11月)「超低用量ピルの登場」

中用量ピル:低用量ピルでは出血が生じうまく月経をコントロールできないときに使うことがありますが、副作用のリスクも高くなるため初めから定期で内服することはほとんどありません。月経移動や緊急避妊のときに用いることがあります。
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・ピルの飲み方

シートの順に沿って、1日1回 1錠 服用します。毎日同じ時間に服用してください。
※ 飲み忘れないことが大切です。
※ 生活スタイルで飲み忘れない時間を見つけて、アラームなどを使用し習慣付けましょう。
※ 毎日同じ時間なら、どの時間でもOKです。
※次のシートは、 月経(生理)が続いている、終わっているに関らず、7日間休薬した次の日(偽薬を服用し終わった次の日)から飲み始めます。

【注意】
①時間のずれがあったり飲み忘れがあったりすると、避妊効果が得られなかったり、不正出血が起こりやすくなったりします。
②激しい下痢や嘔吐が続くときは、ピルの効果が弱まる可能性があるので、医師にご相談ください。
③確実に服用できるように、新しいシートの準備は忘れないようにしましょう。


服用を開始するとき
DAY1スタート:生理1日目よりシートの1錠目から飲み始めます。飲み始めた日から、避妊効果があります。

SUNDAYスタート:生理が始まった最初の日曜日よりシートの1錠目から飲み始めます。飲み始めの1週間は、他の避妊方法を併用する必要があります。


月経について
21錠タイプなら休薬期間中に、28錠タイプなら偽薬を服用している期間中に、出血(生理)がきます。
月経(生理)開始日には、個人差があります。
初回シートのみ1列目と休薬期間中(28錠タイプでは4列目)に、月経(生理)があります。

ピルの飲み方

あすか製薬株式会社 女性のためのヘルスサポート(経口避妊薬について)より引用
http://www.aska-pharma.co.jp/general/oc/

・飲み忘れたときの対処

●1錠の飲み忘れたとき、または24時間以内に1錠の飲み忘れに気付いたとき
気付いた時点で、飲み忘れた分を服用し、いつもの服用時間にその日の分を服用します。(1日に2錠服用する場合もあります)

●翌日の服用時間に1錠の飲み忘れに気づいたとき
前日分と本日分を合わせて2錠をいつもの服用時間に服用します。

●2錠以上の飲み忘れに気づいたとき
今のシートは使えませんので、服用を中止してください。次の月経(生理)を待って、月経(生理)の1日目より新しいシートの1錠目から飲み始めます。新しいシートを飲み始めるまでは、他の避妊方法を使用してください。

●偽薬を飲み忘れたとき
偽薬の飲み忘れは問題ありません。飲み忘れた偽薬は捨てて、翌日から通常通り服用しましょう。
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・飲み合わせに注意

※他の薬やサプリメントの中には、一緒に飲むと避妊効果が弱まったり、一緒に飲んだ薬の作用が強くなったり、弱くなったりする場合があります。(下記参照)
服用中の薬やサプリメントがある場合、またはピル服用中に他の薬やサプリメントを飲む場合は、必ず医師にご相談ください。
(注)目薬や塗り薬は心配ありません。

・副腎皮質ホルモン剤 ・うつ病の薬   ・パーキンソン病の薬  ・免疫抑制剤   
・高血圧の薬   ・結核の薬      ・てんかんの薬             ・抗生物質    
・真菌症の薬   ・糖尿病の薬     ・HIV感染の薬          ・イソフラボン 
・セイヨウオトギリソウ(セントジョーンズワート)を含有する健康食品など
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・Q&A

Q1
 将来の妊娠に影響はありませんか?

A1 ピルの服用を中止すると、自然な月経周期が回復して排卵が再開され妊娠可能になります。ピルの服用を中止してから、約3~4カ月までに月経(生理)が回復することが多いといえます。ピル中止後すぐに妊娠した場合でも赤ちゃんへの影響はないといわれています。授乳中の方は、ピルを服用することができません。(母乳量が減ったり、ピルの成分が母乳に移ったりするためです)


Q2 お酒を飲んでも大丈夫ですか?

A2 お酒を飲んでも問題はありませんが、酔ってしまってピルの服用を忘れたり、お酒を飲みすぎて嘔吐や下痢をしたりすると、ピルの効果は弱くなるので注意してください。


Q3 ピルは何歳まで飲めますか?

A3 避妊が必要で条件をみたしていれば、10代から閉経するまで服用できます。ただし年齢が高くなるにつれて血栓症のリスクが高くなりますから注意が必要です。


Q4 手術を受けるときは4週間前からピルを中止しなければならないのですか?

A4 「30分を超える手術では、少なくとも手術の4週間前からOCは中止する」というのが、2015年3月に日本産科婦人科学会が公表した見解です。ですが、手術内容やその患者さんの病歴やコンディションにもよりますから、実際は執刀医と相談することになります。

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緊急避妊(EC・モーニングアフターピル)について

コンドームの破損や脱落、レイプ被害にあった場合など望まない妊娠を回避するために使われる最後の避妊手段です。あくまでも緊急事態の対処法であり、日常的におこなう方法ではありません。

方法・費用
   作用   副作用   注意事項

〇方法・費用
無防備な行為が行われた72時間以内に緊急避妊薬または中用量ピルを服用します。


■ 緊急避妊薬
◇ レボノルゲストレル(ノルレボのジェネリック・吐き気止め薬)→72時間以内に1回服用


◇ 中用量ピル(プラノバール・吐き気止め薬)→72時間以内に1回目の服用、1回目の服用から12時間後に2回目の服用
【5,500円】(診察代、薬代、服薬指導料、税込)
※緊急避妊薬(レボノル)のほうが、中用量ピルよりも副作用が少ないといわれています。



(注)無防備な行為からできるだけ早く服用することが望ましいです。服用が遅くなるほど、失敗する可能性は高くなります。中用量ピルの場合、2回目の服用は必ず1回目の服用から12時間後に服用してください。服用できなければ、効果が期待できない可能性があります。

・作用
ホルモンバランスをくずし、下記の作用で妊娠を回避します。
   ・排卵を遅らせる、排卵を抑制する
      ・精子が子宮に入りにくくする
   ・受精卵が着床するのを防ぐ

・副作用
嘔気 気分不良 頭痛 倦怠感 不正出血 乳房の張りなど

・注意事項

・緊急避妊後、3週間以内に消退出血(生理のような出血)があれば、妊娠は回避できたと考えることができます。
・3週間経過しても消退出血(生理のような出血)がなければ、市販の妊娠検査薬で妊娠の有無を確認してください。
・100%必ず成功するとは限りません。
・性感染症は緊急避妊法では防げません。
・緊急避妊後の無防備な行為での妊娠を防げるわけではありません。
・妊娠を望まないのであれば、ご自身にあった避妊法を使用してください。
・緊急避妊薬・中用量ピルは、精子を殺すものではありません。
・すでに妊娠している方には使用できません。
・もし服用後2時間以内に嘔吐してしまった場合は、医師にご相談ください。
・服用後、月経周期や出血の状況(日数や量)に一時的な変化がみられることがあります。

参考:NPO法人GINA『GINAと共に』第61回(2011年7月)「緊急避妊と抗HIV薬予防投与」
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緊急避妊(EC・モーニングアフターピル)について

次の生理予定日が旅行やスポーツ、重要なイベントなどの日程と重なってしまう場合、ピルの飲み方を工夫することで、生理をずらすことができます。


★標準的な方法例

☆早める方法(生理開始5日目までに受診してください)

<ピルの服用をしていない場合>

生理5日目から中用量ピルを10~14日間服用します
服用終了数日後に生理(消退出血)がおこる予定になります
1日1回1錠を毎日同じ時間に服用します
(服用を忘れたり時間がずれると、不正出血がおこったり、生理がおきてしまうことがあります)

<ピルの服用をしている場合>

ピルの種類やどのタイミングで早めるかによります。個別に助言いたします。

☆遅らせる方法

<ピルの服用をしていない場合>
生理予定日のおよそ1週間前から生理を止めたい日まで中用量ピルを服用します
服用終了後、数日後に生理(消退出血)がおこる予定になります
生理予定日の1週間以上前までに受診してください

<三相性の低用量ピルを服用している場合>
低用量ピルの21錠目の服用翌日から、続けて中用量ピルを生理を止めたい日まで服用します
中用量ピル服用終了翌日から7日間休薬し、休薬終了翌日より低用量ピルの新しいシートの1錠目から服用し始めます
休薬期間中に生理(消退出血)がおこる予定になります

<一相性の低用量ピルを服用している場合>
低用量ピルの21錠目の服用翌日から続けて、一相性の低用量ピルを生理の止めたい日まで服用します(偽薬は服用しません)
生理を止めたい日まで低用量ピルを服用した翌日から、7日間休薬し、休薬終了翌日より低用量ピルの新しいシートの1錠目から服用し始めます
休薬期間中に生理(消退出血)がおこる予定になります

注意事項
・100%必ず成功するとは限りません
・妊娠の可能性がないことが前提です
・月経移動できない方もいます(血栓症のリスクが高い人など)

*受診時に下記を確認いたします

・最終月経(最後に生理が開始した日)
・月経周期(月経周期とはのページ参照)
・次回生理予定日
・生理を止めたい日
・月経移動をさせたい理由

 ★ヤーズフレックスで月経調節する方法

〇内服開始から24日以内
原則として月経移動はできません。月経を来させたいときはヤーズフレックスの開始日を遅くする(月経終了後から開始する)必要があります。


〇服用開始25日目~120日目まで
・早める方法:月経が来てほしくない最初の日の10~14日前から4日間休薬して出血をこさせます。
・遅らせる方法:月経が来てほしくない最後の日まで休薬なしで飲み続けます。その翌日から4日間休薬します。この方法は、連続服薬日数が長くなればなるほど途中で出血が起こるリスクが上昇します。

更年期障害

ホルモン補充療法(HRT)

高い効果が期待できる一方、副作用のリスクがしばしば取沙汰されるのがホルモン補充療法です。リスクとベネフィットをよく検討した上で開始を検討することになります。血栓症の副作用は日本人ではさほど高いわけではありませんが、新型コロナウイルス感染で生じることもありますから、最近は血栓のリスクが(内服よりも)低い貼付剤(貼り薬)に人気があります。HRTは子宮があるかどうか(手術で子宮を摘出しているかどうか)で治療が変わります。

子宮がある場合:卵胞ホルモンと同時に黄体ホルモンを使用します

・閉経前後の場合

 例:ジュリナ(エストロゲン製剤)を21日内服し7日休薬 
      デュファアストン(プロゲステロン製剤)をジュリナの10日目から併用し12日間内服

・閉経後数年経過している場合

 例1:メノエイドコンビパッチ(3割負担で1枚110円):3~4日ごとに1回(週2回)下腹部に貼付
 例2:ウェールナラ(3割負担で1日39円):骨量が低下していることが条件となります
    例3:ジュリナ(エストロゲン製剤)+ エフメノ1錠(プロゲステロン製剤)

子宮摘出後の場合:卵胞ホルモン単独にします。

 例:エストラーナテープ(3割負担で1枚20円)を2日ごとに下腹部(臀部)に貼ります。

参考:医療ニュース
2019年3月31日「ホルモン補充療法はアルツハイマーのリスク」
2007年4月30日「ホルモン補充療法の危険性」

 

☆漢方薬

症状に応じて適した漢方薬を用います。HRTと併用することもあります。

☆対症療法

イライラ、不安感、うつ、頭痛、むくみ(浮腫)などの症状を取りたいときに必要な薬を最小限用います。

☆検査

更年期症状は問診で診断がつくことが多いのですが、必要に応じて、FSH値(40mIU/mL以上になることが多い)及びEstradiol(E2)値(20pg/mL以下になることが多い)を調べます。甲状腺機能低下が疑われる場合は甲状腺ホルモンやTSH値を調べることもあります。

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更新:2022年5月27日